新たな日常、冒険者!
第17話 プレゼンはちょー完璧!
「それでは、私に貴方の価値を教えてくださる?」
両脇に騎士を連れ、インクの臭いが漂う部屋に入った俺の前には、一度も目線を机から、こちらに向けずに問いかけてくる王女様が。机の上には積み重なった書類が…と、そんなこと考えてる暇は無さそうだな。
「それで?私の手を止めさせる程に、貴方に価値があると言うの?」
「はい!私のスキルには価値があります!」
「そう、なら話してくださる?」
この王女様、なんか随分と大広間で見たときと印象が違うな。多分俺と同じように猫被ってたのかな?大広間の時の悲劇のヒロインのような振る舞いも演技か。
ま、それは置いといて、俺のプレゼン
「俺のスキル、『正解』は無意識に正解を知る力があります!昨日の勉強にて、一度も習ったこと、聞いたことのない問題の答えが分かるということがありました!
おそらくですが、この力があれば、罪人の嘘や、冤罪なども分かるのではということで、剣の訓練で時間を潰すよりも、国で活用して頂ければと思い、声を上げさせて頂きました!」
王女様の目が初めてこちらに向いた。そして1枚の書類を取り出す。
「貴方のスキル『正解』ですか。それに『記録』…この組み合わせは良いですね。それに今聞いたことが事実だったら余りに強力ですね」
少し事実かどうかを疑われてるかな?だが疑われるのは想定内だ。
「もし私の言葉が真実かどうか疑っているのなら、簡単です。転移してきてまだ3日の私が知り得ない問題を出してください。歴史でも、この国の経済でも、誰かの個人情報でも」
「……………」
少し不敬だったかな?
「……では、貴方に問題を出します。」
「はい」
「私の母が死に際に残した私への言葉は?」
「『貴方の好きなアプルパイを作ってあげられなくてごめんなさい。貴方の成長を見守れない、病に負ける私を許して………』であっていますか?」
「……………ええ……完璧よ…本当に、完璧だわ。そうね、貴方のその力、国の為に使わせていただくわ」
「はい!ですが働いた分は報酬を頂きたく。」
「話は以上よ、必要な時は呼び出すわ。報酬の件も検討するわ。もう行って良いわよ」
「はい!…その……自分の訓練は免除でも良いですか?」
「…わかったわ。なら貴方は日中何をするの?」
「自分のスキルの検証を、それと図書館への入場と、城下町へ下りる許可を頂きたく」
「…わかったわ、貴方は特例とします。逃げた場合は貴方は機密情報の持ち逃げとして指名手配されることになりますがよろしくて?それと、訓練の免除と城下町へ下りる許可、図書館への入場許可を与える代わりに、3回はタダ働きよ。わかった?」
「はい。それで大丈夫です」
「そう、なら話は以上ね、明日までには退城、入城許可を発行するわ。本は貴重なの、少し時間がかかるわ。明後日に1回目の、あなたの力を借りるわ。それまでは部屋で大人しくしていなさい。あなた達、彼を返してあげなさい。」
騎士「「ハッ!」」
「ああ、そうだわ。今ここでステータスオープンをしなさい」
「?分かりました。ステータスオープン」
偽装したステータスを表示させる。
「……(これがノーマルスキル?)」
「?どうかしました?」
「いえ、今度こそ行っていいわよ」
「はあ」
騎士に連れられ部屋から出る。
これで俺はある程度の自由と、決して無視出来ない影響力を手に入れた。
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