第12話 ハズレスキルはちょーハズレ!?

あ、さっきの騎士が人を連れ添って帰ってきた。どことなく高貴な雰囲気を持ってる人だ。貴族かな?


「お初にお目にかかる。私の名はリミン・マスモルプと申す。王女近衛騎士団団長を就任している。もう一度貴殿きでんの話を聞かせて貰えるかい?」


「初めまして、自分の名前は九雲人と申します。ハズレスキルのことですよね?ええ、大丈夫です」


「おお、君は礼儀がしっかりしておるのだな。今回の召喚者達は礼儀がなってない者が多くて辟易していたのだよ。君みたいな者が多いと嬉しいのだが」


出来る限り礼儀正しくやってみた。以外に好評みたいだ。貴殿が君になった。


「さてもう一度君の話を聞かせて貰えるかい?」


同じ話なので割愛。

団長さんは少し苦い顔をしている。


「君の4文字のハズレを変化させる前に見れたらよかったのだが…」


「すみません…」(いや残ってんるだけどね?)


「いやいや!君を攻めているわけではないよ。よくすぐに変化させられたね?変化させるには変化させたいスキル名に対する明確なイメージが必要だからね。


よく例として使用される『い』で説明するけど、もし『胃』に変化させたとして、胃の言葉だけ知っている者と、医者等で胃がどういう器官か知っている者では能力に差が出来るんだよ。だから4文字を普通に変化させられた君には脱帽するよ。過去にいた人物には、『ぬやひ』という3文字のハズレスキル持ちもいたと聞くからな」


「う~ん」


「どうした?」


「今の話、他の人にも聞かせないと、勝手に変化させちゃいますよ。常日頃からイメージに恵まれた国で住んでいたので」


「………そうか。情報感謝する。よしそこのお前」


「は!」


「今の話をすぐにひい様に伝えよ。それとそこのお前」


「は!」


「先程の話を全ての召喚者への説明に追加するように伝えよ。」


「了解しました!」


おお、かっこいい!


「クウト、君の情報のお陰で死者が減るだう。」


「そんな大袈裟な」


「いいや、大袈裟等では決してない。もし『く』を持つ者が苦しみの『苦』に変えてしまうと、その者が受ける苦しみに補正が、つまり小さな痛みが大きく、大きな痛みは即ショック死等があり得た。」


「そ、そんなことが。で、では『し』を死亡の『死』に変えてしまうとどうなるのですか?確実に出ますよ」


「スキル『し』をスキル『死』に変える事は子どもの頃に平民であろうと親から必ず教えられる。常識としてな。スキル『死』は、取得した時点から如何なる手段を用いてでも、死のうとする。出来る限り周りの人間を巻き込んでな。


過去の大罪人のには爆発魔術を持つ者がそのスキルを手に入れ、自殺の為にパレードの1番人が集まる瞬間に魔術を行い、1万人近くの人間が犠牲となったことがあったのだ。

故にそのスキルはダメなのだ。」


「それは不幸でしたね?」


「いや、違うさ。今言っただろう?爆発魔術を持った男だと。爆発魔術で木っ端微塵なのに犯人の性別が分かった理由は、ある空き家を取り壊す時にその空き家に地下がある事に気付き、入ってみるとそこには多くの紙が落ちてあり、それは魔術の研究レポートだったらしい。


研究レポートの内容は、「『死』のスキルが魔術の威力に関係するか」というモノだったらしい。その男は『』というスキルを先天的に持っていたらしく、それで手に入るステータスポイントが増えた。

そしてその全てを魔法攻撃力とMPに変えたと聞く。それ故にそれほどの被害が起きたそうだ」


つまり故意に起こった出来事だったということか…いや待てよ!


「その男は『死』のスキルを後天的に手に入れたのですか?」


「む?そうだぞ?迷宮から手に入る魔術書にランダムスキルスクロール、スキルの宝玉等がな。ちなみに、『し』のスキルオーブは国が回収している。オーブを獲得した者、初期所持スキルの者は国への報告が義務だ。

もし隠して持っていたりしたら即極刑だからな


スキルはこれまでの行動で手に入れられたりするが、それにも長い修練が必要になる。だがそれでも手に入れられないスキルがユニークスキルとハズレスキルだ。この2つは先天的なものか、スキルオーブ等でしか手に入れられないからな」


「オーブの事を伝えると勝手に外に飛び出す者が出そうですので伝える人物は限定しておいた方が良いかと」


「む、そうか……ではそう手配しておこう。情報提供感謝する!」


「いえいえ、困った時はお互い様ですから」


ふ~長かったな~。まあ良いことしたのかな?今日からまた勉強か…。なんとかなるでしょ!

………スキルを作るのは気を付けないと…。

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