第8話 次の目的はちょーッと出世?

「あ、お、うおおぉぉぉ」


いや何も無いんだけどね?入るとそこには暗闇が広がっているだけだった。何かに立っているが、どんなものかは分からない。


「これは!これは…何をすればいいんだ?MPの消費はおそらく15だろうから、今のMPじゃ帰れなさそうだな。この暗闇で何が出来るんだ?あ!他のスキル検証が出来るかも!『青海』!」


ドバッ、と前方に水玉が……ちょっとしょぼい?

いや、水玉からどんどん水が溢れて来ている!


「う、うおぉぉ!?水がこっちに来る!ヤバい濡れる!く、!」


どんどん溢れる水で俺の足が濡れ…濡れない?水が俺を避けてるみたいな。どういうことだ?もしかして『来るな』で反応したのか?それじゃあ…。


「み、!」


ピタッと止まった。これはある程度の制御が可能…なのか?魔力を消費せずに無限に水を手に入れられるのでは、このスキルの価値が一気に上がるぞ!


「み、!」


また水が溢れてきた。その水が跳ねてこっちに跳んでくる。だけど俺の10センチほど前で水が止まる。その水を掴んで、少し覚悟を決めてから…

この水を飲む!


「しょっぱ!」


普通に塩水だった。いや、このスキル名だと海水が正しいのかな?だけどこれで無限の塩に水も…水は少し手間がかかるかもしれないが、無限の水源を手に入れた!


そういえば『世界』のスキルは外では使えなかったけどこの中なら……。(『世界!』)

地面が盛り上がる!今も増え続けている水しかないこの『異界』の中に世界が産まれる…!『青海』は発動中だから、他のスキルの検証を!


「『星海』『聖界』っと、うわぁ…」


空に星が広がる。足元は『世界』によって草が生い茂り、小さな低木がそこら中に生えている。そして『青海』によって海が広がる…。

『聖界』の効果は?スキルが発動した感覚はあったんだけど……、ん!?これは…足元の草が白い光を纏っている。円形に光が広がる、これは聖界の中を浄化するのか?塩って浄化対象なのかな?もう一度…。


「か、海水が普通の水に!」


これで今度こそ無限の水源だ!でもその前に…


「『世界』!海から島の中心まで続く水堀を!」


お、おおお!地面が割れた。そのままどんどん広がる島の中心へと続く水堀が…。すぐに次の命令を。


「島の中心を少し掘り下げろ!」


みるみるうちに掘り下がる!そしてその中に水が流れ込んでくる……。いや。


「『青海』解除!そして島の中心でもう一度『青海』発動!」


よしこれでこの島の中心から『異界』の中に海が出来る元を作って…。


「『世界』!海への水堀をもう少し広く深く!それともう一つ、狭めの水堀を島の中に作って水堀の先を深めに掘り下げて泉を作れ!更に、全力で世界を成長させよ!『青海』!全力で海水を生成しろ!『聖界』!泉を中心にその周囲を浄化しろ!」


これで今のところは良いかな。それと眠くなってきたし寝るか…。今日は色んなことがあったけど、俺の好奇心がくすぐられる事象が多くて、他の人からしたら災難なんだろうけど、俺は楽しかったな。


親は他界しているから居ないし、この世界も楽しそうだし、友達も来てるんだから、帰れなくても別に良いんだけど。他のやつ、せめて親友の天聖は帰らせてやりたいからな。帰りたかったらだけどね。


表面上は帰る方法を模索して、周囲を騙そう。

そして俺は、帰れないことを前提に計画を立てた方が良いかな。まずはこの世界の知識をたくわえて、ある程度出世することを目標にしようかな。


生徒会書記なんて立場はこの世界では意味が無いだろう。この世界に適応して、誰も手を出せないような存在になってやろう。





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る