第3話 靴底が斜めに減る
小学生の頃はさほど気にはならなかったのですが、中学生になり学校指定らしい靴を履くようになると、靴底が厚い為か柔らかい為か、靴の踵の内側が摩耗して極端に斜めに減って行くようになりました。
靴底が厚く固いスポンジのような素材で摩耗が速い、靴紐があり汚れやすい布製の白い靴でした。
靴底が斜めに減り始めると重心がズレるためか、更に斜めに減る状況が加速し、内側にばかり荷重がかかるので、内側だけ固いスポンジのような素材が潰れたような状態になる始末でした。
そうなると、足にも負担がかかるし、とても歩きにくくなる、おまけに靴も斜めに靴底が減ることで負荷が内側にばかりかかってしまいます。
靴の寿命も短くなるといった最悪の悪循環です。
元々、それなりに貧乏な家庭環境ではありました。
この頃父親がちょくちょくと入院していたために収入が減っていたため、中々「新しい靴を買って欲しい」とは言い出せません。
そのため靴底がどんどん斜めに減って行く靴を、ずっと我慢して履いていました。
それでもようやく新しい靴を買ってもらった時に『どうすれば靴を長持ちさせることが出来るのだろうか』と無い頭で色々と考えましたよ。
それならば『歩き方を変えられれば靴底が均等に減るのではないか』との結論に至り、その日から歩き方を意識して変更することにしました。
習慣として身体に染みついてしまっている歩き方を変更するというのは、中々に大変なものでした。
歩くときには、足の向きから足の降ろし方、蹴り上げの方向にまで常に意識していないと、元々の歩き方に戻ってしまいます。
道路に路側帯の白線があれば、白線の上からはみ出さないように足が真直ぐに着くように意識して歩いてみたりと、色々工夫して歩いていましたよ。
そんな靴底が均等に減るように常に意識して歩く日々を継続していると、いつの間にか靴底の減り方が徐々に均等に減るようになります。
気が付けば特に歩き方を意識しなくても、靴底がほぼ均等に減るようになっていました。
最近になって気が付いたことがあります。
足腰の弱ったお年寄りの方たちは、筋力が衰えて上手くバランスが取れなくなってきているせいなのでしょうか。
転ばないように身体が意識しなくても安定させる方向に調整するのか、足が地面に付く方向が、つま先が外側に広がり、白い線の上を歩くではなくて、白い線を踏まずにその外側に足が付くような姿で歩くんですよ。
高齢になっても可能な限り筋肉が衰えないよう努力しないと・・・と思いました。
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