第10話 弱っている時は誰だって愛おしい

「ケホッケホッ」


「大丈夫ですか?」


「風邪をひいたかもしれないわ。今日は仕事で外に出ないからまだいいけど。まつりくんに迷惑かけることになるわね」


 昨日、大学から帰ってからあまり瑠依は体調が優れなかった。


「はあ。まあ、今日は2限目からなので少しは何か手伝いますよ。何か欲しいものとかありますか?」


「別に熱は無いからそんなに心配しなくて大丈夫よ。それより何よ、ため息なんかついて」


「風邪引いたの間違いなく、昨日の朝のせいでしょ。本当に何やってるんすか……」


「仕方ないわよ。張り切っちゃったんだから」


「仕事はいつから何ですか?」


「一応昼からになっているわ」


「そうですか。それなら、まだ少しは良くなればいいですね。何かドリンクとかお薬買ってきますね。その姿だと、行きたくても行けないだろうし」


「いいわよ……気に……ゴホッ……し、エホッ エホッ」


「病人は静かに休んどいてください。無理は禁物ですからね。しかも、その体だと余計にでしょ」


「ごめんなさい……ありがとう」


 偉く弱っている瑠依の姿はまつりにとって少し新鮮で喜ばしい部分もあったが、やはりいつもの瑠依が見たいと思った。


「それじゃあ、行ってきますね」


 とりあえず、家の近くのコンビニでまつりは薬とドリンクなどとりあえず色々買う。

 ついでに特に意味は無いが、瑠依が喜べばいいとお菓子を数個買う。

 まつりもいつの間にか本当に小学生と同居している気分になり始めている。


 ガチャ


「帰りましたよー」


 しかし、返事はない。

 さっさと手を洗い、瑠依の元へといくと瑠依はパソコンに前で顔を伏せて眠ってしまっていた。


「無理しないでって言ったのに……」


「瑠依さーんそんな所で寝たら風邪引きますよー」


 まつりは瑠依の肩をトントンと叩くも、返事がない。

 仕方がないため、瑠依を抱っこして布団へと運ぶ。

 起こさないように慎重にゆっくりと。


「幼いまんまなんですから、無理しないでくださいね。そんな感じだと僕の調子も狂っちゃいそうですよ」


 自然とまつりは瑠依の頭を撫でていた。

 撫でているうちに「やばい」と思ったが、瑠依はぐっすりと眠っている。

 まつりもそろそろ大学に行かなければいけないので、近くに買ってきた薬や飲み物などを置いておく。


「病人に無理はさせたくないけどな……」


 一応瑠依が仕事をできるように12時頃にアラームをセットしておく。


「今日できる限り、早く帰ってきますね。元気な瑠依さんの方が僕は好きですから早く治ってくださいね」


 瑠依が眠っている時にしか、言えないセリフをまつりはボソッと言ってそのまま家を出ていった。


 しかし、その言葉を聞いていた瑠依はすぐに顔を布団の中に隠す。

 その時の顔はとても赤かった。

 それは風邪からなのか……もしくは……。






 ◆◆◆


〈感謝とお願い〉


 第10話まで読んでいただきありがとうございます。


 これからもこういうラブコメシーンを書けるように頑張っていく予定です!

 結構ヒロインとのこういうシーン好きだなって思って頂いた方やギャップに刺さった!という方は☆やフォロー等していただけるとこちらの指標にもモチベにもなって超幸いです。



 それでは*˙︶˙*)ノ"




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