第2話 嫌なことがあれば、嫌と言える勇気が欲しい
「大丈夫なんですか?」
「私自体は大丈夫だけど、体が縮んじゃって服が上手く入らないんだけど」
女の人の身長はおよそ30cmほど縮んでしまったせいで服はダボダボ、ベルトをつけていたはずのズボンもズレ落ちている。
「まさかこんなエ〇同人みたいなことが私の身に起こるとはね」
「どうしてそんな冷静なんですか!? あとあんまそんな展開ないでしょ。普通某国民的漫画の方思い浮かびますよ」
「?」
「なんでわかんないですか」
あいにく、女の人にはそういう国民的漫画を見る趣味は無いらしい。
「それよりどうするんですか? 人が来たらまずいですよ」
「とりあえず私の信頼する人を呼ぶわ。かなり声は変わってしまっているけど事情を伝えればきっと来てくれるわ」
「そうですか。じゃあ、その人が来たら僕はもう帰りますね」
「どうして? あなたクズなの? 普通こんな姿になっている美少女を放って置くとかありえないでしょ」
*ちなみにまだこの女の人は自分の姿を見ていません。
「あなたが痴漢をしてきたからですよ! 今の状況意味分かりませんけど、あなたに関わったらもっと酷いことになりそうなので」
「おったててた分際で偉そうね。それよりあなたの名前は?」
「そんな下品なこと言わないでください!あと名前も言いたくないんですけど」
「私が聞いてるんだから答えなさい」
推定外見年齢10歳の女の子に命令される男子大学生の図。
「鳳 まつりです」
「まつりくん。いい名前ね」
「はあ。ありがとうございます」
「ちなみに私の名前は
(別に聞いてないんだけどな)とは口が裂けても言えないまつりであった。
「とりあえず1度トイレに向かうわ。こんな姿周りに見られたら大変なことになるでしょうし」
「そうですね」
瑠依は頑張って階段をのぼろうとしたが、上手く力が入らず、階段すらまともに登れていない。
「ねえ、まつりくん。私を上まで連れて行って」
「ええ?」
「早く!」
まつりは急かされたため、瑠依の体を抱っこして階段を駆け上って行く。
「階段じゃなければ行けるわ。私は今から行くから、あなた残っときなさいよ」
「はいはい。逃げませんよ」
……約20分後
「おまたせ。ズボンは邪魔だから手に持つことにするわ」
「手に持つことにするわじゃないんですよ! あなた今どんな格好かわかってます!?」
「静かにしなさいよ。騒いだら人が来るじゃない。手繋いでたら兄妹かなって思って誤魔化せるでしょ。こんな格好してても」
ちなみに今の瑠依の格好は上の大きな長袖白ワイシャツのみ。
「いやいや無理ですよ」
「仕方ないわね。駅の前に車があるからそこまで走るわよ」
「僕もですか?」
「私の責任取りなさいよ」
まつりはもういつの間にか引き返せない所まで来てしまっているように感じた。
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