「どうせお前ら帰ってこれないだろ?(笑)」

『え?お前生きてたのか、キドゥン?』


ザザザッ、というノイズ音と共に、無線機からあのムカつく声が聞こえてきた。


「あったり前だッ!お前にヘリから捨てられた程度じゃ死なんわっ!」


無線機に向かって力一杯怒鳴る。

わたし達は現在、ノーネ大佐が持っていた無線機で本部と連絡しているのだ。

しかしなぜか、無線に出てきたのはあの時の操縦士。

てか、こいついよいよ「大将」とすら呼んでくれなくなったな。わたしより下の「少将」のクセに!ムカつく!


『パラシュートがあったとはいえ、よく生きてたもんだな。実力はないのに悪運だけは強いらしい。』

「にゃにおう───」


わたしの血管がぶちりとキレる寸前、ノーネが無線機を奪い取ってきた。


「こちらノーネ大佐。失礼ですが、応援を要請させていただきたいのですが。」

『ん?ノーネか?死んだとばかり思っていたが…どうやら、ダメな奴はお互いに引かれ合うらしいな。ククク…』


無線機から、クククと低い笑い声が聞こえてきた。またあのいやらしい笑い方だ。


「…それはどういった意味で?」

『キドゥンの方はさすがに酷すぎるが…お前だって大概だぞ?お前、元々俺と同じ少将だったよな。する前は。』


明かされた意外な情報に、わたしはちょっと驚いた。

え、そうだったの?

じゃあノーネは少将→大佐へと降格されたってことか?こんなしっかりしてそうな奴なのに、降格なんて一体何が…

そう思っていたところで突然…隣から、歯ぎしりするような音が聞こえてきた。

見てみると、ノーネが悔しそうな表情で無線機を睨んでいる。

こいつも訳アリって感じだな…


『敵を殺せない大将に、降格されて厄介払いされた元少将か。なんつーか、お前らお似合いじゃねぇの?そこで仲良く暮らしときゃいいだろ。』

「…お言葉ですが、今は冗談を言っている場合ではございません。せめて一人でもいいので、応援を………」

『いやだから送れねぇつってんだろ!』


無線機越しに、めんどくさいという感情が伝わってきた。

こいつの中ではもう既に、わたし達を見捨てることが決定しているらしい。勝手に。


『そんじゃ、こっちも忙しいからもうかけてくんなよ。脱出できたら教えてくれ!絶対ムリだろうけど!ま、墓は建ててもらえるよう言っとくから、安心しな!ダハハハハハ!』


耳障りな笑い声が響き渡った後に───ぶつりと、通信は切れた。


「…いや~、だったよ。なぁ、ノーネ?」

「そうですね、大将。ハァ……」


わたしが八つ当たりに言った皮肉に、ノーネは深いため息を吐いた。

どうやらわたし達だけで、頑張る必要があるらしい。


「まぁいいや…こっちだって一番頼りになる応援が既にいるだろ?」

「…え?誰ですか?」


きょとんと間抜け面で聞いてきたノーネに向かって…

わたしは、自分の顔を親指で指し示してやった。


「ここの小隊全員ブッ倒して戦果上げたら、アイツどんな顔するだろうなァ♪さっそく、いこうぜ。」

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