第43話 PKK(救出)

「あれ、よく見たらお前……プレイヤーじゃね?」


俺が蹴飛ばした男、ソイツの頭上に表示されたのは赤く染まった名前。

つまり、プレイヤーでありPK (プレイヤーキラー)か。


「ならキルしちゃってもPKマークは付かないか」


「おい、みんなッ! バレたぞ、来てくれッ!!!」


俺に蹴飛ばされたヤツが家の奥に向かって叫んだのでとりあえず初期装備短剣でクリティカルヒットを出してキルしておく。

5人いるわけだし、事情を聴くのは1人に対してだけでいい。


「テメェいったい何だッ!」


「宵の明星かッ!?」


家の奥に進むと、リビングに男のプレイヤーが3人。

コイツらもPKらしい。


「なんだコイツ、レベル20だぞっ? 宵の明星じゃない。あそこへの加入条件は最低レベル40だと聞いてるぜ」


「じゃあ……なんだ? コイツはホントに空気の読めない馬の骨ってことかよ」


「慌てて"ブツ"逃がして損したぜ……」


3人ともに武器を俺に向けてくる。

レベルは右から順に26、29、28。


「なんだ。全員フォグトレントより下か……」


「ハァ? 何言ってやがる?」


男たちは失笑すると、


「お前はここでゲームオーバーだ! 大人しくデスペナ喰らっとけやぁッ!」


3人まとめて俺に武器を振り下ろしてくる。

……ただなぁ。

俺もう、レベル差倍で最大8方向から攻撃してくるボスモンスターを相手にしちゃってるんだよな。


「お前らじゃ手数が足りねーんだよッ!」


Lv26の男が斜めに斬り落としてくる大剣を外側に避けてパリィ。

横に一回転した遠心力を乗せて首を刎ねる。

クリティカルヒット。


「てっ、テメェッ!」


俺と同じ短剣装備のLv29が倒れる仲間を片手で押しのけて俺に迫ろうとする。

デカい隙だ。

蹴り飛ばす。

戦闘中に戦う以外のことに片手を使うとは……

さてはコイツら、PKマークとレベルのわりに戦闘慣れしてないな?

仰向けに転んだLv29に短剣を突き刺した。

クリティカルヒット。


「くっ……」


たじろぐ残りの男……Lv28。

ミウモの話によればコイツの他にあと1人仲間が居るハズなんだが。


「オイ、残りの仲間はどこにいる?」


「へっ、言うわけねーだろ……!」


片手剣装備のその男もパリィ→カウンターの流れで叩き伏せた。

残りの1人が見つかるまでは拘束しておきたいところではあったけど、残念ながらそういうアイテムは持っていない。

トドメを刺す。


「……んっ?」


部屋の奥、勝手口と思われる扉が開いていた。


「──誰よあなたっ!?」


外から悲鳴が聞こえてくる。

カルイザワのものだ。


「やっべぇっ!」


俺がさっきこの家に殴り込んだ時、1人はすでにこの裏の勝手口から抜け出して表に出ていたのかっ!

俺はミウモを家の中へと留め、慌てて外に出る。

ウマ美にまたがるカルイザワの元へと見知らぬ男が駆け寄っているところだった。

しかし、


〔ヒヒィ~~~ンッ!!!〕


ウマ美による強力な後ろ蹴りがカウンターの要領でその男の顔面へと炸裂。

男は綺麗な月面宙返りを果たし、地面に背中から叩きつけられた。

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