踏切
小野進
◯
青い人工の光がぼうっと、ただそこに在った
わたし、わたしは、一体何をしているのだろう
その問に意味など無かった
なぜならば、答など無いのだから
既に寝静まった住宅街、その外れ
青い光がそこに在るのと同じように、ただわたしもそこに在った
わたしは無力だった
「死にたい」と「死にたくない」、
「生きたい」と「生きたくない」があたまのなかに渦巻いている
けれど、身体はそれを気怠そうに眺めているだけだった
青以外何も無かった世界に、突如眩しい赤が瞬きはじめた
まるで急かすように、決断を迫るように
一定のリズムで明滅する赤い光
心臓の鼓動が、警報音とリンクする
「一歩踏み出せば楽になれる」という声と
「一歩踏み出せば台無しになる」という声
その両方が心臓の鼓動を何倍にも早めてゆく
轟音と共に、周りの音はすべて消えた
連れ去られるように、掻き消えるように
残された身体は、ただ思った
「何をしているのだろう」と
踏切 小野進 @susumu-ono
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます