11「QA」
「まず、最初に春男君、超能力って信じる?」
春樹が、最初の取っ掛かりで質問した。
「スプーン曲げたり、モノ浮かせたりするのか?あれは、ネタがあるんだろ?そうではなく、手から炎を出したり、魔法陣を描いて魔物を呼びしたりするのなら、ゲームの世界なら信じるよ。まさか、えーと…。」
「春樹で良いよ。こっちも夏也でいい。」
「では、春樹さんは、魔物呼び寄せられるんですか?」
話しが逸れそうになったので、戻す。
「そう言うのじゃなく、現実的な話しをすると、献血と輸血ってわかる?」
「はい、今は血が足りなくて、献血を募集しているとか、それに数通っていると特典があったり、献血しに行っているだけなのに、お菓子やジュースタダで貰えて、それに、人の役に立てるんですよね?俺は、まだ誕生日迎えてないから、是非とも十六歳になったらやりにいきたいな。社会貢献の第一歩です。」
すると、春樹は一つの印刷物を春男に読ませる。
印刷物は、きつめが残した開けるなファイルであった。
しばらくして、春男は何かを考えるか、顔が順番に真剣になっていた。
読み終わると。
「これは、小説か何かのネタか。そうだ、きっとそうに違いない。」
春男は、顔を上げて春樹を見ると、春樹の顔は笑っていなかった。
夏也も桜も、桜花も、真面目な顔をしている。
「これ、本当の話しなのか?」
すると、ここからは夏也が話す。
春樹と夏也と桜、そして、貢の中では、この話しの第三者は夏也だろう。
だから、夏也の言葉は信用できると思われる。
「全て本当だ。春樹の血は、能力を強化出来る。一滴でも飲めば、自分の最大以上に発揮する。けど、半年後に命を落とす代物だ。怪我をすれば、その血に魅かれて、能力強化をしたい人が春樹を襲う。」
夏也は、春男の顔を見た。
春男の顔は、まだ、信じていない。
でも、容赦なく、夏也は続ける。
「そもそも、能力の原点は、この桜の木の下にいる人の復讐が形となったものだ。だが、今は復讐は消えている。後は、春樹で血の呪いを終わらせる。その為には子孫は残してはいけないから、同性である俺と結婚をした。」
「では、桜はどこから?」
「桜は、養子だ。山に咲く一本の桜の木の下に赤ちゃんがいて、それが桜だ。」
春男は桜を見た。
桜は、話を聞きながらも、少し思いつめた顔をした。
「それとだ。」
春樹は、夏也に包みを渡した。
包を丁寧に外して、中身を見せると、そこには、おはぎが一つ入っていた。
「これを食べれば、わかると思う。」
桜花は、おはぎを見て、少しだけ喉を鳴らせたが、我慢した。
おはぎを見ると、とても、美味しそうだ。
春男は、一度、夏也を見て、春樹を見て、桜を見ると、おはぎを手にとり、ゆっくり口に運び、食べた。
すると、春男の頭に何かが浮かんできた。
「春男君?」
春樹は、様子が違う春男を見て、心配をし、駆け寄ろうかと思ったが、やめた。
そう、これが夏也からの試練である。
春男の脳裏には、桜の木が経験して来た記憶が流れて来ていた。
昨日、夏也が桜花に渡すお菓子を作っていた時、貢が帰って来て、どこかへと電話をしている時だ。
その相手は分からなかったが、きっと梅賀だと思った。
だから、その時に春男に食べて貰う為に、庭の植物を介して桜花の花びらと、桜がいた花びらを持ってきてくれるようにと頼んだ。
すると、直ぐに風に乗って、桜の花びらが、右に桜花、左に桜の花びらが収まった。
それらを使い、おはぎに入れたのである。
本来なら、こんな形ではなく、桜花と一緒に花見をしながら食べて欲しかったが、春男の疑っている様子で変更した。
しばらくして、春男は信じられない顔をさせていた。
それは自分が見て来た桜の記憶で、現在に至るまでの歴史を、見させられたからだ。
「本当のことなら、俺はどうして、ここまで、桜に魅かれているのか。」
「春男君。」
「俺は、中学三年の進路相談の時、県立流石高校の写真を見て、何故か、ここに行かないといけないと思い始めた。入って見て、桜を見たら、わかったんだ。俺は、桜に魅かれて来たと。」
春男は、自分の胸を掴むように、服を掴んでいた。
その手は少しだけ震えている。
「だが、真実を見て見れば、桜には、こんな過去があったとは。」
「春男君、だましてはいなんだよ。」
「春樹さん、わかっています。俺は、感動しているのです。こんな不思議な出来事を信じてくれっていっても信じられない。科学的に証明も出来ないし、現実的ではないが、俺が魅かれたのには、理由がある。それは。」
春男は、横にいて話を聞いていた桜の両手を、自分の両手で包み込み、そして、桜の頬にキスをした。
両手を塞がれていて、キスを拒めなく、また、された所を覆えない桜は、いきなりの行動により、顔を赤く染めている。
まだ、両手を力を込めて掴んでいる春男の手を振りほどけない。
「離して。」
「嫌だ。ここで、誓ってもらう。桜、俺と結婚しろ。」
「は?正気?保護者がいる前で、何をするのよ。」
「何かしていいのか?桜は、見られると興奮するのか?」
「そういうのじゃない。それに、真実を知って、私の事、幻滅したんじゃなかったの?」
「むしろ逆だ。こんな不思議な出来事、相当選ばれた人じゃないと、体験出来ないぞ。そうか、それが勇者か。」
「いいから離して。」
すると、桜花が二人の間に入り、手を離させた。
桜は、顔を両手で覆い、汗と混乱を収めようとしている。
春男は、そんな桜もかわいいと思って、顔を緩ませている。
春樹と夏也は、二人を見て、大声で笑った。
「春男君、君、混乱していたんじゃなかったの?」
「混乱はしましたが、真実なら仕方ないでしょ?それに、赤野家の事、桜の事、知れたので満足です。この先、桜と結婚するのだから、事情を知っておくのは当たり前だ。しかし、このおはぎすごいな。食べただけで、記憶が流れて来た。」
「それには、桜花と桜の記憶を詰め込んだからね。」
すると、春男は疑問があった。
「桜の…桜がいた桜の木が持っていた記憶によると、桜の木の枝を折って、それが桜に変わった表現はなかったな。誰かが、桜の木の前に居たのを見た。」
「なんだと。」
「考えても見てください。桜は赤ちゃんの時、布を巻いていましたでしょ?あれって人工物です。もしも、桜の木の枝が赤ちゃんになったなら、裸のはずです。そこを見られなかったのは、残念です。」
最後の一言は余計だが、確かに、布に巻かれていた。
「もしかしたら、桜がいた桜の木の根っこを食べれば、詳しく分かるかもしれません。ほら、桜花さんだっけ、桜花さんの記憶には根っこを食べた少年がいました。」
「今まで、納得いかなかったんだ。枝から赤ちゃんになったっていっても、どういう原理かと思っていた。植物が形になったのなら、食事は水や太陽で良いはず。だが、人間が食べる物を食べる。だから、桜は人間だ。」
すると、桜は涙を流していた。
鼻水が出る程、泣いていた。
「桜。」
春樹は、桜を抱き寄せる。
「私…、人間でしたのね。…、ずっと気になっていたのです。…枝から人間の姿を形成したのなら、……私は、いつ、命が尽きるか。それに、赤野の家にいつまでいられるか、、、、もう、ずっと、いられないんじゃないかって。」
「桜、いつまでも居ていいんだよ。」
春樹は、桜の頭を撫でながら、慰める。
「さて、夏也、結果は?」
夏也は、春樹から答えを求められ。
「合格だ。」
その一言で、花見が始まって、桜花が歓びお菓子を食べていた。
「しかし、桜花さんも植物なのに、夏也さんのお菓子、どうして食べれるのですか?」
「夏也のお菓子は、植物の肥料になる材料を使っているんだ。」
「なるほど。しかし、夏也さんの料理って、とっても美味しいですね。今度の子供の日、春樹さんの誕生日ですよね?仕事中とは思いますが、ホテルに呼ばないんですか?桜と春樹さんと、また、この四人でパフォーマンスみせて欲しいですね。あっ、父も連れて行きたいな。あと、桜のおじい様も。」
「ん?」
夏也は、桜花を見た。
「桜花、どこまで記憶を?」
「全てだけど?」
夏也は、頭を抱えた。
だが、緑沢の記憶は春男には与えていないから、少し安心した。
さて、今度は、春樹の番が控えていた。
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