7「出会」

赤野春樹。

五月五日産まれ。

身長、百六十センチ。

髪、肩まで付くか付かないか位。

手芸が得意で、ホームページから依頼が来る。

春樹が作る物は、キツメブランドと呼ばれている。


備考

春樹の血は、能力強化をしたい人が一滴でも口に入れれば、自分の能力を強化出来る能力を持っている。

だが、能力強化をした半年後に亡くなる副作用がある。

怪我をすれば、能力強化をしたいと願っている人が、血の匂いに惹かれて来るから、怪我は出来ない。

この能力を消すのが、願いである。

また、仕事のし過ぎで、周りに休めと言われている。



赤野夏也。

二月三日産まれ。

旧姓、緑沢。

身長、百七十五センチ。

髪、短髪だがボーズではない。

料理が得意で、ホテルの目玉料理を担当している。

他にも、ガラス張りの料理室で、パフォーマンスも担当している。


備考

とあるきっかけから、植物達が作るお菓子を欲しがって家までやってくる。

その時には、人間に化けているのだが、毎回、正体がばれる恰好をしていた。

春樹の血は毒で、能力強化をしたいと願いがあり、匂いを嗅ぐだけでも、自分の意思と反して欲している。

その為、春樹が怪我をすると、近寄れない。

春樹の事は出会った時から、好いている。



赤野貢

一月十一日生まれ。

旧姓、白田。

身長、百八十センチ。

髪、オールバックだったが、前髪を下ろした。

眼鏡着用。

セキュルティー会社に勤めていて、犯罪を減らす為にGPSの開発を担当している。

今は、国から防犯システムの構築依頼をされていて、そのチームに加わっている。


備考

春樹の母、きつめを好いている。

きつめが亡くなった後だが、結果的にきつめと結婚したような形となった。

春樹と夏也の義父。

春樹の父は嫌いだったが、次第に嫌わない意識を持つ。

春樹の仕事状況を管理している。



赤野桜

三月二十二日生まれ。

身長、百五十センチ。

髪、腰まであるストレート。

国立流石幼稚園→国立流石小学校→国立流石中学校と所属し、県立流石高校に入学。

得意は、足が速いのと、料理が少し出来る程度。

学校の成績は、上位。


備考

桜の木が枝を自ら折り、その折った枝が赤ちゃんの姿になった。

その赤ちゃんが桜である。

桜は、遠く離れた桜花と名付けられた桜の木から、夏也のお菓子が美味しいと春樹の意思を通じて伝えられ、是非、食したいと思い、人間の姿になった。

丁度、その頃、春樹と夏也が子供が欲しいと思いもあり、共鳴して、二人の子供となった。



赤野家の人々は、そんな人達である。


それを復習がてら、桜は、春樹と夏也と一緒に春樹の仕事部屋を作る手伝いをしている時に話をした。


「確かに、赤野家は複雑だな。」

「けど、問題はないよね。」

「ないね。」


その一言で、この話題は終わった。




春樹の仕事部屋は、一階の客間一室にした。

今まで、仕事部屋と寝る部屋と一緒にしていたから、落ち着いて休めなかった。

この際、別にして仕事は仕事、休憩は休憩と、分ける。


客間は、ベッドがあるが退かして、ソファーへと変えた。

お客さんが来た時に、座る案内が出来る。

この作業は、夏也に任せた。

怪我をすると大変だからである。


小さな冷蔵庫には、飲み物を常備させた。

布は、クローゼットの中に棚を置いて管理する。

針、ハサミなどの細かい物は、机に取り付けてある引き出しに入れる。

ミシンは、常に必要だから、机に出しっぱなしだ。

その机は、今まで使っていた机よりも大きく、仕事しやすくなっている。


仕事場が完成して、早速、溜まっている仕事をやろうとした時、夏也が止めた。


「何をしようとしている?」

「仕事。」

「その身体に、栄養をいれてからだ。」

「でも、スケジュール的に大変になってね。」

「でもではない。ほら、居間へ行くぞ。桜、居間で春樹と高校入学に必要な書類と道具のチェック、やってて。」


桜は、指示に従った。


「お父さん。一緒に準備みてよ。ほら、社会に入ると複数での確認って必要でしょ?」

「ダブルチェックか。」

「それに、まだ、書いていない書類が一つあって、それは親のサインが必要だから、読んで書いてね。」


春樹は居間に行くと、桜は自分の部屋から書類を持ってきた。

書類内容は、教職員の勤務時間についての承諾書である。

県立流石高校は、教職員の勤務は午前八時から午後五時までとしている。

その時間外の生徒が犯した事には、一切関知しない。

その承諾書だ。


春樹の時代にもあり、こういう所にはきっちりしている高校である。


「それと、明日、指紋を取る為に高校へ向かわないといけないの。その時、保護者が誰か付き添わないといけないんだけど、お父さんいいかな?」

「いいけど……、俺指名ってことは、姫ちゃんの為?」

「違うよ。消去法だよ。だって、お爺ちゃんと父さん、仕事だよ。動けるのお父さんしかないよ。」

「そうですか。でも、一度は国田さんにお会いしておかないといけませんね。」


その一言で、桜は思った。

春樹の口から、真っ先に姫の名前が出て来てた。

それ程までに、姫の技術を気に入った証拠だ。


本来なら、とても嬉しいが、複雑な感情が芽生えていた。




次の日


午前九時から午後五時まで、指紋データーの記録を受け付けている。

桜と春樹は、午後九時に出向いていた。

まだ、朝早くだからか、目で数えられる程度しかいなかった。

きっと、皆は仕事があり、午後からは込むだろう。


そんな風に思っていると、桜は姫を見つけた。

姫は桜を見つけると、笑顔になり、桜へと駆け寄った。


姫が連れて来ていたのは、母親で、国田果歩かほだ。

仕事を休んで来ていた。


「おはようございます。国田さん。私、赤野桜の父、春樹です。」

「おはようございます。先日は、姫がお世話になりました。私、姫の母、果歩です。」


お互いに握手をした。

教師が、指紋をデーターにする機械を設置している間に話す。


「姫さんは、とてもいい腕をしてますね。手伝ってもらって助かりました。」

「そうなんですか?」

「はい、このまま学べば、とてもいい品を作られると思いますよ。」

「姫、言わないから、迷惑をかけたのではと思っていたのですが、役にたててなによりです。」


春樹は、桜と話している姫を見て、二人に聞こえない程度の声音で、果歩に話をする。


「もしも、姫さんが私の所で働きたいと、高校三年生になっても変わらないようでしたら、採用しようと思います。」

「え?そこまでの腕なんですか?姫は。」

「はい、ですので、この二年間は何も言わず、様子を見てあげてください。」

「子供って、親が見ていない所で、成長しているんですね。」


春樹は、桜を見ると。


「そうですね。」


一言だけつぶやくと、指紋データーを取る準備が出来た。




指紋データーを取る機械は、見た目、四角い板だが、指を近づけると白くなる。

親指をグーの形から出して、板を押すと、ピピピと三回音が鳴る。

鳴ったら終わりで、取れている。


取った後、四角い板とケーブルを通して接続されている、また四角い機械に転送されて、ピピピピピと五回音がなると、データーが移った。

この機械には、カードが挿入されており、色は白であった。


そこからが、保護者が必要になる。

白色をした四角い機械の前には、入力画面がある。

入力画面に映っているのは、名前、住所、電話番号、誕生日だ。

名前には、フリガナも入力するところがある。


春樹は、「これ、母さんもやったんだな。」って思うと、微笑ましい気持ちが膨らんだ。


「お婆ちゃん、この作業してから、一ヶ月後に。」

「そうだよ。お父さんが高校に入ってから、誕生日で、次の日に。」

「大変だったと、父さんから訊いたよ。」

「そうだね。大変だった。」


高校に入学して一ヶ月で、天涯孤独になるとは思わなかった。


桜が、もし、血の能力を受け継いでいたら、高校二年生に進級する所で天涯孤独になる。

あんな思いは、させたくないが、桜花から言わせると、能力は受け継いでいないので安心している。


入力が済むと、また、機械がピーピと鳴り、データー入力完了となった。

カードを、保護者に渡すと、説明が書かれた紙も一緒に持たせられた。


「このカードは、生徒カードとなります。学校に入る時に必要になりますので、説明を良く読んでください。また、失くされた場合は、再発行も保護者が学校に出向いて貰いますので、失くさないで下さいね。」


教師が説明すると、カードを受け取り、桜に渡す。

桜は、自分の高校へ入る許可を得られたと思い、喜んでいた。

姫は、まだ順番が来なくて、もう少しかかるから、一声かけて、先に桜は帰る。


「カードも懐かしいな。」

「これも変わってない?」

「うん、変わってない。」


カードを見ていたから、前から人が来たのを気づかずにいた桜は、その人とぶつかってしまった。

その人も、カードを見ていて、ぶつかった。

お互いにカードを落とさなかったが、ぶつけた拍子に顔と顔が合わさる。


同じ背丈位だったから、目が合う。


「すみません。」

「こちらこそ。」


そんな言葉を交わした時、目を逸らせなかった。

その時、何処からか桜の花びらが来て、目でお互いに追った。


「綺麗ですね。」

「そうね。」


その一言をお互いに発すると、それぞれの親から名前を言われ、親の元へと行く。


「どうした?桜。」


春樹が訊くと。


「お父さん、お父さんのお爺ちゃんの名前、春男だったよね?」

「そうだね。それがどうしたのか?」

「ちょっと……ね。」


先程、ぶつかった男性、春男って呼ばれていたのに、気になっていた。

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