第42話 桜の木の下で

ーーー春の夜桜、今日は花びらが一段と、綺麗だ。

何か違うとすれば、薄水色の花びらになってる…?なんでだ?謎は残るがやっとつく。


たける「これが例の桜か…」

たける「本当にこの桜なのか?花びらが青いな…」


そっと手のひらをひろげてみた、すると桜の花びらが手にのった。静かに桜の花びらが消えてしまった。木の根元に、青い肌をした足が見えた、全身が青いが、じょじょに顔が見えた…


たける「…さ…な…え?さなえ…なのか…?」


俺は疑いを隠せなかった、俺の前には、紛うことなき、妻、さなえだった。


たける「さなえ、もう、こんな所にいたのか、ほら、さぁ、帰ろう」


妻は首を振り、口には出さず、たけるの脳内に話しかけた


さなえ(私はそっちには行けない…、ごめんなさい…)


たける「…なに、言ってるんだ?こんな所じゃ寒いだろう?帰ろう。」


さなえ(…たける、悲しんでるのはわかるわ、でも、でもね、もう私は死んでしまっているの。ねえ、気づいて。)


たける「うるさいっ!!!さなえはっ…さなえはっ…死んでなんかいない!!!俺を悲しませないようにあなたのそばいるわって、そう言ってくれたじゃないか!」


さなえ(…そうね、確かにそう言ったわ。私だって、いつまでも、あなたのそばにいたかった。いたかったのよ。あなたを置いて、死にたくなんてなかった。)


2人は泣き叫んだ、妻を引き止めたい夫。

夫にはもう悲しんでほしくないと、突き放す妻。

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