第11話 なぜこんなに信頼されているのだろうか
「蓮、ひとまず構成案できた。一応何個か作ってきたからそこから選んでくれたら」
「おお、すごいな、分かった今日中に選んでおく」
白石から台本を受け取る。
「もうできたんだ。すごいね、白石さん」
「ところで白石。『星の王子様と薔薇の王子様』ってなんだ?」
「・・・それはもしかしたらあるかな・・・と思って、・・・ないよね」
軽く内容をみるが、予想通り大人向けの内容となっていた
「さすがに劇でこれは無理だな」
「そう・・・だよね」
「添削くらいはしてやるから、出版社にでも掛け合えばどうだ?」
「そうする」
「白石さん、大人向けの台本を持ってきたんだ・・・ねぇ、他にどんなのがあるの?」
「いろいろな種類のやつがあるぞ」
空の人魚姫、王子様と7人の小人、赤ずきんの事件簿、時の旅人形ピノキオ。まともな奴はこの4つだろうか。
「空の人魚姫、これ良さそうじゃない?」
「うーん、恋愛物語なのはいいと思うんだが・・・いや可能だな。他のやつもみてみるが・・・」
「ねぇ、王子様と7人の小人ってどういう話なの?」
ざっと読んだ感じ、すこしドロッとした恋愛小説のようだ。あらすじとしては、魔女を利用して白雪姫と結婚した王子様に小人たちが復讐をする、そんな復讐劇みたいだ。
「こっちのほうが、劇としては盛り上がるかもしれないな」
「ねぇ、蓮。去年ってどんな劇やったっけ?」
「確か、『どんより曇った五月晴れ』っていう劇だった気がするぞ」
「何、その馬鹿丸出しのタイトルは」
「あれ、感動したよねー、途中はあんなに怖かったのに」
「感動したんだ」
「傾向としては『王子様と7人の小人』に似ている気がするな」
「新しいジャンルもしたいし、純愛物の『空の人魚姫』にしない?」
「・・・そうだな。白石、『空の人魚姫』で確定だ」
「分かった。じゃあ、もう少ししっかりとした台本を書いておく。蓮、手伝って」
「もちろんだ」
日は流れ、文化祭1週間前になった。とても本格的なゲーム機ができた。
「すごいね。パチンコ、レースゲーム、その他いろいろ・・・すごいゲームセンターみたい」
「恐らくだが、ゲームセンターのどの機体よりも高性能だぞ」
「ところで、これって利益出るの?」
「どうだろうな。ある程度は出ると思うが、100いかない気もするな」
「蓮が私たちに造らせた、あれをふくめても?」
『あれ』とは他の台よりもハードモードになったゲーム機だ
「あれは半分博打だからな。かなりの利益が出るとは思うが」
「蓮の予測利益はどれくらいなの?」
「100から500だな」
「さっきと全然違うんだけど」
「ついでにゲーム機が最低でも100万で売れる」
「へぇ、そんなもんなんだ」
「ねぇ蓮、このままだったら後半上手く回らない気がするんだけど」
香川の意見を聞き、少し考える。
「なるほど少しゲーム機を増やしておくよ」
「さすがにそれは時間が足りないと思うけど」
「まあ蓮なら大丈夫でしょ」
「すごい信頼だね」
なぜこんなに香川から信頼されているのだろうか。
さらに日が流れ、文化祭本番になった。
「本当に追加で用意されているし」
「まあ蓮だしね」
「防犯機能はしっかりと機能しているな」
教室の扉にはバリケートと監視カメラが付いている。そんな奴いないと思うがゲーム機本体を盗もうとすればバリケートが閉まり、警報が鳴るようにできている。さらに、教室の中には監視カメラがこれでもか、というほどついている。
「本当はこんなに監視カメラ必要ないんだけどねー」
「じゃあ何でつけているの」
「用心はするに越したことはないからな」
「なるほど」
「ところで不具合が起きたらどうするの?」
「そこに作業ロボットを2体待機させているから、小さな不具合はそいつらに対処してもらう」
「無駄に高性能じゃん」
ちなみにだが、作業ロボットは警備ロボットも兼ねていたりする。大きな不具合は僕たちに連絡が行くようになっている。
そして文化祭が始まった。毎年のことだが最初の方はあまり人が入ってこない。
「私たちの劇は2時からだったよね」
「そうだな」
「じゃあ、奏花ちゃんとか累とか呼んで軽く回らない?」
「そうしようか」
そういうことで香川、梶井、音無、白石、赤坂そして僕の6人で文化祭を軽く回ることにした。
「あれ?思ったより来客数が多いんだね。こっちにはあまり来ていないのに」
「毎年のことだしね」
「どういうこと?」
「この学校の文化祭には回る順番に推奨があるんだ」
「へぇ、めずらしいね」
「特にいきなり私たちの方に来ると普通科の方が少し・・・」
オブラートに包まずにいうと、クオリティに差がありすぎて普通科の方がショボく見えてしまうのだ。
「そんなにひどいの?」
「ううん、他の学校の文化祭よりもクオリティは高い気がするよ。でも比べる対象が・・・」
「プロとアマチュアくらいの差はあるからな。アマチュアが低いわけじゃない」
「なんか自己意識高くない?そんなにハードル上げていいの?」
「まぁ、それで実際会社を動かしているからな。多少鼻が高くなっても何も問題はないだろう」
「それもそうだね」
音無も会社を動かしているこちら側の人間であった。
「で、どこから回る?」
「とりあえず1年のところに行かないか」
「そうだね。今年の1年はどうかな?」
1年の教室に着くと、屋台もどきがいくつか並んでいた。射的、たこ焼き、くじ引きなどなど。お祭りかな?・・・一応祭りか。
「お、結構よさげだね。みんな、射的やらない?」
香川が提案すると全員了承した。
「射的6回お願い」
「1回750円、6回で4500円ね」
「高くない?」
ぼったくり価格設定な気がする。一応、目玉商品として『純金のインゴット1kg分』が置いてあるが取れるかどうかすら怪しい。ま、お祭りってそんなものか。
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