第10話 予算はポケットマネー

「さて、そろそろ文化祭の季節だな」


「へぇ、この学校にも文化祭なんてあったんだ」


一応学校なので文化祭は普通にある。


「うーん、でも春の文化祭でしょ。適当でいいんじゃない?」


「香川さん、春の文化祭って?」


「この学校は春と秋、2回文化祭をするんだ。1回目は外部向けの文化祭、2回目は生徒向けの文化祭となっている」


「へぇ、そうなんだ」


「そして毎年、僕たちは外部用の出し物をさせられるわけだが、僕たちのやる気を引き出すために一つルールが設けられている」


「どんなルール?」


「発生した収益はもちろん、作った装置などを販売して得た収益も自分たちの金にして良いというルールだ」


「なるほど。売れる物の方がいいんだね」


「その通り。そして、去年は料理屋と演劇だな」


「意外にもシンプルなもので行ったんだね」


このクラスを何だと思っているのか


「で、結局どれくらい売り上げたんだっけ?」


「たしか、料理屋の利益が100万で演劇の利益が500万、その後に演劇の台本で1500万儲けたから、計2100万を利益として出したな」


「一応だけど、それって何日間?」


「普通に3日間の開催だったな」


「…すご」


「で、今年はどうする」


「演劇とゲームコーナーとかでいいんじゃない?」


「料理屋はいいのか?」


「去年、演劇と同時に料理屋を回すのが一番大変だったから」


周りを見ると、皆うなずいている。今回は人を配置しなくてもよいゲームコーナーをする雰囲気になっている。


「これって複数やる必要あるの?」


「特にないが、基本的に暇だからな」


「なるほど、これが才能か」


「では、ゲームコーナーと演劇で。何か異議のある者はいるか。いないな」


出し物はゲームコーナーと演劇に決まった。


「そして、肝心のテーマだ。演劇は…去年同様、白石に任せる、でいいか?」


「…私もそれでいい」


白石も他のみんなも特に異論はないようだ。


「肝心のゲームだが、総力をあげて作る…でいいか」


「さすがにジャンルはたくさん作った方がよくない?」


香川の提案で各々好きなジャンルを書き出すことになった。




10分後。UFOキャッチャー、モグラたたき、ドライブシミュレーター、パチンコ、エアホッケー、スロット、リズムゲームなどなどいろいろな案が出た。


「ところで、ギャンブル系ってありなのか」


「景品交換しなければ良いんじゃない?」


「そうか、では各自作りたいものを作るように。予算は僕のポケットマネーから出すので基本無制限だから、心置きなく作ってくれ」


「ところで、今回も蓮は監修を担当するの?」


「基本的にはそうする。作りたくなったら僕も適当に作るけど。じゃあ、今日はここまで。解散」


「なんかヌルっと終わったけど、予算はポケットマネーなんだ。そして無制限ってどんだけ金持ちなの…」




寮に帰り、時は進み、夕食の時間。


「今日はカレーだ」


「おおー。ところで、これは何辛?」


香川は特に食べれないものはないが、激辛は得意ではないらしい。


「さぁ、だいたい中辛くらいじゃないか」


「いつも思うけど、遠藤君って味見しないの?」


「したことないな。味見して気に食わなかったからって作り直したくないしな」


「適当に調味料で味を調えればいいと思うけど…」


「調味料の配分を失敗したことはないな」


それに調味料でどうしようもないこともある。


「え?どういうこと?」


「蓮はね、見るだけで味の濃さが分かる能力者だから」


「何それ、料理はあんまりしないけどその能力ほしい」


「能力云々の話は置いておいて、そんなわけで味見をして得することはほとんどないな」


「遠藤君は味見しなくても超一流の料理が作れるから…羨ましい」


褒められているのかどうかは分からないが、言われて気分は良い言葉だ。


「話は変わるけど、みんなってどれくらいお金持ってるの?」


「意外だな。音無からお金の話が出るなんて」


「蓮って実は超金持ちなんじゃないかって思って」


「んー、私は毎年研究成果で数千万円はもらえるけど、税金がねー。まぁ、一般的な社会人よりもはるかに稼いでいるのは事実かな」


「すご。わたしはアルバム1つにつき大体100万、1曲につき10万以上は儲かるから…毎年500万くらいかな。税金でかなり取られるけど」


「僕は、いろいろな仕事をして、大体1から10億くらいかな」


「もうけすぎでしょ。何の仕事をしているの」


「ちなみに高校入学前はその10倍は儲けていたぞ」


「本当に何の仕事していたの?」


「人には言えない仕事かな」


「怪しすぎるでしょ!」




その一方、赤坂と梶井は。


「なぁ累、俺たちあの会話のスピードについていけねぇんだけど」


「分かる。音無も一般人みたいな反応しているが、確実に一般人ではないからな」


このように愚痴を語っていた。僕が思うに、少なくともあなたたちも一般人ではない。


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