第5話 眠れなくなるほど強力な眠気覚まし
旅行二日目。特に何泊するか決めていないが大体5から10泊で帰るだろう。
「おはよう、遠藤君。早いね」
「おはよう。音無こそ、早いな。昨日5時くらいまでずっとゲームしてたのに」
「香川さんに眠気覚ましを飲まされて、眠れなくなった」
「香川は?」
「布団でぐっすり寝てる。睡眠は大事だとかなんとか」
「まぁ、そういうやつだ、香川は。香川と付き合っていくにはできるだけ振り回されないようにしないとだめだぞ」
「遠藤君こそ大丈夫なの?遠藤君も3時間くらいしか寝てなさそうだけど」
「僕は大丈夫だ。睡眠時間はしっかりとっている」
「おっはよー。奏花ちゃん寝れた?」
「まったく。あの眠気覚ましすごい効果だね」
「あれ?奏花ちゃんに眠気覚ましなんか渡したっけ?」
「え?」
「昨日カレーを食べてそのまま寝たような・・・」
「なにこれ、怖い。急なホラー展開?」
「違う、香川の病気・・・ではないな、性質だ。起きた直後、特に熟睡した後、寝る前の記憶がしばらく吹き飛ぶんだ。数分くらい待つか、2、3回たたけば直るぞ」
「昔の電化製品じゃん」
「・・・あっ、思い出した。奏花ちゃんが明日起きれるか心配っていうから、寝なければいいんじゃないって言って眠気覚ましをあげたんだった」
大胆な解決方法だな。
「香川さんも少ししか寝てないと思うけど眠くないの?」
「私?私はあまり寝なくても大丈夫な人だから。ショートスリーパーってやつ」
「そのせいで香川に振り回された奴はもれなく全員寝不足におちいる。気を付けろよ」
「なんか怖いから気を付けておく」
「今日はプールで遊ぼう!累たちは?」
「まだ寝ている。もうすぐ起きると思うぞ」
「先に水張っとくね」
香川が水を張りに行った後すぐに、梶井と赤坂が起きた。
「今日はプールで遊ぶのか?まだ4月だぞ」
「季節感なんてあってないようなものだろ。クリスマスに、怪談大会をした奴だぞ」
「まぁ一応温水だから。冷たくはないと思うぞ」
「ところで、水着は持ってきたのか?」
「もちろん。持ってきてないよ」
「さすがに水着はおいていないと思うが」
「大丈夫。防水スプレーを持ってきたから。これを普通の下着につければ、水着に早変わり」
「防水スプレーはそこまで水をはじかない気がするが」
「朝海特製の防水スプレーだ。そこらの防水スプレーとは比にならない性能を誇っている。俺が保証する」
「なるほど。で、どんな弱点があるんだ?」
香川の作る道具は売られている製品とは段違いの道具を作る。ただし、売られている製品の比にならないほどの欠点を持っている。
「今回のは比較的マシだぞ。ガソリンの数倍の引火性があるだけだ」
「あぶなっ。死ぬかもしれない欠点じゃねぇか」
「これで比較的マシ・・・?怖いんだけど」
「死にそうだから適当に買ってくるよ。一緒に来たい奴いるか?」
「・・・飛ぶのか?」
「もちろん。それが一番早いし」
「なら俺は遠慮しとく。適当に買ってくれ。サイズは分かるだろ」
梶井が断ると、続いて赤坂といつの間にか起きていた白石が断った。
「飛ぶってどういうこと?」
「あーそうか。奏花ちゃんは蓮のアレ見たことなかったね。一緒に来たらどう?結構楽しいよ」
「?分からないけど一緒に行く」
「じゃあ、出発するぞ」
外に出ると箱型の乗り物が置いてある。サンタが乗っているそりに近いものである。
「その椅子に座ってくれ。一応シートベルトを付けておけよ」
「分かった」
「行くぞ。出発進行!」
僕は靴と「そり」を結んでから、靴を「起動」する。すると、羽が付いて空を飛び始めた。
「え?空を飛んでる。しかも、早い!?」
「すごいでしょ。とっても便利なんだけど、離陸できる場所が少なくて使いにくいんだよね」
「特にそれが付いていればな。靴だけならまだしも、それが付いていると異様に目立つ。離陸できるのはあの街だけだ」
「空を飛んでいる時点で相当目立っていると思うけど・・・」
「それは大丈夫だ。ステルス機能が付いている。よほど注意深く観察しないと見えない」
「どこまで高性能なの、これ」
そんなことを話していると数分でついてしまった。
「目的地到着だ」
「ねぇ、これ買い物中はどうするの?」
「そもそもだがどうやってあそこまでもっていったと思っているんだ?」
「え?」
「こうやって、小さい箱にできるんだ」
「もう何でもありだね」
水着を買ったり、食材を買ったり、香川が欲しいものを買ったりして、1時間程度で別荘に帰ってきた。音無は「一々戻っていたら旅行の意味ないような・・・」と言っていた気がするが便利なところは利用すればいいのだ。
「ただいまー。さぁ、遊ぶよー」
「僕と葦田は肉を焼いているから、何かあったら呼んでくれ」
香川の提案で、プール兼バーベキューをすることになった。幸いプールサイドは広かったのでバーベキューセットを置くことができた。衛生?気にしたら負けだろ。僕と葦田は肉を焼く担当になった。
葦田と他愛のない話をしながら肉を焼いていると、香川たちはいつの間にかバレーボールで遊んでいた。人に仕事を押し付けて遊ぶなと思うが、今更な気もする。
「あっ、蓮ー、ボールそっち行った、止めてー!」
ボールが結構早い速度で飛んできた。腕時計についている水鉄砲で撃ち落とす。
「ありがとう。それで、さっきの何!?」
「腕時計の水鉄砲機能だ。よくある機能だろう」
「普通、腕時計に水鉄砲は・・・いや、物には水鉄砲機能はつかないよ?」
「そっか、水鉄砲機能かー。とにかく、ありがとう」
「そっかで済ませられることだったんだ・・・」
「蓮も一緒に遊ばない?」
「先に昼ごはんにしないか。肉が焦げるぞ」
「あ、食べる食べる」
香川たちもバレーボールをやめて一旦、食事をすることになった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます