第7話 告白

今年はクリスマスに桜さんへ思いを伝えると決意した。

拓也と祐介には、今年のクリスマスは用事があるから、二人でやってくれと連絡しておいた。


そして、クリスマスにご飯を食べて、イルミネーションを見た。

正直最初は、どこで告白しようか考えていたが、やっぱり最初に出会った公園がいいと思った。


学生だから、ご飯もファミレスとかになってしまったけど、桜さんも喜んでくれていたみたいでよかった。

今年のクリスマスプレゼントは、スマホケースを選んだ。

告白はプレゼントでは無いからな。


寒いから桜さんのことを気にしながら、公園まで来てもらった。


桜さんも懐かしいね、なんて話をしてくれていた。

最初に出会ったのもここでしたよね。


たまたま私が引っ越してきた日に、散歩していて見晴らしのいい公園だなと思い、立ち寄ったんですよ。


春休み、たまたま晴との思い出の場所に行きたくなった、その時に桜さんに出会い、高校で仲良くなることが出来た。

これは、晴が繋いでくれた縁だと思った。


ありがとう。

晴。


桜さん。

僕は真剣な表情で、桜さんを呼んだ。


桜さんも静かに僕の話を聞いてくれた。

クリスマスに二人で会い、エモい雰囲気になってるんだ、察するよね。


桜さん、好きです。

僕と付き合ってください。


言った。

もうあとに戻ることは出来ない。

ミリスネアのみのまんたさんが、小切手を切るシーンみたいだ。


心臓がバクバク言っている。


桜さんは、少し驚いた表情を見せたが、すぐに真剣な顔になった。


告白って初めてやったけど、こんなに緊張するもんなんだな。

夏休み明けに、浮かれてるカップルいたけど、あいつらも同じ道を歩んだのか?


とても長い時間のように感じた。


あれ?これ返事もらえないパターン?

そう思っていた時。


桜さんはゆっくり、「はい、よろしくお願いします」と答えた。


僕は、一瞬飲み込めてなかった。

普通にOKを貰ってるはずなのに、実感がなかった。


返事をもらえて、安堵したら急に疲れがどっと来て、公園のベンチに座りこんだ。


何を話そう。

話す話題が出てこない。

頭の中がぐるぐるしていた。


桜さんが話し始めた。


私は、初めて光司さんとここであった時、気さくな人だなって印象を持ちました。

あの時は、夜だったこともあり一人でいるのは、危険だったかも知れません。

でも、光司さんからは恐怖を感じなかったんです。


見た目から年が近いと思ったからなのか、なんなのかはわかりませんが、この土地で出会ったのが、あなたでよかった。


そして、入学式であなたを見つけた。

名前も聞いてなかったから、座席表を見ただけではわかりませんでした。


でも、教室にあなたが入ってきて、私は嬉しかったです。

私は積極的に、人に話しかけに行くのが苦手で、席に座ってじっと待つしかありませんでした。


そんな時に、あなたが教室に入ってきてくれた。

しかも席が隣なんて、もう嬉しすぎました。


この人と友達になりたい、でもこちらから話しかける勇気はない。

席が近いから、なにか起こるだろうと神頼みでした。


その神頼みが叶ったのが、あなたから声をかけてもらえたこと。


友達になってくれてありがとう。


そして、一人ぼっちを覚悟していた私に、拓也さんや祐介さん、るりさんといろんな人と繋いでくれて感謝しています。


体育祭の借り物競争覚えていますか?


覚えている、あれは確か「異性」を連れて行くやつだったよな。

うん。覚えているよ。


あの時、真っ先に光司さんの顔が浮かんだんです。


え?まじで?


はい、まじです。


その時から、少し私の中で光司さんへの感情が、動いていたのかも知れません。


私は、恋愛をしたことがないので、この感情が何なのか理解出来なかったんです。

気がついたらクリスマスプレゼントも買っていた。


今日、光司さんに告白されて、やっとわかりました。

この感情は「好き」ということだと。


少女漫画を読んでいるのに、好きって感情に気付けないのは、私は鈍いってことなんでしょうね。


それでも、光司さんのことが好きだと、気づくことが出来たので、私は告白をお受けしました。


光司さん、これからよろしくお願いします。


あ、こちらこそよろしくお願いします。


告白のあとに、用意していたプレゼントを渡した。

僕からは、スマホケース。

桜さんは、ハンカチ。


告白が成功して本当に良かった。


今年のクリスマスは、去年とはまた違ったイベントになった。

嬉しすぎて学校が始まるのが怖い。


僕でもニヤけてしまうよ。


拓也と祐介からは、上手く行ったか?とRainが来ていた。

るりさんからも、なぜか上手く行ったか?とRainが来ていた。


拓也と祐介、るりさんに、大成功!!って送っておいた。


るりさんには何も言ってないのに、どこで情報を手に入れたんだ。

桜さんがクリスマスに、僕と会う約束をしていることを、話していたんだろうか?

まぁどうだっていい。


今年もみんなで初詣、そのときにはしっかりいじられた。


そして、また冬が過ぎ、春が訪れようとしていた。

高校生活最後。

3年生編が幕を開ける。

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