第4話 蜂蜜の憂鬱(仮題)

「冗談じゃありませんわ! 何故わたくしがそのような殿方のお相手をしなくてはいけないのです! ああ、そうだ。シャーロット(仮名)にお似合いの役目ではありませんこと?」


 我儘な姉(もしくは妹)に嫌な役目を押し付けられて……、というのは女性向け作品の人気テンプレの一つですが、今回主人公が押し付けられたのは、冷酷残忍と噂される辺境伯との結婚、などではなく、こちらの世界から召喚された勇者の接待ハニートラップ役でした、というお話です。


 こちらの世界から異世界に召喚されて魔王討伐を託される、という王道展開について、何で拉致同然(というか拉致そのもの)に召喚されたのに、えん所縁ゆかりもない連中のために命懸けの務めを容易たやすく引き受けるんだよ、というのはよく指摘される点ですね。

 そこで登場するのが、うら若き美女・美少女たちによる肉弾接待ハニートラップです。

 王国のお姫様から、色仕掛けも交えつつ「お願いです、私と一緒に戦ってください」なんて言われたら、やはり男としてはそうそう断れるものではありません(笑)。


 本作では、本来接待役を務めるべき王女が名門貴族の令嬢に役目を押し付け、さらにそれが姉から妹に押し付けられる、という展開です。

 まあ、もっとシンプルに、王女様から直接下級貴族の娘へ、という設定でも良いかもですが。


 さて、そういった次第で接待役を押し付けられた主人公。次第に召喚勇者の純朴だけれど善良な性格を愛するようになり……という展開ももちろん悪くはないでしょうが、少々ありきたりですよね。

 なので、本作では、主人公は勇者に対して徹頭徹尾冷めたままでいくことにします。

「カラアゲ」とかいう異世界の料理を振舞われて胃もたれしたり、生卵を食べたがるのにドン引きしたり、やたらと風呂に入らされるけどこっちの世界は湿度が低いので肌荒れを心配したり、とかね。


 そして、勇者に対する接待ハニトラ要員は主人公だけではありません。

 共に魔王討伐に赴く女騎士や魔道士、聖女など(そのうちのどれかを主人公に割り振って、それ以外ということになりますが)もまた、勇者を接待するよう国王から命じられています。

 さらには、勇者一行が行く先々で出会う町娘、村娘に対しても、命令が下されています。

 要するに、異世界のハーレムチョロインやチョロモブは、皆勇者に気分よく魔王討伐に赴いてもらうための仕込みだったわけです(笑)。


 と、そんな具合に展開していくお話ですが、主軸になるのは魔王討伐よりもむしろ役目を押し付けた姉や王女に対するざまぁですね。

 勇者は……ねぇ。こっちの世界じゃ陰キャだったのが、不相応な力を与えられた上、モテ期(笑)到来で図に乗ってるだけなので、ざまぁされるのはちょっと気の毒かも。


 ざまぁ展開に持って行く方法として、手っ取り早いのはやはり、魔王にスパーダーリンスパダリ役を割り振るパターンでしょうか。

 あと、魔王様には妹がいて、このが勇者に惚れ込んでしまうというのはどうでしょうか。キャラクタータイプとしては、メスガキ系あるいはヤンデレ系かな?

 で、主人公とハーレムメンバーたちが、「え、魔王軍にも接待命令って出てたりするの?」、「んなわけあるか!」、「それじゃああの娘、ガチってこと?」みたいな会話を交わしてたり(笑)。


 そして、別に人間と対立を望んでいるわけではなく和解も視野に入れている魔王と手を組んだ主人公(&勇者)による、対魔王強硬派に対するピンポイント反撃が始まるわけです。


 もちろん、魔王軍を人類との和解が絶対に不可能な存在として設定するのも「あり」かとは思いますが、ストーリー展開の難易度は上がりそうです。

 いや、魔王軍を放置するといった形で、むしろざまぁはやり易いかもしれませんが、主人公たちへのヘイトが高まりそうですからね。そのあたりのコントロールが難しいかと。



 と、まあこんなお話なわけですが、自分で書かない理由としては、こちらの世界の人間が異世界に行って現地の人間より強い(それも圧倒的に)わけなかろう、という気持ちが強いもので。

 だって、ねぇ。魔法が存在する世界でずっと研鑽を積んで来た人たちより、なんでぽっと召喚されたばっかりのこっちの人間の方が上なのよ。

 もちろん、このあたりについては疑問に感じる方も多いようで、皆様色々工夫を凝らされています。

 神様の加護、というのは定番中の定番ですし、次元の壁を越えた際の影響とか、転移前に地獄で特訓を受けてました、とか、色々ありますよね。

 自分でも何か納得のいく設定が思いついたら、もしかしたら挑戦してみるかもしれません。

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