第3話 異世界風林火山(仮題)

 上杉うえすぎと来れば、次は武田たけだですよね。

 現代人が武田たけだ信玄しんげんこと武田たけだ晴信はるのぶ(1521~1573)の息子たちや父・信虎のぶとら(1494~1574)に転生、という作品はすでにいくつもあるようですが、信玄本人に転生というのはあまり見た記憶がありません。いや、もし書かれている方がいらっしゃったらごめんなさい。


 しかし、今回のお話は、信玄転生するのではなく、信玄転生するのです。もちろん異世界へ。


 西上せいじょう作戦の途中、志半こころざしなかばで病没した信玄は、再び目覚めると異世界の赤子あかごに転生していました。

 立場は、弱小貴族の第二子以下あたりがいいでしょうか。素直に嫡男でもいいんですけどね。


 大きく(ホントだよ)変わってしまった環境に混乱しつつも、持ち前の聡明さでもってその世界の知識を吸収していき、武芸にも魔法にも熟達した信玄の少年――仮に「カイ」とでも呼ぶことにしておきましょうか――は、河川の氾濫に苦しむ領内の民のため、父親を説得して前世同様の治水事業を行い、状況を改善します。


 一介の高校生やしがないサラリーマンが異世界に転生したら現代知識で無双、という展開に対して、「何でお前はそんな知識を持ってるんだよ」と突っ込まれることが多いですが、カイ君の場合は前世の実績がありますので安心です(笑)。


 実際のヨーロッパだと、平坦な地形が多いので、河川の氾濫ということがほとんど無く、治水技術自体必要性が薄かったんですよね。

 そんな中、カイ君の領地は、(アルプスみたいな)険峻な山岳地帯からいくつもの河川が流れ込む場所に位置しており、雪解けの時期には毎年のように氾濫を起こす、といった設定で行きましょう。


 そうして、氾濫を制御し領内の農業生産力を向上させたカイ君は、王国の王女様に目を付けられます。

 弱小貴族の息子が王女様の婿候補になりうる理屈は適当に考えましょう。その王国では伝統的に、名門貴族の力が強くなり過ぎないよう、王妃ないし王配を、一世代ごとに名門貴族からと中小貴族からと、交互に迎え入れるようにしていて、今回は中小貴族の番、とかね。


 しかし、カイ君としては、前世で公家出身の妻(三条さんじょうかた:1521?~1570)としっくりいかなかった経験から、お姫様の婿などまっぴらだという気持ちが強く、一悶着起きる、といった展開です。


 しかし結局は王女様に落とされてしまったカイ君、王配として一国の舵取りを担うこととなり、ナーロッパ世界統一に向けて漕ぎ出していく――みたいなお話。


 自身の野心で動いているくせに二言目には「義のために」というのを振りかざすライバル(笑)が登場したり、「魔王」の異名を取る最大の敵が立ちはだかったりと、前途は多難。カイ君は果たしてナーロッパを統一できるのか?


 ああ、そうそう。現代人が異世界に転生・転移したとたんに「ハーレム万歳!」とか言い出すのは嫌われがちですが、その点カイ君は、前世でも複数の妻を持っていましたのでノープロブレムです。妻である女王様が許すかどうかは知らん。


 と、ここまで書いてきましたが、TS転生もありですね。

 中身は武田信玄な貴族令嬢アゼリア(ツツジの意。信玄の居館・躑躅ヶ崎館つつじがさきやかたから)ちゃん、とかいかがでしょうか。



 これももしかしたら自分で書く可能性もなくはないのですが、ご興味のある方はどうぞご遠慮なく挑戦なさってください。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る