登場人物について

今回の題材は皆さまが最も得意とする分野だと思われる「登場人物」に関する記事となります。


いくつもの作品を作っている方も、そうでなく今から初めて小説を書く方も、どちらも楽しめるよう文筆して参りますのでどうぞよろしくお願いいたします。


そして今回の記事も口喧しくこの上ないですが、「登場人物」に関する私の持ち得る知識の、ほんの十分の一前後ほどしか書いていないということを、悪しからずご理解いただけますと幸いです。

なにせ正解はないもので、且つ膨大な量の文を書かなければなりませんので、小分け小分けで参ります。双方にとって一番理解し易い文量に留めましょう。

読むだけでは意味がありません。一度理解した内容を自分なりの解釈と感情、それと鳥瞰的な立ち位置を踏まえた三段階法で文字に起こすことを勧めます。



「登場人物 作り方」


WEBでこのように検索をすると、以下のようなものが出てくると思います。

・異世界ファンタジーの鉄板

・魅力ある登場人物とは

・登場人物の作り方

凡そこのみっつが大半を占めるのではないかなと。では順に説明していきましょう。


「異世界ファンタジーの登場人物」

今ではWEB小説の王道ともなる世界観ですね。異世界ファンタジーや転生もの、といったジャンルの登場人物のことでしょうか。

だいたいは以下の通りの設定が多いのではないでしょうか。

・現代では不遇、亦はなんらかのデメリットを持っている

・目が覚めると、亦は突然死のあと異世界、亦は転生先の登場人物のなかへと生まれ変わる。

・生まれ変わる際には上位種との契約により、ズル(チート)の能力を持って、異世界を跋扈する。

全然これでも構わないのですよ。寧ろテンプレートを遣わない手はないです。見飽きた主人公やヒロイン、既視感を感じる設定、盛られた設定。

これら全てを否定するつもりもありませんし、その作者にとっては最も作りやすい手順で構築されたものなのでしょう。

これらの登場人物を見て、物語を書くひとは一様に思っているはずです。

「私のほうが魅力的な登場人物を書ける」。

果たしてそうでしょうか。

確かに昨今の登場人物は著しく水準が下がっていると云わざるを得ません。

幼稚な語彙力、観察眼のない思考、都合の良い展開、非絶望、etc.

パッと思いつく限りでもこれらのことが云えますね。

今これを読んでいらっしゃる作者のなかで、上記に当てはまらない方がどれだけおりますか?

読者に「伝える」力がないのにも関わらず、独り善がりな設定をひけらかし。

凝り固まった「視点」からでしか物事を勧められない「ご都合展開」。

挫折を「知ったつもり」になっている登場人物が、「這い上がった振り」をする。

私はこう云った物語性を好みませんし、面白いとも思えません。事実として売上が良い作品もあるので、一概には云えませんし、云えば多方面から怒られてしまいますのでこの辺りで。

さて、少しだけ本音を云ってしまったので、話を戻しますね。

なにも全否定をするわけではありません。売れている作品や書籍化した作品というものは「なにか」が他よりも抜きん出ていることが多いです。カクヨムや他のサイトでWEB小説を執筆していらっしゃる方のなかにはもしかしたら「現在売れている作品」を真似て、アレンジして、創作していらっしゃる方も存在するのかもしれません。

編集者の立場として物申すのならば、「現在売れている作品に酷似している作品は問答無用で声をかけません」。

例え文章能力に優れていても、世界観が緻密な水準で作り込まれていても、登場人物が心揺さ振られ手に汗握る関係性を持っていても、です。

ひと昔前のライトノベルでも、所謂「なろう系」と云われている作品にも繋がることですが。「流行り廃り」前提の小説には爆発的な売上を見込める価値が無いに等しいのです。

漫画のなかにある言葉になってしまい大変恐縮ですが。

「憧れとは理解から最も遠い感情」というものがあります。正にこの言葉が当てはまりますね。

模倣をして公募に出しても「たまたま」書籍化されることはありますし、「有名作品を作りたいだけ」で編集から声がかかることもあります。これは事実ありました。

けれどもそれは作家の才能を潰す行為に他なりません。

これはどの業界にも云える日本人特有の悪しき風習ですが、「天才」という言葉を軽んじていることが要因のひとつです。

天才とはなにか。

「才能があるだけではなく、それを自らの意思の許、言動に映せる自己意識の塊」のことを指します。天才は自己中心的で、相互理解能力に欠け、決して曲げない強い精神を持ちます。

現実では、天才はどのようになるのか。

実績がないに等しいのにも関わらず、声をかけてきてくれた人間がなにかを理由に持て囃し、作者は自己研鑽に費やす時間を愉楽のために費やし、数年、亦は数巻出した処で売上が伸びなければポイとされます。そして自己研鑽に時間を費やさずにいた作者はそのときになって焦りを覚えますが、時すでに遅し。新しい「天才」が現れ、繰り返されます。

これはどの業界にも云える個人的解釈のひとつだと自認しております。

この記事を読んでいらっしゃる作者の方々にはこのようになってほしくないので、きちんと自己研鑽を積んでください。


閑話休題。


登場人物の作り方、でしたね。失念しておりました。


ご覧になっていらっしゃる方々は、普段どのように登場人物を作るのでしょうか。


名前、出歴、行動、性格、とこの辺りから着想を得て肉付けを行うことが多いと思われます。

実際勿体ぶって大変遺憾ではありますが。

ジャンルによって登場人物の作り方は違いますし、作者によっても差異はあります。

けれども有名な作家になると登場人物の背景に余念がないことも事実です。

では登場人物の背景とはなにか。よくバックボーンと表現されるものですが、簡単に云うとその登場人物の「人生」です。

作者が現在を生き、未来へ進んで過去もあるのと同様、登場人物にも同じことが云えますよね。そして初心者の方が勘違いされることのひとつでもあり、大きな差異でもありますが。


登場人物の過去や未来を書く際、不確定要素を出してはいけません。


「ふたパターン用意」することや「ここは現段階では決められないから置いておこう」といった曖昧さは、登場人物の存在自体もあやふやになってしまいます。

では何故「検討」という余地が赦されないのかですが、いたって理由は簡単であり、当然であります。

あやふやな人生を歩んでいる人間は存在しないからです。

「偶然」や「運が良く」と云う方もいらっしゃいますが、大企業の社長になれるひとは弛まぬ「自己研鑽」を必ずしておりますし、大富豪のひとり息子が跡を継ぐにしても「帝王学」は必ず学びます。

本人が自覚しているか否かは置いておいて。

登場人物の過去は緻密に、正確に矛盾なく、ひとりの人生を作る気持ちで作らなければ、「共感」できる人物は描けません。これは列記とした事実であり、曖昧な登場人物が人気になっている作品を私は知りません。「作者があえて隠している」パターンは無論ありますが、考えていないわけでは決してないです。

大企業の面接官が「学生時代になにに力を入れていましたか?」という質問に「そこは考えていません」と答えても内定を頂けるはずもないでしょう。同じです。

決して嘘はいけないですが、思考する余地のなかで思案することは悪いことではありません。

そして「考えていないのに突っ込まれたから考えていたように辻褄を合わせる」といったことは愚の骨頂に他なりません。それならば素直に考えていない旨を伝える方が読者にとっても良い作者となり得ますし、過去そう云った手合いの方もいらっしゃいましたが、二度と関わることを辞めました。無益で無価値だからです。

私は登場人物とは作者の一側面であるべき、と考えている人間ですので、特段「個性」や「夢」が詰まっていない過去や未来には毫ほども興味が湧きません。

現実感、所謂リアリティと呼ばれるものの正体は「過去と未来、そして今」と云う本質のことと思います。


そして今は「初心者に向けた解説」がテーマとなりますので、この辺りで筆を置こうと思います。

ためになったのならば重畳ですし、なに言っているか分からないという方もそれはそれで重畳です。十人十色、千差万別。みんな違ってみんないいとは良く云ったもので、正解はないことが、小説然り芸術然りの最大の魅力となります。


次のテーマはなにも決めておりません。

初心者向けのテーマですので、「文章能力」といったものについて軽くお話してみるのも面白いのかなと思っていたり、はたまた「プロットの考え方」のようなものをお話するのもいいなとか。未だ迷走中で、言語化途中となります。

気長にお待ちいただけるとありがたいです。




皆様の温かい応援コメント誠にありがとうございます。


拙い文章で申し訳ございませんが、流動食ではなく、固形物として、きちんと咀嚼し、呑み込んでください。


基礎と基盤は別物です。


交流自体、歓迎しておりますので、いつでもご相談、ご質問を受け付けております。

些細なことでも結構ですので、分からないままにしないよう、お願いいたします。

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