第3話 儀式は無事には終わらない
――社に祀られる者、正中にありて里の民に向かいて鎮まりて、儀式を経て神とならん
今朝、珠名に託された儀式の書にはそう書いてあった。参列者に背を向けるのはこの儀式においては致命的な間違いなのだ。儀式を中断することは儀式の失敗を意味する。しかし儀式はもう既に始まってしまった。途中でやめることはできない。巫女の姉妹は珠名が気付いてくれることを切に願ったが、その願いは届かなかった。
『掛けまくも
珠名はこれから神として祀られる者を、それが例え甥であっても畏れ多くて直接目を触れることができなかった。瞳を臥せて、麗らかな声で天に
邪悪な者は境内に入れないはず。それなのになぜ――。
珠名は神域を高めて不吉を祓うべく一心に紙垂を振る。しかし、今読み上げている祝詞は
「
珠名は必死に祝詞を奏上したが、その甲斐も虚しく、儀式は無事には終わらなかった。
そのころ居祈は神前に向かって端座し、手を合わせて
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