人種差別を受けた主人、相手を拳でフルボッコにする②

 大熊猫パンダはMに馬乗りになって、顔面を殴り続けた。女子生徒数名が走る姿が視界の端に見えたが、それでも大熊猫パンダは殴り続けた。


 この頃の大熊猫パンダの体重は100キロ程。対して、ラグビー部のMもそれなりに良い身体付きをしているが、大熊猫パンダに膝で両腕を押さえつけられているせいで、ほぼ無抵抗で殴られ続けていた。


「おい、何やってるねん!!」


 女子生徒が呼んできたのは体育教師のY先生だった。陸上部の顧問も受け持っているY先生だが、室伏選手のような身体付きではなく、桐生選手のような細マッチョな身体付きをしている。その為、怒り狂う大熊猫パンダを止められる筈もなく、腕を薙ぎ払われただけで派手に尻餅を着いてしまった。


「フーッ、フーッ!!」


 Y先生に謝罪の言葉を述べず、大熊猫パンダは息が上がったままMを殴り続けた。そのせいでMの顔はボクサーのように腫れ上がり始めていた。


大熊猫パンダ!! そのくらいにせぇ!!」


 次に現場に駆け付けて来たのは、ラグビー部の顧問であるS先生と柔道部の顧問のA先生、校長先生の三人だった。三人でMから大熊猫パンダの腕を引っ張り、全体重をかけて押さえ付けられてしまう。


「放せぇぇっ!! 絶対に●してやる!!」

「もうやめぇ! これ以上やったら、Mが死んでしまう!」


 派手に尻餅を着いたY先生も途中から参戦し、男四人がかりで大熊猫パンダを鎮静化させる事に成功した。


 大熊猫パンダは涙こそ出なかったが、頭に血が上り過ぎて見た事がないくらい顔が真っ赤になっていた。


◇◇◇


 校長室に入った大熊猫パンダはソファに座らされ、校長先生直々に手当を受けた。(Mを殴った時にできた擦り傷なので怪我という程でもないが、大人しく治療を受けた)


大熊猫パンダのクラスの子達から事情は聞いたわ」


 校長先生から色々説明を受けた。

どうやら、大熊猫パンダとMが先生達に連れて行かれた後、クラスの皆が「あれはMが悪いんや!!」と声をあげてくれたらしい。


「あんな酷い事を書いたんやから、大熊猫パンダがキレるのも当然や!!」

「そうや、そうや!! あんなん虐めじゃなくて、人種差別や!!」

「あれは全面的にMが悪い!! 大熊猫パンダはMを殴ったけど、今回のは謝らんでええ!!」


 クラスメイト達は担任の先生に詰め寄ったそうで、授業どころではなくなってしまい、皆で話し合いがなされたようだった。


 校長先生から詳しく話を聞くと、同じ部活の仲間達もMを庇う者は誰一人いなかったようである。


 ちなみにMは生徒指導室へ連れて行かれ、ラグビー部の顧問と生徒指導の先生、人権教育の先生と教頭、担任の先生達にめちゃくちゃ叱られている最中らしい。


「アイツ、ほんまアホやな……」


 大熊猫パンダは校長先生の前だったが、小さく鼻で笑ってしまった。

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