人種差別を受けた主人、相手を拳でフルボッコにする①
事件は高校二年の蒸し暑い夏に起こった。
『●●人、国へ帰れ!!』
クラス中がざわつく中、
「フゥゥ……」
「なぁ……これ、誰が書いたん?」
文字の癖を見て、誰が書いたのか分かってはいたが、念には念を入れて近くにいたラグビー部のKに聞いてみた。
「俺らもさっき教室に戻ってきた所で、書いてる所は見てへんのやけど、クラスの奴からMが書いたって聞いたんや」
「そうか。ほんで? そのMはどこおるん?」
低い声で聞くと、Kは気まずそうに教室の外に視線を向ける。教室の外に怯えた顔をして突っ立っていたMがいた。
「おい、M。これ、俺の事やんな?」
「M、もう一回聞くで。黒板に書いてるのって、俺の事を言うてる? このクラスで●●人とのハーフって、俺しかおらんもんな?」
Mを見下ろす位置まで
「お、お前がAちゃんと付き合ってるから……」
「Aと付き合ってるから? それがどないしてん」
「お前がAちゃんと付き合ってるから、こんな事書かれるんや! ●●人のお前がAちゃんと付き合うなんて釣り合わんやろ! さっさと別れ――」
Mの言葉が不自然な所で途切れた。
Mは文字通り吹っ飛んだ。ゲホゲホッと咳き込みながら、廊下のど真ん中でダンゴムシが丸まるように蹲っている。
「ヤバイ、
クラス中が騒然となる。女子生徒は一斉に教室から廊下に飛び出し、男子生徒はどうにかして止めようと様子を伺っていた。
だが、
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