第2話 美少女後輩の制服姿
あっという間に時は流れ、春休みがすぐに終わりを迎え、とうとう入学式の日がやってきた。
ちなみに星崎さんとは家に挨拶に来てからそれっきり会ってはいない。
まあそれは俺がほとんど外に出ることなく過ごしていたのが原因な訳だが…
とはいえ始業式は明日なので、2年である俺は本来今日まで春休みのはずだった。
しかし俺は今日から学校に登校しなければならない。
というのも先日数少ない俺の友人である生徒会副会長から入学式の準備を手伝ってほしいとの連絡がきて、少し気分が浮ついていた俺はこれを快く了承したという訳だ。
冷静に考えれば断る一択のはずだが不覚だ…
まあ一度了承した以上やっぱり無理だと言うのは流石に人としてどうかと思うので、大人しく新入生の晴れ舞台の手伝いをすることにしよう。
俺は普段よりも早く学校に着くために、いつも乗る電車よりも2本早い電車に間に合うような時間帯に家を出ることにした。
そして家を出る時間になり、玄関の扉を開けるとちょうどお隣さんの家もガチャリと扉が開いて「行ってきます」という声が聞こえてきた。
横を見るとそこには制服を身にまとった星崎さんの姿が…
俺が星崎さんの存在に気付いたのと同様に、彼女もまた俺の存在に気付いたようで早足で俺の近くまで歩いてきた。
「おはようございます、藤村さん」
今日の星崎さんは前回会った時のポニーテール姿ではなく髪を下ろしていた。
彼女は普段、ポニーテール姿ではなくこの髪を下ろした姿で過ごしているのだろうか。
どちらにしても星崎さんが思わず目を奪われるほどに可愛らしい容姿であることは変わらないが。
それに…
「おはよう星崎さん。それにその制服…俺と同じ高校だったんだね」
星崎さんが着ていた制服は見事に俺の通っている高校の制服だった。
「そうみたいですね。これからよろしくお願いします」
「こちらこそよろしくね。それにしてもなんでこんな早くから家を出たんだ?確か新入生の登校時間はもう少し遅い時間だったと思うけど」
俺は入学式の準備のために学校へ行くので当然早めに登校する必要があるが、星崎さんは新入生だ。そこまで早い時間帯に学校へ行く必要はないはずだが…
「私は引っ越してきたばかりでまだこの街の土地勘がないんです。だから多少迷っても大丈夫なように早めに家を出ることにしたんです」
少し不安そうな表情で星崎さんは話してくれた。
確かに引っ越してきたばかりなのに高校へ何の迷いもなしに向かうのは厳しいだろう。
「それなら、もしよければ一緒に学校に行かないか?これなら俺が道を案内してあげられるから道に迷うこともないだろ」
それに目的地が同じなのにわざわざ別々に学校へ向かうのもどこか気まずい。
とはいえこれは俺が二人きりで登校しようと間接的に誘っているようなもの。
俺たちは出会ってから対して時間が経ってない上に、お互いのことをよく知らない仲なのは確かだ。
拒絶されてもおかしくないだろう。
どういう答えが返ってくるのか、俺は星崎さんを見る。
だが星崎さんの表情を見るにどうやらもう答えは決まっているようだ。
「それなら藤村さんのお言葉に甘えさせてもらいます。私を学校まで道案内してくださいね、先輩」
「……っ」
あまりの可愛さに俺は思わず言葉を失ってしまった。
ただの先輩呼びであれば前回経験済みであるため、もう動揺することはないだろう。
だが俺との身長差が相まったせいか、上目遣いで発せられる星崎さんの先輩呼びがあまりにも破壊力がありすぎる。
それに星崎さんが意図的に上目遣いをしているのではなく、自然にそうなっているところがまたずるいところだ。
「先輩、どうかしましたか?」
固まっている俺を見て星崎さんは純粋な眼差しで心配してきた。
しかし演じていたり意図しているわけではなく、この純粋無垢な眼差しこそが星崎さんの魅力なのだろうと俺は思った。
「なんでもないよ。それじゃあ行こうか」
俺は誤魔化すようにそう言って歩き出した。
「はい!」
それを聞いた星崎さんは機嫌が良さそうに俺についてくる。
こうして俺たちは入学式に二人きりで登校することになってしまった。
果たして俺の心臓は持つのだろうか。
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