隣の家に引っ越してきた美少女後輩があまりにも可愛すぎる
土岐なつめ
第1話 美少女後輩が引っ越してきた
「そういえば明日、お隣さんが引っ越してくるらしいぞ」
父親と雑談しながら夕食を食べていると、突然そう告げられた。
「ふーん、そうなんだ」
俺はどんな人たちが引っ越してくるのかは少し気になるものの、かと言ってそこまで興味が惹かれるものでもなかった。
どうせ関わらないだろうし。
「なんだか興味なさげだな。もしかしたら同年代の子かもしれないじゃないか」
同年代か…それなら多少は交流するかもしれないが、あまり人と関わらない俺にとって深い仲になるような相手が引っ越してくるとは考えづらい。
「仮に同年代の人が引っ越してきてもその人と頻繫に関わることになるような想像はつかないな。ご馳走さまでした」
そう言って夕食を食べ終わった俺は自分が使った食器を洗い部屋に戻った。
部屋に戻った後は、明日隣の家に家族が引っ越してくる話題など忘れて読書に耽り、眠りについたのだった。
次の日の昼過ぎ、家族が俺以外不在の時間帯に「ピンポーン」と玄関のチャイムの音が鳴った。
おそらく隣の家に引っ越してきた住人だろう。
そう思いながら玄関の扉を開けると…
「あっ、こんにちは。本日右隣の家に引っ越してきた
そう言ってペコっとお辞儀をしてきた。
相手はおそらく俺と同年代であろう女の子であり、礼儀正しい第一印象に加えてかなりの美少女だった。
さらに透き通った綺麗な声の持ち主であり、艶やかな黒髪のポニーテール姿がとても似合っている。
「隣に住んでいる
俺も軽く挨拶を済ませると、星崎さんはバッグから菓子折りを取り出して「ほんの気持ちですが受け取ってください」と渡してきた。
「本来ならば両親が挨拶するべきだと思うんですけど、両親は引っ越しの手続きなどで忙しくて…」
星崎さんは申し訳なそうにそう伝えてきた。
「そんな、全然気にしなくて大丈夫ですよ」
そう言うと星崎さんの表情が少し和らいだ気がした。そして…
「・・・・・・」
「・・・・・・」
見事に会話が途切れたのだった。
それにしてもいったい何を話せばいいんだ。
最近の同年代の女の子が好きそうなことなんて仲のいい異性がほとんどいないから全く分からないし、かと言って突拍子もないことも言って場を繋ぐのもなんか違うし…
俺は頭の中で試行錯誤していると先に星崎さんの方が口を開いた。
「あ、あの…今さっき会ったばかりですのでこういうことを聞くのは失礼かもしれないのですが、藤村さんは高校生ですか?」
少し緊張気味な様子でそう質問してきた。
「そうですよ。正確には今年度から高2です」
それを聞くと星崎さんはホッとしたのか、表情が再び和らいだ。
「そうだったんですね。ちなみに私は今年度から高校生なんです」
つまり1つ年下か…
それを聞いて俺は少し残念に感じるような気持ちになりつつも、同時に少しホッとするような気持ちも抱いていた。
「それはおめでとう。星崎さんの高校生活が素敵なものになることを祈ってるよ」
「ありがとうございます。ではそろそろ失礼しますね、先輩」
そう言って星崎さんはそそくさと俺の家を後にした。
そして俺はというと…
「先輩…だと」
あんなに可愛い美少女から不意打ちに先輩と言われ、見事に固まっていた。
やばい、人生で初めて年下から先輩と呼ばれたけどあまりにも破壊力がありすぎる…
しかし少し時間が経って頭が冷静になってくると1つ疑問点が浮かんでくる。
そもそも俺たちはお互いがどの高校に通うのか教え合っていない。
なので同じ高校とは限らないのではないのか後輩よ…
しかし美少女から先輩と呼ばれたことは紛れもない事実であるため、俺はほんの少し浮ついた気分で残りの春休み期間を過ごすのであった。
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