「夏休み、みんなでどこかに行かない!?」


私、黒柳華くろやなぎはなは下校中に友達に言った。


「めっちゃ楽しそう!!」


すぐに反応してくれたのはつやつやの黒髪ロングヘア美少女、三浦美紅みうらみくだ。 そして、美紅が反応してくれたら……。


「美紅が行くなら俺も行くぞ?」


美紅の彼氏である頭脳明晰少年、藤本亮ふじもとりょうも当然賛成してくれる。

そして、そのままその場にいた不思議くんの奥井万桜おくいまおとスポーツ少年の土倉つちくらトウマ、そして男装女子の五十嵐湊いがらしみなとも賛成してくれた。


「どこに行くの?」

「海とか?」

「むりむり!! 私泳げないよ?」

「でも、夏っぽいことやりたいよね~」


みんな腕を組んで考える。

じりじりと照り付ける太陽に、ミーンミーンと鳴り響く蝉の声。

何をしたいか考える前に、一度私の家に全員集合することにした。



私たち6人は硬い絆で結ばれた親友だ。

常に一緒に行動しているし、中二になった今でも小学校から変わらず、ずっとクラスは一緒だ。

家も近いのでこうして人の家に集合するのはもう当たり前でもあった。



「夏っぽい事って何だろう……?」

「スイカ割り!」

「花火とかでしょうか……?」

「お祭り!」


うーん……確かに夏っぽいけどなんかピンと来ないんだよな……。

すると、トウマが目を煌めかせて言った。


「きもだめしとか……!!」


「どうだ」という感じのドヤ顔が腹立つけれども……。


「「「「「それだ!!!!」」」」」


みんなが声をそろえて賛成した。


「肝試しってずっとやってみたかったけど機会がなかったよね」

「うんうん!! 今から楽しみ!!」

「でも、どこでやるの?」

「う~ん……」


また壁にぶつかってしまった。

湊が近場の心霊スポットを検索してくれた。

近場であるのは……



・○○町の呪われた廃病院

・〇×駅付近の幽霊のたまり場トンネル

・△×学校の裏路地の壊れた廃鉱



どうしてもここが都会だから近くにいい感じの心霊スポットがない。

悩みながらも画面をスクロールしていく。

そして、ある場所に目を奪われた。



朱紫崎村あかしざきむらの不気味な館



「朱紫﨑村の不気味な館」

「ん? 華はそこが気になるの?」

「気になるっていうか……朱紫﨑って私の祖父母が暮らしているところなんだよね」

「お! じゃあちょうどいいじゃん」

「不気味な館って何か知ってる?」

「もしかしたら、アレかな? ってやつがあるかな……?」

「じゃあ、そこに決定しよう!!」

「いつ行きましょうか……」

「一週間後とかでいいんじゃない?」


何度も話して一週間後に決定。

私たちは着々と準備を進めた。



♢♦♢♦♢♢



一週間後。

私たちはバスを乗り継いで朱紫﨑村を目指した。

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