第2話,約束

横目で後ろを見る。

『ねぇ…ちゃん…』

姉は僕を指さす方を見て顔を青くした。

『走る…のよ…全力…で…!』

僕は頷いた。家にまっしぐらに落ちていってた隕石が割れ、小さな隕石を沢山飛ばし始めたのだ。

『キャァ!』

近くに隕石が落ち、姉が驚いて腰を抜かしてしまった。

『…乗って!』

僕は姉を担ごうと後ろを向く。

『…ありがとう』

少し躊躇いながらも、姉は乗っかってきた。

『はぁはぁ…はぁはぁ』

僕は走る。

(…もう少し…)

近くにある避難所が見え始める。

避難所は地下にあり、地下に繋がる入り口の目印に僕は急いだ。あたりの温度がどんどん上昇してゆく。

(後、少し…!)

希望が見え始め僕は嬉しくなる。

そのせいで、空にある危険を感じ取ることができなかった。

『…ッ!晴矢!』

また、姉から押され、地面に転ける時に反射で手が姉から離れる。

『いってて…なんだよ⁉︎』

突然のことに僕は怒りながら後ろを振り返る。そして、絶句した。

『ッッ…‼︎』

さっきまで僕が背負っていた姉の胸に何かが刺さっていた。

『姉ちゃん!』

すぐにかけ寄り、姉の胸に刺さった岩を抜こうと手を伸ばす。

『逃げてッ!…逃げ…て…』

息を吸うのさえも辛く痛いはずなのに姉は僕の腕を掴みそれを拒んだ。

『なんでッ!まだ、助かるかもしれないし…!』

諦めきれない僕に姉は静かに首を振った。

『もう…無理…見て…』

姉は自分の胸と空を見る。

『出血…が…酷すぎ…空からは…隕石…どっち…に…しても…助から…な…い…』

だんだん息も荒くなっていく。

『嫌だッ!なんで⁈諦めないッ!』

僕は何度も首を振った。

『…聞いて…』

僕のほおに手を当て、顔を合わせてくる。そんな姉はとても悔しそうな顔をしていた。

『晴矢…あ、なたが…お母さん…を守っ…て…私の…代わり…に…』

『守るから!守るから!だからッ!』

顔はもう涙でぐしょぐしょである。言葉は続かない。

『姉ちゃんッ!』

姉の手が地面に落ち、その手を取る。

『起きろよ!ねぇ…ちゃん…!』

僕は姉を揺さぶり大声で泣く。

(いやだ!離れたくない!なんで…!)

『俺が気づいていれば!姉ちゃんが死ななかったのにッ!俺のせいだ!』

ピコンッ!

【マスターの意思を確認しました。】

『うわぁ⁉︎』

僕はいきなり目の前に出てきた水色のアクリル板に驚いて尻餅をついた。

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foreigner〜人外になった俺たちの生き方〜 くろ @Tenra

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