*さて、これはどういうこと*
一限目の体育は、五十メートルのタイム測定。
男女別名前順で割り当てられたバディは、よりにもよって
気が強くて、地味な人や自分より目立ってる人が嫌い。つまりは、「私みたいな人間が嫌い」な人たち。
おそるおそる、「あの……」と話しかけると、華原さんはキッと私をにらみつけた。
……この程度では怖くない。自分の格に
「誰だよ、ブス」
うっ……まあ、私みたいな人間は、名前を覚えてもらえるほど認められてないよね。そして、あらがう筋合いもないし……。
元々、
それなのに、
……まあ、当たり前か。
トラックの列に並んでいると、後ろから、クスクスと誰かを笑う声が聞こえた。
「神城の足見ろよ〜」
「ほっそ……クラス
そう、私は体格が非常に悪い。
だから、足の速さや
私の番になって横を見た
……そ、んなことある……!?
すぐ横には
「おーい、
男の子に向けられた
「……
声色からして、心の底から
昔からの話だけれども、牡丹くんはあまり口がいい方じゃない。特に
係の人がピストルを上に向けて放つ。
「よーい、どん!」
パン! とピストルの音が鳴ると同時に、ダッ、と強く地面を
ゴールに着いて、タイム計測の人に、タイムを聞きに行った。
「あの……何秒ですか?」
「へっ……!?」
係の人があまりにギョッと目を見開くので、私までビックリする。
そ……そんな
「えっと……ろ、六・八……」
えっ……と、
そ、そんな……去年よりもタイムが〇・三秒落ちるなんて……しばらく、少し勉強に
華原さんのところに行って、タイムを伝える。
「六・八です」
書記の女の子が、ギョッと目を皿にして、私を見た。あれ、もしかして、声が小さくて聞こえなかったかな……と思い、二度目は大きな声で言う。
「六・八秒、です」
すると今度は、私の全身に、
ハッとして周りを
……も、もしかして、私の声、みんなに聞こえていたってこと……?
「ちょっ……ば、バケモンおる……!!」
なぜか
「なんでこんな速いんだよ……!!」
「こんなちっさい女がこの速さで走れるとか……どうにかなってるだろ……!!」
え、ええっと、ど、どう対応したらいいんだろう……? やり方がわかんない……。えっと、うーん……。
そのとき、人混みを
「ほら、
「少しは
二人の声が
「……お
縁くんにぽんと
そういえば、牡丹くんや、縁もずいぶん
「
「
ふたりとも上がってたんだ……わ、私は下がっちゃってたから、なんだか気まずいな……。
……っていうか、なぜ私はこの人たちと、こんなに
「あの、ちょっと……
何か口実をつけて
ま、待ってって言われても……私ごときが近くにいちゃダメだし、そういうのは、社会的に
「は、離して……」
「そんなに
……でも……。
「私が近くにいたら、ダメじゃ……」
そう……私みたいな人間が馴れ馴れしくいたら、みんなの
「何言ってるの? 評価とかそんなのこの
仲良くしたい……? 私と……?
好かれもいい
……いやいや、
「だ、
目立ちたくなくて……ごめんなさい、二人と友達になるってことは、目立つってこととイコールの関係にあるからダメなんだ……。
「俺は嫌だ」
「俺と……あのときと同じように、いや、あのとき超えの関係になって欲しいから」
「口下手にも
二人とは
「センパイ……!!」
長いボサボサの
「やあ。先生の手伝いで教室から
わっ……!!
「んで、この子が、その……
照子さんは
「よろしく。僕のことは
そう言われて
でも、
「うん。これから、何かとよろしく。……さ、
うんと頷いた二人と、照子さんの背中を見ながら、ハッと我に返る。
……さて。
私はなぜ……「この人たちと仲良くなる」なんて、いけない
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