第16話
「やめなさいグラディス。この場にそんなことを思っている人間はお前しかおらんぞ」
王様は俺を見てにっこりとしてくる。
「タクトくん。すまないね。今からこいつを退室させる」
グラディスをひんやりとした目で見る王様。
「出ていけ、グラディス。王族命令だ」
「なりません。私が出ていけば誰が王族を守るのですか」
「誰も危害を加えない。よって、我々を守る必要も無い」
グラディスは俺とグリ子を指さした。
「ここに害虫が二匹もいるではないですか。さらに他にも害虫が潜んでいるかもしれない。害虫は本来駆除しなければならない」
「ではなぜ、スイレンを駆除しなかった?」
「っ!!!!」
動揺しているグラディス。
「奴は全部話したぞグラディス。お前が俺たちを殺させようとチンピラを向かわせたこと」
そして……
「スイレンが作戦に失敗した時お前が王族を殺すこと」
その時だった。
シュッ!
グラディスは迅速に動いて王女の首筋に槍を突き出した。
「死ねやぁぁぁぁぁ!!!!!!」
「えっ?」
突然の事で動揺している王女様。
そのときだった。
バラバラバラバラバラバラ。
グラディスの槍は粉々に砕け散った。
残骸がその場に落ちていく。
「えっ?」
今度はグラディスが驚愕する番。
俺はそんなグラディスに近づいて行く。
「さて、王様。今のは見たよね?」
ジリ……。
ジリ……。
俺を見て1歩ずつ下がっていくグラディス。
「王族に手を出そうとした人間は始末しないといけないよね?」
俺は粉々に砕け散った槍の残骸の近くまで移動した時、呟いた。
「【
すると槍の残骸は勝手に集まり始めて槍の形になっていく。
そして、槍が俺の手に。
「くっ……!!!」
グラディスが次は王様に触ろうとしたその瞬間、俺は槍を振った。
ボトボトボトボト。
「危なかったね。王族に触れば即死刑、なんだよね?だから切り落としてあげたよ」
「お、俺の腕がぁぁあぁぁあぁぁあぁぁぁ!!!!」
膝立ちして叫ぶグラディス。
俺は槍の先端をグラディスの首に突きつけた。
「ここからどうする?王様」
「殺して構わん」
「その決断、感謝するよ」
ザシュッ!
俺は槍でグラディスを刺し殺した。
その瞬間、これ以上周りに血液が飛び映らないようにグラディスの周りに薄い魔力の膜を貼っておく。
なので、被害は最小限に抑えることはできたが……。
「この様子だと結婚式は無理そうだな」
俺はそれから王様に聞いた。
「それとも、結婚式自体がお流れかな?」
そう聞いてみたら王様は言った。
「いや、非礼を詫びよう。タクトくん。これに関してはこちらが完全に悪い。なんとお詫びをしたらいいかどうか」
チラッ。
王様はシャーディを見た。
「お詫びと言ってはなんだが、結婚相手をレイナから王女に変更したいと思うのだが」
「お、王様?」
苦笑いをするレイナ。
「私はタクトさんと結婚できないのでしょうか?結婚したいんですけどっ?!」
「だが君では……」
「役不足とでも言いたいのですか?ふぇーん」
俺は王様を見て答える。
「俺としては好きにしてくれて構わない。」
王様がシャーディを見た。
「シャーディ、お前はどうなんだ?」
「私もあのお方と結婚したいと考えております。人魔友好の礎となれて、更にはあんなにもクールなお方と結婚できるなんて、なんと嬉しいことでしょうか」
王様は俺を見てきた。
「追って連絡したいと考えているが」
「明日までに決断してくれ。俺は部屋で待ってるよ」
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