第8話 コウウチョウ
「クラス委員の仕事サボり過ぎてな。強制だよ」
すぐに駆け寄った僕に、修はそんな事を言った。その後すぐ、後ろに居たユイちゃんは顔を上げて、花が咲いたかのような笑顔を見せてくれた。
「しーくんっ! お待たせ〜…田端くんとでるの一緒だったの。一緒にいこってぇ、本当にごめんね。時間掛かっちゃった」
ユイちゃんはすぐに僕の腕にしがみついてきて、甘えるように言ってきた。全体重をかけられたかのようで、少しふらつく。
「そ、そうなんだ。全然待ってないからいいよ」
上目遣いで話すユイちゃんは世界一可愛いんじゃないだろうか。でもどこかエッチな匂いがする気がして、僕は昨日を思い出す。
こんなこと考えちゃいけないのに。
「田端くんにはね、しーくんとやっと付き合えたのーって何度も何度もいってたんだー」
「おー、大変だったぜ。おんなじ話耳タコだって。流石にムカついたよ」
「えへへへ…」
修のその言葉に、ユイちゃんはムギュムギュと大きな胸を押し付けてきた。昨日聞いてないのにEだと教えてくれた。レベルしか知らない僕はそれで異次元並の衝撃だったのだと思った。
しかし、あれだけされたのにこれだけのことで股間がやばくなる僕は本当に情け無いくらいにどうかしてる。
「はぁ…まーいーけどさ。実は中学から相談受けてたからな。やっとかよって」
「そ、そっ…か」
そうだったんだ。修にはほんとにお世話になってなんだな…。僕って奴は本当に助けられてばかりだ。
「へへ、良かったな」
「ユイちゃんとのこと、ありがとうな…修」
「馬っ鹿、照れるだろ。それにしてもいきなり名前呼びか」
「ま、まあ、昔はそう呼んでたから…」
「はは。幼馴染だったよな。仲良くやれよ? (またお礼もらってやるからな)じゃあな〜!」
そう言った彼の後ろ姿は楽しさに揺れていた。修、ありがとうな。
「…ごめんね、すぐに告白したかったんだけど、しーくんから言って欲しかったし、勇気なくて…でも今からはずっと一緒だよ」
「わわ、あははは…腕を組むのって結構照れるね…」
「も、もぉ、そんな事いったらわたしも緊張しちゃうよぉ…」
ユイちゃんは細くて長い指を僕の手のひらに滑り込ませてギュッと組んでそう言った。
「じゃ、じゃあ、い、行こうかっ」
「…だ……れてる…。も、もうちょっとゆっくり歩いて行こ? ね?」
上目遣いをする彼女の瞳が可愛くて、僕はつい目を逸らした。
「う、うん、ごめん。その髪型、懐かしいね」
「…覚えててくれたの?」
ユイちゃんは髪を二つ括りにしていた。
「うん、お昼休みに言おうと思ってたんだけど……」
「嬉しい…えへへ…し、しーくんのお家楽しみだな〜」
そう言った彼女の、俯き照れた仕草がとても可愛いかった。
家に帰り着いた僕らは、早速とばかりにキスをした。幼い頃の話をしたかったけれど、話題は新しい部屋のこととか中学高校でのお互いのことで、話しながらまた情熱の水かきを始めて、僕は何も考えられなくなった。
そしてユイちゃんは昨日よりもさらにどろりと準備万端で、彼女は僕がどう動けばいいかを教えてくれた。
「うん、そう、引くのを、意識した方が、アっ、良いっ…! って、ネッッ…! ットに、書いてたっ、よっ、えへ、へあっ」
まるで空の飛び方を教えてくれるみたいにして、懇切丁寧に教えてくれた。正直助かる。僕は鳥には詳しいけどヒトの構造、特に雌については詳しくない。
「浅ーく、引っかけた後は、そ、そう、そこグリグリして、しー、しーくん、好き、それ好きっ」
「ぐりぐり? わ、わかったよ! そ、そういえば、い、痛くッ、ない、のッ」
「ふぇっ? なん、あっ、まッ、まだ、ちょっと痛いけど、えへっ、だ、大好き、だからっ、しーくんで、口塞いでっ」
そう言って、彼女はキスを求めてきた。
耳元で心配を口にすれば、エッチな声が出そうで恥ずかしくなったのだと言われた。童貞を捨てたてでは悶絶するくらい可愛い仕草とその言葉に僕はたまらず爆発した。
その日を境に、いや、初日からか。
僕らは何度も何度も求め合っていった。
次第に僕の自信がついていった。
でも、自分に自信がつくにつれて、僕の成績はどんどん坂道を転がるようにして落ちていった。
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