第3話 烏帽子

次の日の朝。

モコローとロックとハンマードは、街外れにある雑木林の中を歩いていた。

レンジがいるのは、この雑木林のどこからしい。

昨日、エアーにスマホを改造され、電化製品の居場所を確認できるようになったからだ。


「なんだか良い天気だねぇ」

↑モコロー


↓ロック

「そうだな」


「3人で旅するの久しぶりだなー。ん、なんか出てきた」

↑ハンマード



草むらからスライムが現れて、彼らに言う。


↓スライム

「おい お前ら、俺はついに異世界転生できたぞッ。

そしてチート能力を手に入れたんだッッ!」


「(なんか来たし…)」


「俺の能力は『その手の結末エンド』!

これは能力を発動した際に人に何か渡すと、渡された人が不幸になるというチート能力だ!」


スライムは小石をモコローに渡そうとした。

でもモコローは拒否する。


「え、この小石レアなのに?」


「さっき自分で言ってたじゃん。能力発動して何か人に渡すと、渡された人が不幸になるんでしょ?」


「なんで、なんで お前…俺の能力を知っているんだ⁉︎」


「3秒前の記憶が転生して消えてるぞ こいつ…」

↑ロック



「こうなりゃ、俺の力を見せる時が来た!

さっきのチート能力は無理だったけど、次のチート能力は凄まじいからな⁉︎

俺の2つ目のチート能力は『ダークネスバードキャッチスパイラルみ』!

この能力は、対象が自分からどれだけ離れていても、手元に引き寄せられるのだ!」



スライムの前にモコローたちは いない。


「(⁉︎…もしやアイツら、スキル『無言サイレントイウ』の使い手なのか⁉︎完全にスルーされてしまった!

だが俺の『デスダークネスバードキャッチデラックススパイラルみ』…名前違うかも…の能力を使えば、簡単に手元に引き寄せられる!

さぁ終わりの始まりだ!)」



スライムがキレて能力を発動する!!

しかし、彼の手元に引き寄せられたのは、ただのゴミであった。


「は?なんで?

もしや俺は、その辺に捨てられていたゴミとアイツらを間違えたのか⁉︎⁉︎

そんな事あるん?まずい、今日 転生したばっかだから能力について何も知らない!

とにかく、このゴミをゴミ箱へ捨てに行かねば!」


彼はゴミ箱を探しに、モコローたちとは反対方向へ歩いていった。




◇◇◇



ハンマードは不思議に思う。


「なんかゴミ落ちてたから拾おうとしたら、ゴミが消えたんだが。不思議な事があるもんだな」


「不思議な事で済まされる事じゃねーよ…」


「アイス食べたい〜。お願いロック、買ってよ」


モコローが呟いた。彼の好物はアイスキャンディーなのだ。

断るロック。


「え、やだ」


「だって朝ご飯食べてくるの忘れちゃったんだもん」


「すまんが俺 今 金欠」


「じゃあ金食べるしかないか…」

「ハ(半ギレ)」




「ねぇねぇ」


知らない人がロックに話しかけてきた。


「なんだよッ(半ギレ)」


「エッ、すみません」

↑知らない人


「ロック、この人とは初対面だけど…」

「あ、すみません……」



「こちらも変なタイミングで話しかけちゃって ごめんね。で、頼み事があるんだけど…」


「なんですか?」


「烏帽子を探しているから一緒に手伝って欲しいんだ」

「はい?」


「僕の名前はナル。君たちに[ねが烏帽子えぼし]という烏帽子を集めるのに協力して欲しいんだ。

この烏帽子はね、星中に散らばっているんだけど、全部集めると[ねがいかな烏帽子えぼし]に変わって、どんな願いも叶えてくれるんだ!」


青いスライムのナルは、モコローの手を握って言う。


「君が最近まぁまぁ有名なモコローだよね?よろしく!

もし良ければ、ねが烏帽子を探すの手伝って欲しいんだ」


「え、良いよ!」


「え、良いの⁉︎」

↑ロック


↓ハンマード

「お前の名前は確かナルだっけ?具体的にどんな願いを叶えてくれるんだ?」


「なんでも良いんだよ。

例えば…この星の主義を変えたいとか」

「思想が強すぎる」



「僕はアイスキャンディーを無限に製造する機械が欲しいなぁ」


「もちろん烏帽子を全部集めれば叶えてくれるよ。

僕だけの力じゃ烏帽子を全部集めるなんて無理だけど…君たちのような大きい事件だと過去に2回、小さい事件も過去に2回解決した英雄と一緒なら集められる気がするんだ。

だから、よろしくお願いします!!」


ナルは頭を体ごと下げた。ロックが腕を組んで2人に聞く。


「どうすr」


「探そう!」

「俺も探して願い叶えたいな」


「え、マジで探すの?電化製品エレキヘリテージの奴らとも戦う必要があるんだぞ?」


「でもここで見捨てたら、後で後悔しそうじゃん」


「後で後悔…?」



ロックに電流が走った。


「(そうだ、モコローは頭は良いが常識が欠けているんだった。過去に何かあったんか…)

じゃあ探すの手伝うか。ナルさん、ねが烏帽子を集めて、ねがいかな烏帽子にすりゃ良いんだっけ?」


「そうそう、ありがとうね!」

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