第2話 電化製品

夜。


公園に人々が賑わう。


モコローとロックとハンマードの3人は、子供ビールを飲んで流星群を待っていた。



※モコロー→20歳

※ロック→社会人

※ハンマード→35歳



「まだか〜…ねぇロック、この子供ビール美味しいね。

普段の晩酌ってどんなものを おつまみ にして食べてんの?」


「モコローも そんな歳か〜。じゃあ教えるよ。

さくさくぱんだ」


「エ」

「ん、どうした?」


「さくさくぱんだって、お菓子じゃないの?」

「うん」


「ごめん、僕って実は子供ビールでも酔っちゃうんだよねー」

「飲酒したら体が崩壊しそう」



「おい2人とも静かにしろよ。あとロック、お前ツッコミ役だろ」

↑ハンマード


「いつ決まったんだよソレ」


「前作から」

「俺そんな設定無いぞ⁉︎」



「ん、あれじゃね?」

「え⁉︎」

「あ!!」



真っ暗な夜空に、虹色に光る点が見える。

それが次々と増えた。そして弧を描くように この星に降り注ぐ。



「すごいな…」


あの虹色に光る点こそが命の星。触れたものに魂を与える謎の星である。

それは家電なんかも該当する。魂を与えられるものに限界は無い。





流星群が終わり、家に帰る3人。


「じゃあ また明日」


「じゃあな」

「大学生活頑張れよ!」


モコローは家の中へ入った。





すると、奥から物音が聞こえてきた。この家には今モコロー以外に誰もいないはずだ。

音は台所から聞こえる。


モコローは玄関にあった靴を持って、台所へ向かった。




ガチャガチャガチャガチャ


「とりゃァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!」


ドカァァァァァァァァン



彼は靴で物音を出す何かを叩く。すると何かが反応した。


「い、痛い……もっとやって」


「え⁉︎」


「今の、気持ち良かった。もっかい…もう一回さ」



その何かが姿を現す。





「え…れ、冷蔵庫⁉︎」


物音を立てていたのは、なんと冷蔵庫だった。

おそらく命の星がぶつかり、魂が宿ったものだろう。


↓冷蔵庫

「あぁ、なんだか呼ばれている気がする。じゃあね〜」


冷蔵庫は飛んでいき、律儀に玄関から外へ出た。


律儀→✖️

常識→○


モコローも家を出て、冷蔵庫を追いかける。





そしていつのまにか公園に着いていた。


「ハァハァハァハァ、どこまで逃げるつもりなんだろ…」



公園には冷蔵庫の他にも様々な電化製品がある。

なんと、ロックとハンマードもいた。


「ロック⁉︎ハンマード⁉︎なんでここに…」


「なんか電子レンジが勝手に動き出したと思ったら、いつのまにか公園にいたんだ」

↑ロック


↓ハンマード

「モコローもかよ。まさか俺らの家に命の星が降るとはなぁ…」



公園に集まった6個の電化製品たちが立ち位置を決め始める。



少し時間が経って、ある程度決めたのかと思った直後、電子レンジが叫んだ。


↓電子レンジ

「我らは、命の星の使者…電化製品エレキヘリテージだ!

この世に悪がある限り、そいつを倒すまで終わらない!」


「「「は?」」」

↑モコロー&ロック&ハンマード



「俺はレッドのレンジ!下も燃え上がるぜぇぇ!」


「「「は?」」」


「私はブルーの冷蔵庫フロスト!寒さとはなのだよ」


「「「は?」」」


「お前ら何やってんだよ。寒い目で見られてんぞ…」

扇風機エアー


↓テレビ

「(あれこれって…ツッコミした方が良いのかな⁉︎でももし無視されたら…ダメだ考えるな。

良いやもう、何も言わずに見てよ)」



↓ロック

「な、なんだコイツら」


「ワンワン!ワン!」

芝刈り機カット


洗濯機ウォッシュ

「そうですよ、エアーさんの言う通りです。バカバカしい…」



レンジはモコローたちに向かって言う。


「お前らが悪か⁉︎やってやろうじゃねーか!」


「え、僕らじゃないよ!」


「悪は悪だという自覚なんて無いからな!

喰らえェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェロ……」


思い止まるレンジ。


「こんなに早くラスボスを倒すなんて嫌だ!面白くない!

じゃあ俺たちは各々で強くなってから、こいつに挑もう。

では解散しようぜ、皆んな」


エアーが突っ込む。


「なんでだよ⁉︎そうはならんだろ⁉︎」


「つーわけで解散!皆んな元気でな」

「おいちょ…」


レンジや他の電化製品たちは、どこかへ飛んでいってしまった。

扇風機のエアーだけが、その場に残る。


↓エアー

「あの…すまんな。レンジたちは別に悪い奴らじゃねーんだ。人付き合いが下手なだけ。

あいつらは多分、星中を飛び回って鍛錬するらしいんだ。だからその、あいつらの遊びに付き合ってくれないか?」


「え、俺らは何すりゃ良いの?」

↑ロック


「あいつらと同じく星中を回って、あいつらと戦って欲しい。時間も金も体力も使う無茶な願いなのは承知している。

でも あいつら、悪を倒すために戦うってだけの良い奴らなんだよ。頼む!!」


「なんかすげぇ申し訳なくなってきた…。

どうする?モコロー、ハンマード?」



↓モコロー

「レンジの元へ行こう!」


「ハ⁉︎」「マジか」


「ありがとう、モコロー。俺もどこかで鍛錬する予定だから、今度は敵として会う事になるかもな。

じゃあ引き続き電化製品エレキヘリテージをよろしく頼む」


扇風機は頭?を下げると、どこかへ飛んでいった。

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