第18話 最悪な文化祭


ここもちょっと…が有ります。


―――――


 今週末は文化祭がある。1Bは外でうどんを提供する事になっている。班分けではあいつと被っていない。だから良いのだけど。


「悠斗、文化祭1Aは何やるの?」

「ああ、なんか外で焼きそばやるんだって。俺には全く縁のない世界だ。だから裏方」

「当番の時間は?」

「土曜日初日が午後の最初の時間。日曜日も同じ」

「そうか、私は土曜日、日曜日午前の一番だよ」


「じゃあ、午前十時か十二時までと午後一時から午後三時までが会えないのか。でも昼は一緒だな」

「うん。結構厳しいね」

「仕方ないさ。でも振休が火、水とあるから」

「そうだね」


 その週も何も連絡はなかった。週末は文化祭だ。何も無いだろう。だとすれば来週土曜日午前中が危ない。悠斗に言っておかないと。


 放課後、悠斗と一緒に歩きながら

「悠斗、あいつの事だけど、まだ何も連絡がない。今週末は文化祭。何かしてくると可能性がある」

「優子、俺と一緒に居ろ」

「でもお互いの当番の時は?」

「優子の当番の時は、俺が傍にいる。俺が当番の時は優子が傍にいればいいさ」

「そうか、そうだよね」



 文化祭が始まった。私は一斑のみんなと一緒に模擬店に行った。私の担当は会計。初日午前中だから、あまり人も来ない。


「優子、来たよ」

「あっ、悠斗」

「傍に居るよ」

「うん」


 1Aの柏木が来ている。でも見ているだけじゃ分からないさ。


 俺は優子に変な視線を出している奴がいないか、傍で見ていた。もう一時間になるが、変な視線を投げる奴はいない。


 担当じゃないが五反田も矢田さんもいるけど、普通に後ろで話をしているだけだ。後は知らない奴らだ。



 優子が交代の時間まで少し離れて見ていたが、変な奴が近寄って来る事は無かった。優子は次の班が来ると直ぐに俺の所に来た。


「お待たせ。ずっと見ていてくれたね」

「当たり前だ」

「なに食べようか?」

「1Aの焼きそばと義理で1Bのうどん」

「じゃあ、二つずつ買おうか」

「ああ」


 私は、もう一度1Bの所に戻ると列に並んでうどんを二つ頼んだ。それを近くのテーブルで食べる。悠斗と居ると楽しい。


 柏木とは相当仲が良いみたいだな。今の内だ。



 次は、1Aに行って焼きそばを二つ買った。ここは俺が払った。二人で食べ終わると、もう時間がないけど少しだけ見て回った。


 上級生は慣れている所為か声掛けとか宣伝が上手い。段ボールにたこ焼きを書いて歩いている先輩もいる。文化祭って楽しいものだな。



「優子、俺、そろそろ当番だから」

「うん、今度は私が傍にいる」

「分かった」


 こうして初日は、楽しく終わった。



 二日目も悠斗と一緒に登校した。門が派手にデコレーションされている。今日は外部と言っても生徒の家族だけだけど来訪する。昨日以上に忙しくなりそうだ。



 午前中、私が担当の時は、昨日と同じ様に悠斗が傍に居てくれた。もう周りは悠斗が私の彼という事をしっかりと認識したみたいだ。


 そして、お昼は悠斗と一緒に食べた。楽しい。悠斗が午後一番の担当に行ったので、私もトイレに寄った後、行こうとするとポケットに入れてあるスマホが震えた。手に取って見ると、


えっ、嘘でしょう。ショートメールが来ていた。


『来ないとこの場でアップするよ』


 今は文化祭だ。あんな事出来る場所なんて無い。でも指定された場所は、確かに文化祭でもみんなが行く所では無いけど、場所も狭い。


「来てくれたね」

「……………」

「入りなよ」

「いや」

「俺の命令は断れない筈だぜ」


 仕方なかった。でもこんな狭い所でどうするつもりだろう。


「渡辺さん、そんなに時間掛からないから。後ろ向いて、その台に手を付いて。絶対に声は出さないでね」

「えっ?!」


 いきなりスカートを捲られると

「や、止めて」

「駄目だよ。柏木とあんなにイチャイチャする君が悪い」


 後はされるがままだった。思い切り我慢して絶対に声が出ない様にした。でもこいつ…。


 口に出すのも悔しいけど…。終わった時は腰が崩れてしまった。


「じゃあ、俺行くから。付けて有ったから心配しないで」


 あいつは、出て行った。悔しい。されてしまった事よりもっと別の事で悔しい。スマホを見ると三十分位だ。


 私は気を取り直して下着をしっかりと履いてスカートの位置を元に戻すと1Aの模擬店に行った。悠斗が裏方している。私が行くのが遅かったのか、最初首を横にしていたけど、その後は笑顔になった。


 今の事は言ってはいけない。せっかくの楽しい気分が台無しだ。明後日、明々後日悠斗と一緒に居れる。我慢するしかない。



 文化祭が終わってみんなで教室に戻ると矢田さんが寄って来た。

「渡辺さん、来生さん。文化祭の打ち上げしよう」

「ごめんなさい。今日は体調が悪いの」

「えっ?!そう、それなら仕方ないわね」


 やはり何か有ったんだ。昨日も今日も柏木君とは楽しそうにしていた。何が理由でこんなに直ぐにおかしくなるんだ。何か理由がある。


 優子が文化祭が終わって一度各クラスが教室に戻った後、少しして直ぐに俺の所にやって来た。


「悠斗帰ろう」

「ああ」

「大吾、俺打上出ないから」

「分かった、そう伝えておく」


 俺は、優子が矢田さんに打ち上げ誘われるものと思っていた。だから今日は俺もクラスの打上に参加しようと考えていた。上手く行けばそれが終わったと、優子と一緒に帰れると思ったからだ。


 でも優子は、直ぐに俺の所に来た。でも笑顔はない。何か有ったのか。


「優子。せっかく文化祭終わったのに面白くない顔しているな。何か有ったのか?」

「ごめん、ちょっと疲れちゃって」

「そうか」


 またされた。なんて言えるわけがない。行った事がバレれば二人共退学だ。でも何とかしないとこのままでは、同じ事になる。


―――――

次回をお楽しみに。

面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価頂けると投稿意欲が沸きます。

感想や、誤字脱字のご指摘待っています。

宜しくお願いします。

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