第13話 夏休みの宿題とお買物


 夏休みに入った。俺と優子だけの楽しい?宿題はやれず、優子の部屋の隣には陽子ちゃんが、俺の部屋の隣には梨花がしっかりと夏休みの宿題をやっている。


 あの子達が知り合ったのは、俺が暴漢から優子を守った時から知っていると言っていた。

 よく考えれば当たり前で、優子の家に行った時は陽子ちゃん居たし、俺んちに来た時は梨花がいた。


 自然と知るのに時間は必要なかった訳だ。良く聞いてみると俺達の行動は二人に筒抜けだったらしい。


 妹連絡網恐るべし。ちなみにあの二人は俺達と同じ高校に来るらしい。出来れば止めて欲しい所だが。


 そんな訳で前半は優子の部屋、後半は俺の部屋という事になった。今は、まだ二日目。優子の部屋で宿題をしている。


 コンコン。


「はーい」


 ガチャ。


「冷たい飲みの持って来たわよ」

「ありがとうございます」

「ふふっ、いいのよ悠斗君は、優子の大切な人だものね」

「お母さん、そういう事良いから、今宿題中。早く出て行って」

「そんな事言って良いのかしら。あなた達に嬉しい情報が有るのだけど」

「えっ、なに?」

「陽子が午後から梨花ちゃんの所に行くって。ふふっ、良かったわね。私も出かけて来るわ」


 バタン。


「良いのか悪いのか。優子のお母さんからあんな事言われると何ともだな」

「今更でしょう。お母さんからは、随分前に注意されているし」

「えっ、注意。なんて」

「避妊は必ずする事。溺れない事」

「……………」


 優子のお母さん、そんな事言っていたの?



 という訳で、冷たいジュースを飲み終わった後は、宿題をやるエンジンにターボを付けて、何とか今日の分が午後三時に終わった。


「お母さん後二時間だよ。いそご」

「う、うん」


 こうして妹の陽子ちゃんと優子のお母さんに気を利かせて貰った分、しっかりと楽しんだ。


 流石にその一日だけだったけど、後半は、俺の部屋で宿題をした。進捗はいい。でも梨花は決して陽子ちゃんの部屋には行ってくれなかった。お陰でなんと三十日に一通り終わらすことが出来た。


「ふーっ、終わったぜ」

「やったね。予定より一日早いよ」


「でもプール行く日を余裕をもって三日にしてあるから、明日終わっても同じだろう」

「もう悠斗夢無いなぁ。せっかく空いた隙間だもの買い物行こうよ。一日に行く予定していたけど、明日以降」

「買い物。夏服か?」

「もう、私の水着。中学生の水着じゃいやだよ。それに悠斗が一生懸命してくれるから去年より随分大きくなっちゃって」


 そう言って、胸を下から上げて俺の目の前に持って来た。


「わ、分かったから。明日行くか」

「うん」


 翌日は午前十時に駅の改札で待ち合わせした。渋山に買いに行く予定だ。電車に乗ると大分空いている。


「悠斗、西急ストリームに行ってなかったら、西急スクエアに行く。無かったらポルコに行こう」

「分かった。でもそんなに行く必要有るのか」

「あるの!」



 行って知った事がある。男が入るには相当に羞恥心を捨て、厚顔で一緒に居る事が必要だという事を。


 周りのご婦人?からは、ニコニコされるし。優子が俺の手を繋ぎながらハンガーに引っ掛けてある水着を見ては

「どう?」

「似合う?」

「ちょっと派手かな」


 ばかり。俺ほとんど見れないで下を見ている。正直恥ずかしい。外で待っていたい。


 それがいくつものショップで続く。はっきりって勘弁して欲しい。



 午前中は西急何々で終わってしまった。お昼はミニカメラの二階にある〇ックで食事をした。そこでゆっくりして、今度はポルコだ。


 ここでもいくつものショップを見て、

「悠斗、これどうかな」

「ちょっと派手では」

 水着の布が少ない。超ビキニって感じ。


「これは」

「白で透けて見えそう」


「じゃあ、これは」

「うん、それがいい」

 オレンジのセパレート、パレオが付いている。


「じゃあ、これにラッシュガードで決まりね。悠斗はいいの?」

「いや、俺は適当で」

 男なんてどうでもいいと思っている。



 やっと買い物が終わるともう午後二時半を過ぎていた。

「お茶飲んでから帰るか」

「うん」



 俺達はせっかくだからそのまま西急ヨンズ側に下って、少し歩いてちょっと素敵な喫茶店に入った。

「買い物終わったな」

「うん」


 俺は、普段見ている優子なのに水着ばかり見せられていた所為か、ちょっと困っていた。

「なあ、優子」

「うん?」


 悠斗が私の胸をジッと見てくる。そうかそういう事か。


「いいよ。二時間位なら」

「でも場所知らないし。今から家に帰っても誰かいるし」

「じゃあ、行く。どうすればいいか全然知らないよ」

「そうだよなぁ。でもせっかくだから見てから帰るか?明日なら出来るだろう」

「そうだね」



 優子の水着が入った袋は俺が持ち、優子は俺の腕に絡みついたまま、まるで怖い所を興味津々で見る様に歩いている。


「なんか、凄いね」

「ああ、この前もチラッと見たけどすげえな」


 そのまま、駅方向に歩いて行くと


「ねえ、悠斗。あれ」

「あっ!」


 矢田さんが知らない男、少なくても1Aや1Bにいない男に矢田さんが寄り添う様に歩いている。


「悠斗、もしかして」

「録画しておくか」

「趣味悪いけど、しよう」



 二人はそのまま入って行った。俺達が二人が入った所まで歩いてから

「へぇ、あの人こういう所入るんだ。慣れていたよね」

「ああ。でも早く帰ろう。好きじゃないよこんな所」

「こういう所は好きじゃないけど私とするのは好きなんでしょ」

「当たり前だ」


 ふふっ、絶対に超えてはいけないラインを私達は守っている。こういう所に入るのは大人になってからで十分だ。それも悠斗と。

 あれっ、でも大人になったらこんな所来る必要ないし。やっぱり縁無いかな。


「何考えているんだ」

「なーんでもない。それより早く帰ろ」



 あれっ、渡辺さんと柏木君だ。えっ、あの二人そういう関係だとは分かっていたけど、こういう所来るんだ。せっかくだからちょっと録画。


―――――

次回をお楽しみに。

面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価頂けると投稿意欲が沸きます。

感想や、誤字脱字のご指摘待っています。

宜しくお願いします。

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