第10話 打ち上げの後で


 打ち上げの事は悠斗に話した。

「その矢田って人、厄介だな。なんか1Bを仕切っている感じだ。大吾が何か知っている感じだったから明日聞いてみるか」

「うん、そうしよう」



 次の日、俺達は学校の最寄り駅で大吾が改札から出てくるのを待った。大吾が出てくると

「おはよ、悠斗、渡辺さん、どうしたの。こんな所で?」

「大吾を待っていたんだ。ちょっと教えて欲しくて」

「なに?」


「1Bの矢田って人の事。昨日の打上でも仕切っていたらしくてさ。それに優子を強引に五反田とくっ付けようとしている気がするんだ」

「えっ、だって矢田さんだって渡辺さんが悠斗の彼女だって知っているよね」


「だからクラスの友達って言うスタンスらしいんだけど、どうも何かおかしい」

「分かった。女バスに1Bの子がいるから聞いてみるよ。返事明日になるけど良いか?」

「それは構わないんだけど。後、五反田が昨日も来ていた。あいつバスケやってるんだよね?」

「五反田か。先輩達もあいつは見放している。先輩達が顧問に言ってバスケ退部させようって言っていた。俺もあいつは気に食わない」

「そうか、頼むよ」



 私は、悠斗達と別れて教室に入って自分の席に着くと隣に座る来生さんが挨拶して来た。

「おはよ、渡辺さん」

「おはよ、来生さん」

「昨日はちょっと大変だったね」

「うん、あういうの好きじゃない」

「本音言うと私もなんだ」



 来生さんと話していると早速五反田がやって来た。

「渡辺さん、おはようございます」

「おはよう、五反田君、私ちょっと用事が有るから」


 トイレにでも行く振りをして悠斗の所に行った。もう周りの人は私達がカップルだとわかっているから一度だけ私を見ると直ぐに興味無いように他の人と話し始めた。


「悠斗、朝からあいつが来た」

「そうか、今日だけ何とか凌がないと。中休みは俺の所に来い」

「うん」


 予鈴が鳴ったので直ぐに教室に戻った。それから午前中の中休みは全部悠斗の傍に行った。

 お昼休みも直ぐに悠斗の所に行って、中山君と一緒に学食に行った。


「参るよ。あいつ」

「渡辺さん、今日女バスの1Bの子から聞いてみるから、明日になれば対処のしようもあるかもしれない」

「分かった」


 もうすぐ午後の授業が始まる。三人で学食を出て、用事を足してから教室に戻ると直ぐに矢田さんが寄って来た。


「ねえ、渡辺さん、昨日お願いしたじゃない。五反田君もクラスメイトなんだからもう少し仲良くしてよ」

 少しきつめの言い方で言って来た。


「分かったけど急には出来ないよ」

「じゃあ、毎日練習する?」

「えっ、それは嫌だな」

「…じゃあ、週一回でも帰りにファミレスでも寄ろうか。慣れるまで毎週行くとか」


 予鈴が鳴った。助かった。


 午後一番の授業が終わった。後一つだ。直ぐに悠斗の所行こうとすると矢田さんから腕を掴まれた。

「捕まえた」

 何故か嬉しそうな顔をしている。


「五反田君が嫌なら私と話そう。来生さんも入れてさ。どうかな来生さん」

「矢田さんならいいですけど」

「そう良かったわ」


 仕方なく三人で話していると中休みが終わった。次の授業も終わると直ぐに悠斗の所に行った。

 五反田は、今日は部活に行く様だ。矢田さんも話しかけて来ない。良かった。



 1Aの教室に入ると

「悠斗帰ろう」

「うん」

「渡辺さん、今日聞いておくから」

「お願いね」

 中山君が部活に行った後ろ姿を見て私と祐也も教室を出た。


 駅に行く途中、

「今日は何とかなったけど、明日金曜日でしょ。もう一日有る。やだなぁ」

「明日は、俺がそっちのクラスに行くか?」

「うん、そうして」



 次の日、学校の最寄り駅の改札で大吾を待っていると出て来た。学校に行きながら

「大吾、おはよ」

「おはよ、悠斗、渡辺さん、昨日聞いたよ。五反田と矢田さんは結構仲が良いらしい。放課後一緒に帰ったり、休みでも会う仲らしい。


 それとこっちが面倒なんだけど、矢田さんとその友達って言うかグループ数人で、1Bを仕切っているみたいなんだ。


 だから矢田さんの言っている事に皆逆らえないらしい。矢田さんがなぜ五反田を渡辺さんに押しているのか理由までは分からないそうだ。


 後、昨日で五反田は男バスを退部させられた。理由は練習に来ない、来ても協調性も無く練習も碌にしないという理由だ。

 本当は女バスにちょっかい出し過ぎて、女バスの顧問が怒ったって理由も裏ではあるらしいけどな」


「なるほどな。五反田と矢田さんはプライベートでも会っている程仲が良い。それなのに矢田さんは優子に五反田と仲良くしろって言っているという事か。


 五反田の奴をぶん殴る訳にもいかないし、あっちはただ、同じクラスの仲間として話をしたいだけだという事か。面倒だな」


「それでね。矢田さん、毎週一回は放課後にファミレスで会って練習しようと言って来た。私嫌だよ。そんな所に行くの」


 もう学校に着いてしまった。

「優子、大吾。昼休み、もう一度話そう。中休みは俺が優子の所に行く」

「「分かった」」



 中休み、俺が1Bに行くと周りの生徒が驚いた顔をしている。それを無視して優子と来生さんと話をした。


 二回目の中休みに俺が1Bに行くと矢田さんがやって来て


「柏木君、渡辺さんと付き合っているのは分かるけど、中休み毎に来ないでよ。ここは1Bよ。あなた1Aでしょ」

「俺はこの学校の生徒だ。中休み、俺の彼女と話す事の何がいけない。嫌なら優子を1Aに来させるだけだ」


 矢田さんが嫌な顔して俺達の所を離れた。次の中休みも行って、優子と話をした。五反田と矢田さんが嫌な顔をしている。


 昼休みは優子が直ぐに俺の所に来た。大吾と優子と一緒に学食に行って食べながら話したのだが、向こうがあくまでクラスの友達として話をしたいと言っている限り口を出せない。

 優子に変なちょっかいを出すなら対応の仕方もあるだけど。



「悠斗、どうしよう。やだよあのクラスに戻るの」

「参ったな。今日は中休みは後一回だ。そこも俺が行くから」

「うん」


 そして放課後になった。二日間だけでこれだ。明日は土曜日だから二日間はいいとしても対策を考えないと。


―――――

次回をお楽しみに。

面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価頂けると投稿意欲が沸きます。

感想や、誤字脱字のご指摘待っています。

宜しくお願いします。

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