第4話 GWの間の登校は面倒だ
昨日は二人でテーマパークに行って最後の時間まで楽しむ事が出来た。帰りは遅くなったけど、しっかりと優子を家まで送り届けてから自分の家に戻った。
優子の両親から見ると彼女が俺と一緒に居る限りは安心という事みたいだ。
そして、次の朝、学校だ。GWの最初二日間と後の五連休の間に登校日が二日有る。もう休みにして欲しい。
少し、眠い顔をしながら駅まで会うと
「優子、おはよ。行こうか」
「悠斗、おはよ。行こ」
どうも優子も俺と同じ心境のようだ。思い切り面倒な感じで改札に入る。学校の最寄り駅で降りて学校に向っていると後ろから
「おはよ。悠斗、渡辺さん」
「「おはよぅ」」
「ええっ、二人共どうしたの?」
「ああ、昨日遅くまで遊び過ぎて…ふわぁ」
「そういう事か、夜遅くまで…まさか?」
「そんな訳無いだろう。先週の金曜日、大吾も聞いただろう。テーマパークだよ」
「そ、そうかぁ。俺はてっきり」
「中山君のエッチ」
そんな話をしながら学校に着くと昇降口で履き替えてから優子に
「じゃあ、お昼に」
「うん」
それだけ言うと俺と大吾は1Aに優子は1Bの教室に入った。
私は、1Bの教室に入って席に着くと隣の女の子から
「渡辺さん、おはよ」
「おはよ、来生さん」
来生透子(きすぎとおこ)さん。肩まで有る綺麗な髪の毛に眼鏡を掛けた可愛い女子だ。
「GW始まったばかりなのに、疲れている感じ」
「うん昨日出かけて遅くに帰って来たから」
「そっかぁ、いいなぁ。誰も誘ってくれないから私なんかずっと家の中だよ」
ここで話が終わればいいのだけど、要らぬ声が入って来る。
「おはようございます。渡辺さん」
「おはようございます。五反田さん」
「昨日はいきなりテーマパークで会ったんで驚きました。柏木君と一緒だったんですよね」
「えっ?渡辺さん、1Aの柏木君とテーマパーク行ったの?」
「え、ええ、まあ」
なんだよこの男。いきなり人のプライベートな事言って来て。
「そう言えば、五反田さんも綺麗な女子と一緒だったんですよね」
切替してやると
「あはは、あれは単なる知合いですよ。テーマパークに連れて行ってくれって言われたんで、仕方なく行っただけです」
「そうですか。ちょっと失礼」
くだらない話になりそうなので、トイレに行く振りをして教室を出た。もうすぐ予鈴が鳴る。あの五反田とか言う男、クラス編成が決まって自己紹介の日から私に声を掛けて来た。
はっきり言って目障り。クラスの子にはイケメンで人気があるみたいだけど、私の趣味ではない。
予鈴がなったので教室に入るともうあいつは私の席には居なかった。直ぐに席に戻ると
「五反田君、渡辺さんと話が出来なくて残念がっていたよ」
「そう、でも私には関係無いから」
俺、五反田信夫。昨日テーマパークで渡辺さんに会って、今日はちょっと挨拶程度に話しかけたら、嫌がる様に席を立った。
別に何する訳でもないのになぁ。少し話しをしたかっただけなのに。
お昼になり、私は直ぐに悠斗の所に行って、中山君も誘って学食に行った。そして
「ねえ、悠斗。クラスの五反田って人、今日も朝から話しかけて来た。何とかならないかな。私あの人嫌い」
そうすると中山君が
「五反田?バスケの五反田か。あいつ身長だけを頼りにバスケに入って来たんだけど、先輩に媚びうる割には、仲間には偉そうな事言う奴で俺も嫌いだ。
俺は、中学からバスケしていたから分かるけど、全然基礎練習や持久練習しないし、ボールを取っては、意味のないシュートばかりして女子からキャアキャア言われているんだ。
女子バスケの子には練習中でも直ぐに声掛けるし、あんまり部内でも評判が良くない」
「そうなんだ。面倒だな。優子とはクラスも違うからな」
「でも何とかして。悠斗なら何とか出来るでしょ。あいつと話したくない」
「そう言われてもなぁ。取敢えず、仲のいい子に言って中休みはその子と話す様にしていれば。もし話しかけられたら、話中だとか言って」
「分かるけど。まだ入学したばかりで、中休みにずっと話す子なんかいない」
「でもなぁ。じゃあ、俺が遊びに行くか、優子が俺の所に来るか」
「悠斗、どっちも目立つぞ。俺はお前達が付き合っている事を知っているけど、他の人はまだ知らない。それとも覚悟決めて話すか」
「そうだな。もう少し静かにしたかったんだけどな。そういう事になると優子にも色々面倒な事が出て来そうだし」
「分かるけど。五反田が来るよりいい」
「取敢えず、優子が俺達のクラスに来る事にするか。聞かれたら説明するしかないだろう。最初は面倒だけど」
「分かった」
私は、学食から帰ると隣の席に座る来生さんに
「来生さん、お願いがあるの」
「なに?」
「もし、五反田君が私に話しかけて来そうになったら、何か一緒に話してくれない?」
「えっ、なんで?」
「私、あういう人苦手なんだ」
「…分かった。協力する。でも私がいない時は?」
「隣のクラスに知り合いがいるから、そこへ行く」
「分かった」
次の休み時間に五反田は来なかった。その次の授業が終わると直ぐに悠斗の教室に行った。昇降口で待っていて下手に話しかけられるのが嫌だから。
1Aの出入り口から中を覗くと窓際に座っていた。中山君が気付いて悠斗に教えてくれている。
悠斗が、私に気が付くと
「大吾、また明日」
「ああ、俺も直ぐのバスケに行くから」
バッグを持って直ぐに私の所に来ると
「優子、帰ろうか」
「うん」
―あれ、柏木君が声を掛けた人って?
―ああ、1Bの渡辺優子さん。可愛さでもう有名な子よ。
―付き合っているのかな?
―さあ?
俺達は昇降口で履き替えるとそのまま校舎を出た。校門に向いながら
「優子、どうした?」
「うん、取敢えず隣の席に座る来生さんと話す事にした。もし彼女がいない場合は、悠斗の所に行く」
「分かった。当面そうするしかないな」
俺、五反田信夫。体育館から校門の方を見ていると渡辺さんが柏木と一緒に帰っている。やっぱりあの二人は付き合っているんだ。うーん、渡辺さん可愛いし付き合いたいなぁ。
「五反田、どっち見ている。もう始まっているぞ」
「はい」
うるせえなぁ。バスケ入ったら目立つかなと思って入ったんだけど、結構真剣に練習している。どうしようかな。
―――――
次回をお楽しみに。
面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価頂けると投稿意欲が沸きます。
感想や、誤字脱字のご指摘待っています。
宜しくお願いします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます