第2話 馴染みたい!或る作戦に
持ち場である工事現場入口に立って、工事車両の誘導や歩行者への注意喚起をしていた。
一時間程して昼時になる。コンビニにでも行くのだろう、職工さんたちは次々と俺の立っている出入り口を出ていく。
その中で、ヘルメットを脇にかかえた七分刈りの中年男が「お疲れさん」と言いつつ、俺の前で立ち止まる。統一的な作業服を着ているので、おそらく職工ではなくて職員だ。俺が返事をすると、中年男は続ける「でかい声でしゃべったり、道いっぱいに広がって歩いたりするような、態度のよくない職工がいたら、所長に伝えてくれ」と。
俺は、この中年男と『所長のハゲネタ』で仲良くなれるかもしれないと思って、「ハゲの所長さんっすね」と愛想良く言った。笑ってくれるかと思ったが、中年男の表情は曇って一瞬黙る。そのまま、「ああ。ハゲの所長よ」と低い声で言って、出入口を出て行った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます