第21話
デバイスを起動した咲夜はダンジョン配信を調べ、人気のある配信者を探すのだった。
「ほ〜やっぱり見た目がいい人は人気があるみたいだね…実力は別として」
美「そうですね、分かりやすいですからね」
「まぁアイドル扱いなんでしょうね…」
美「評価されやすいですから…」
「でも、ダンジョンのことを知るには向かないですね…上層帯が多いみたいですし…」
美「そうですね…実力のある方を探すのは大変です」
「上層には興味ないので…ん〜良い動画ないですかね…」
ダンジョンは上層〉中層〉下層〉最下層と分別されていて、進むごとに難易度が上がるとされている。その中で配信が多いのは上層であり、最下層が配信されることはないとされている。
また、探索者組合での公式記録でも最下層は人外魔境とされ、詳しい情報はないとされている。
また、下層以降の情報は貴重でお金になるため、秘匿される傾向にあるのだった。
「ん〜お金になるから隠すんだろうけど…むぅ…」
美「配信だとよくて中層ですからね」
「まぁ命がかかってるから、情報のない下層以降に行きづらいのかぁ…」
美「攻略が進まない原因のひとつですね」
「ダンジョン崩壊がないならそれでも良いんだろうけど…安全よりお金なのかな?」
美「それもあるでしょうが、権力と名誉もでしょうね。
下層以降の情報は各クランが秘匿しているようですし」
「あ〜進めば進むほど素材とかも良いだろうから、お金になるし、攻略している階層が多いほど権力と名誉が集まるのかな?」
美「そうなっていますね。情報は力ですから」
「はぁ…なんか権力争いとかめんどくさそうな話ですね…ん〜ダンジョン攻略するにも身バレしたくないですね…」
美「そうですね、咲夜さんには変装してダンジョンに行っていただきたいですね」
「マジですか…そういえば、ダンジョンに入るにはどうするんですか?」
美「基本的にはダンジョンの入り口に監視カメラが設置されていて無人ですが、設置されている改札に探索者カードをかざせば入れますよ」
「無人なんだ…魔物が溢れて来たらどうするんですかね?」
美「まぁダンジョンの入り口を囲むように壁がありますし、計測器なども置かれていますので、異常があればすぐに探索者組合にアラームが飛ぶようですよ?」
「あぁ防壁はあるんですね…」
美「まぁ、足止め程度しかできませんが…」
「そりゃまた…色々と大変そうだね。
でも改札があるってことは入場者の記録が残るのかぁ…」
美「咲夜さんならカメラに映らずに、改札も無視していけますよね?」
「あぁ…まぁ行けるのか?でも、良いのかな?」
美「咲夜さんの場合組合と関わる必要はなさそうですし…素材などは私の方で売却いたしますし。ダンジョンの情報もこちらで把握できていますので問題ないですよ?」
「それだと探索者カード不要じゃないです?」
美「探索者カードが身分証になりますし、口座と連携していますので電子決済もできるので便利ですよ?」
「そっちで必要なんだ、まぁ人に見つからなければダンジョン攻略には行けそうだね」
美「上層だったら目立たなければ問題ないと思いますが、従魔の皆さんを連れた状態だと目立つでしょうね」
「あ〜テイマーとかいないの?」
美「いらっしゃいますが…女性陣は美人なので目立ちますよ?あとグリフォンなどの高位モンスターをテイムしている方もいないですよ?」
「なるほど…シロは小さくなってもらって…クロとラビとアスラは問題なさそうかな?」
美「そうですね、その4方なら大丈夫そうですが、戦闘を見られると目立つ可能性はありますね…」
「ん〜まぁ人いないところで皆を召喚すれば良いですかね…」
美「そうしていただくと秘匿しやすいかと」
「まぁ目立って巻き込まれたり、利用されるのは嫌なので気をつけます…」
美「お願いしますね。あと、変装ですがこちらをどうぞ」
「ん?腕輪かな?」
美「はい。こちらは変身用の腕輪でして、ダンジョン内で人が少ない場所や、もし誰かの救援に行かれる場合は変身していただけたらと…」
「あ〜高難易度の場所に行けることがバレないようにと、身バレ防止のためかな?」
美「はい。変身は『変身!ダーククラウン』と唱えていただければ大丈夫です。」
「いやそれは…なんか恥ずかしいんですが…」
美「ですが正体を隠すことは必要ですよ?ロールプレイってやつですよ!」
「身バレ防止は必要ですが…しないとダメですか?」
美「もちろん!一生懸命作成したんですよ!?」
「あ〜いや…うん…分かりました…その時は利用させていただきます…」
美「それでは確認のため一度変身していただけますか?」
「えっ…今ですか?」
美「当然ですよ!確認しないと不具合があったらどうするんですか!」
「いや…えーっと…どうしてもですか…?」
美「どうしてもですよ!さぁさぁどうぞ!」
「分かりました…ふぅ…変身…ダーククラウン」
咲夜が変身コマンドを唱えると、所々赤い光がひかる黒いモヤが咲夜を包み込み、黒いモヤが晴れた場所には、黒髪から銀髪に変わり、黒いシルクハットを頭に乗せて白黒の道化師の仮面を被り、白いシャツに黒いスーツ姿で黒いマントを羽織った咲夜が表れたのだった。
美「あぁ〜良い!良いですよ咲夜さん!これならバレないですよ!」
「えぇ…それなら良かったです…ってなんか声が変じゃないですか?視界も悪くないですし?」
美「ボイスチェンジ機能もつけてますので!渋いお声になられて素晴らしいです!視界は魔法で妨げないようにしています」
「おぉ…さすが神様アイテムですね…服も動きを妨げないですね」
美「とりあえずの武器としてトランプは標準装備にしておきました!あと手袋は防護機能付きなので、そのまま格闘しても大丈夫です」
「あ〜とりあえず格闘とトランプと魔法で戦えと…?」
美「要望があれば追加しますよ?」
「ん〜とりあえずは刀を仕込んだステッキをお願いします…他は思いついたら言いますね」
美「かしこまりました。ステッキは準備いたします」
「パパ〜このライブ配信でイレギュラーが発生して、配信者さんピンチっぽいよ?」
「「えっ?」」
「仲間を逃して殿を務めてたみたいだけど、やられちゃいそうだよこの女の人?」
咲夜がデバイスを覗くと、ダンジョン中層でイレギュラーとして発生したであろうオーガに追い込まれてボロボロになっている女性配信者が写っていた。
ーーーーーーあとがきーーーーーー
お読みいただきありがとうございます。
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これからもお読みいただけるように頑張ります。
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