第7話

冥王龍アビスの解放方法を聞こうとしているおっさん、さてその方法とは何なのか。


「それで解放の方法は…?」


「我をお主の従魔にしてくれぬか?」


「んん?テイムするってこと…?」


「そうじゃ、お主の従魔になればダンジョンコアの呪縛から抜け出せるからのう」


「えぇっとそれって自由にはならないよね?」


「そうじゃが、ダンジョンに囚われているよりマシじゃわい、それにお主の従魔になっても100年も生きないじゃろ?」


「まぁ確かにそうだけど…それってダンジョン攻略したことになるのかなぁ…?」


「ん?ダンジョン攻略なら我を従魔にしたあと、奥にあるダンジョンコアを台座から外せば大丈夫じゃろ」


「ん〜アビスがそう言うなら…そうしよう!戦わなくて済むなら助かるし!」

「それじゃ行くよ…テイム‼︎」


おっさんがテイムと叫ぶと冥王龍アビスが光に包まれ、その光が縮んでいくのであった。


「ふぅ…人化なぞ久しぶりじゃわい…」


冥王龍アビスを包んでいた光が消えると、そこには鍛えられた体でナイスミドルなイケオジが立っていた。


「おぉ〜爺さん言葉なのに爺さんじゃない…見た目的には40代か…?」


「これで我はお主の従魔じゃな、これからよろしくの主」


「うん…よろしくね。それでダンジョンの呪縛は解けたのかな?」


「ふむ…それは問題ないようじゃな」


「そっかならさっさとダンジョンコアを回収して撤収しよう」


「そうか、それじゃ奥に行くとしようかの主よ」


「うん、それじゃみんな行くよ〜」


おっさんはみんなに声をかけて冥王龍アビスの後に着いていくのであった。


「主よこれがこのダンジョンのコアじゃ」


「ほぇ〜思ったよりでかいなぁ…バスケットボールくらいか…?」

「まぁこれを回収すれば良いのかな?」


「そうじゃ、そのコアを外せばこのダンジョンは停止するぞい」


「ダンジョンって停止したらどうなるの?」


「停止したダンジョンは緩やかに消滅していくのじゃ」

「ダンジョンは異界にあるからのぉ…ここの場合じゃと洞穴が残るだけじゃな」


「ふむふむ…崩落とかがないなら良いよ。でもコアを回収したら俺たちどうなるの?」


「それは問題ないのじゃ、奥にある魔法陣に乗ればダンジョンの外へ転送されるようになっておるからの」


「じゃあ大丈夫そうだね、んじゃコアを回収するよ?」


おっさんは徐ろに冥府ダンジョンのコアを両手で持ち上げアイテムボックスに収納するのであった。


「なんかダンジョンコアに触れたらダンジョンマスターになりますかって問われたんだけど…?まぁ一旦保留にしたけど」


「ふむ…ダンジョンマスター不在だっらからのぉ…、確かダンジョンマスターはダンジョンから出られぬからな、ならなくて良かったんではないかの?」


「そりゃ危ないな…んじゃまぁとりあえず脱出しますか…」

「やっとこのダンジョンから出られるなサクラ」


『そうですねマスター、ダンジョンから脱出したら桜花さまが待ってますよ』


「3年も掛かっちゃったし待たせすぎたよなぁ…」


『まぁ桜花さまは女神様ですから3年なんて短いものだと思いますけどね?』


「そっかそれじゃみんな冥府ダンジョンとはお別れしようか」


皆「はい」


おっさんはみんなが魔法陣に乗っていることを確認し、魔法陣へと魔力を流すと魔法陣から強い光が発生し、目を開けていられなくなったのだった。


おっさんは強い光を感じて目を閉じると共に波に揺られるような違和感を感じていたが、違和感が薄れ光が消えると共に目を開くと、あたり一面の草原の中、白いテーブルとイスが設置されていて桜花さまが座って待っていた。


(やっと桜花さまの神域に戻ってこれたか…)

「あれみんなは…?」


『従魔の皆さんにはあなたの亜空間に戻っていただいてますので大丈夫ですよ。まずは座ってください』


「あっ…はい…それでは失礼します…」


『まずは謝罪を…試練のダンジョンに転送する予定が冥府ダンジョンへと転送してしまい申し訳ありませんでした』


「あぁいえ…何かイレギュラーが発生したことは聞いていますし…何とか戻ってこれたので大丈夫です」


『それでもご迷惑をおかけした事は変わりませんので転生時にお詫びも付けますね』


「えっとありがとうございます…?」


『それでは説明することがありますのでまずは聞いてくださいね?』


「あっはい…どうぞ」


運命の女神桜花の話では、おっさんの前世は悪神により幸運を何度も奪われていたため不幸なことが続いていたこと。

本来であれば幸運に恵まれ、幸せな人生を歩めるはずだったこと。

おっさんが何度も幸運を奪われていた為に悪神の所業が露見し悪質だった為、その悪神は既に消滅していること。

おっさんが悪神の所業の為に早死にしてしまったので、転生させ幸せになってもらおうとしていたが、悪神の罠が残っていた為に冥府ダンジョンへ転送されてしまったことを説明したのだった。


「えぇっと…その悪神ってのが前世の俺を不幸にしていたと…?」


『えぇそうなります…申し訳ありませんでした…』


「いや…桜花さまは関係ないのですよね?それなら謝らないでください」


『ありがとうございます。それでも同じ神として、ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした』


「あぁ〜ええっと謝罪は受けとりますので、もう謝らないでください」


『わかりました、それではこれからのことなのですが…転生していただくのは…並行世界のダンジョンが発生したファンタジーな世界観の地球です!』


「んん…?ファンタジーな地球ですか?」


『はい、そうです』


「どんなところなんですかね…?」


『そうですね、あなたがいた地球にダンジョンが発生してモンスターがいる世界ですね』


「はぁ…地球上にモンスターが蔓延ってるとかですか…?」


『いえ…モンスターは基本ダンジョンから出てこないのですが…』

『ダンジョン崩壊現象が起こるとモンスターがダンジョンから溢れてしまいます』

『溢れたモンスターは探索者と呼ばれている方々が討伐している状態です』


「うへぇ…ダンジョン崩壊は止めれないのですか…?」


『ダンジョン内のモンスターをちゃんと間引きしていれば崩壊は起こりません。

また、ダンジョンを攻略すればダンジョンは消滅させることができます』


「あぁそれで最初にモンスターの間引きって言ってたんですね」


『そうです、しかし今のあなたなら攻略も簡単でしょう。

ですが、転生先の地球では既にダンジョンはなくてはならない状態です』


「全てを攻略するってのはダメってことですね…」


『はい、その地球では既にモンスターからドロップする魔石を利用して、エネルギー問題を解決していますので、魔石がなくなると大変なことに…』


「なるほど〜そうなるとダンジョン崩壊を起こさない程度に間引きが良いのか…」


『ただ、人気のないダンジョンは消滅させたくても攻略できる方がいらっしゃらないもので…

迷宮組合が定期的に間引き依頼を出していますが間に合わずダンジョン崩壊を起こすことがあります』


「うへぇ…管理不足ってことですか…じゃあ俺は管理不足のダンジョンを攻略すれば良いんですかね?」


おっさんは転生先でしないといけないことを伺うのだった。

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