第6話

さて微妙な味のラーメンを食べ切ったおっさんはサクラにも何か食べさせようとパネルを眺めていた。


「ん〜サクラは甘い物好き?」


『いえ私は魔力があれば大丈夫ですよ?』


「食べれない訳じゃないんだよね?」


『まぁそうですが…』


「じゃあこれ食べてみない?」


『何ですかこれは?』


「飴玉だよ。俺が好きなミルク飴…はいコレ」


『はぁ…いただきますね』


おっさんはサクラにミルク飴の包装を開けて、小さく砕いてサクラに手渡した。サクラは少し考えたが口に入れてみた。


『んん〜甘くて美味しいですぅ〜♪』


「うんうん、美味しいよね。喜んでくれて良かったよ」


おっさんはサクラが喜んで小躍りしているのを眺めながら、また今度何かを食べさせようと考えていた。


『マスターありがとうございます〜、美味しかったです』


「それは良かったよ、また今度何かあげるね」


『楽しみにしてますね〜』


「さてこの階層の攻略を考えないとねぇ」


『戦ってみてどうでしたか?』


「ん〜ゴブリン1匹は問題なく倒せると思う…複数はまだ分からないかなぁ…」


『まぁ今のところ生き残ることはできそうなので、ゆっくり攻略して行けば良いんじゃないですかね?』


「まぁ焦っても仕方ないしねぇ、じゃあ今日はとりあえず休んでから考えよう」


おっさんはとりあえず休むために創造魔法でテントを作り出す、テント内は空間拡張付きで寝室とダイニングキッチンにお風呂付きの贅沢仕様であった。


「おぉ良いのができたな…早速お風呂に入ろう」


やはり日本人お風呂は大事である、たとえ浄化で綺麗になるとはいえ、お風呂での癒しは別格である。


「ふぅ…やっぱお風呂は気持ちよかったよ」

「さてあとは寝るか…あっ…サクラのベットを作らないと…創造!」


おっさんは人形サイズのベットを作成しテーブルの上に置いた。


「サクラはそのベット使ってよ。それじゃおやすみサクラ」


『ありがとうマスター、おやすみなさい』


翌朝おっさんは目覚めてから朝の支度をし食事を終わらせ、ダンジョン攻略の準備をしていた。


『マスター今日から本格的に攻略を始めるんですか?』


「うん、そうだね…進まないことにはどうしようもないからね。そういえば安全地帯ってここだけなのかなぁ?」


『いえ、各階層に何ヶ所かあるようですよ?』


「そっかそれはありがたいなぁ、んじゃ慎重に進んでいきますか」


『頑張りましょうねマスター』


「おう!」


おっさんはテントをアイテムボックスに収納し、創造で作った槍と盾、動きやすさを重視した防具を装備し歩きだしたのだった。


冥府ダンジョンは地下100階まで存在し、地下に行くほどモンスターは強くなる仕様である。また、出てくるモンスターは多様で連携や不意打ちなどさまざまな手段で攻めてくるのである。


そんな中おっさんは慎重にゆっくりとではあるが階層を攻略していた。時に宝箱で喜んだり、戦闘に慣れた頃に油断して怪我をしたり、また、不思議な縁を感じたモンスターをテイムしながら戦力を増強し進んだ。


おっさんが冥府ダンジョンに送られて3年…どうにか地下100階のボス部屋前に辿り着いていた。


「はぁ…やっとここまで来たなぁ…」


『そうですね、あとひと踏ん張りですね!マスター』


「そうだなぁ…あとはここのボスだけだね。それにしても長かったねぇ…従魔なかまも増えて心強いよ」


おっさんはここに到達するまでに従魔を増やして来た。


従魔一覧

種族     名前


鬼神     セツナ

白狼神    シロ

死神猫    クロ

神祖吸血姫  カーミラ

冥府スライム皇帝 アスラ

サキュバス女王  リリス

アラクネ女王   シルク

暗殺兎    ラビ

皇帝鷲獅子  グリ

雷帝神鳥   レイ

不死王    スケさん


と最上級モンスターまで進化を果たした従魔達を率いてここまでやって来たのだ。


「にしても良くここまで育ったなぁ…セツナなんてゴブリンだったのにねぇ…しかも雌だったし」


セ「主様のおかげでここまで強くなれました、感謝致します」


「いやいや…セツナが頑張ったおかげだよ。にしても刀を気にいるとはなぁ…」


セ「なぜかしっくりときまして、主様あるじさまに剣術を教えて頂きここまで至ることができました」


「セツナが強くなってくれて俺も助かってるよ」


セ「お褒めいただきありがとうございます」


「クロとシロとラビにはモフモフで癒されるし…アスラにはゴミ処理をしてもらえてありがたいなぁ…」


ク「ワフッ」

シ「ニャァ〜」

ア「ピィピィ」


「おぉよしよし…あはは…くすぐったいよ」


おっさんはクロシロラビのモフモフを堪能しつつ、シロクロラビに頬擦りされて顔を緩めていた。


カ「旦那さま気を抜きすぎですよ」

リ「そうですよ、まだ攻略は終わっていないんですよ旦那さま?」


「あはは…カーミラにリリスもごめんよ…ついついね」

「さてシルク、グリ、レイ、スケさんも準備は良いかな?」


シ「はい」

グ「(大丈夫です)」

レ「(行きましょう)」

ス「参りましょう主様」


『頑張りましょうねマスター』


「あぁここまで来たんだしっかり攻略しよう」


おっさんはみんなに声かけをし気合を入れてボス部屋へと突入して行った。


「GURURURU…ここまで到達する者が現れるとは重畳。よくぞここまで来た…我の名はアビス…冥王龍のアビスなり」


「こりゃまた立派なドラゴンだね…」


冥王龍アビス…冥府ダンジョンの最下層ボスであり、おっさんにとって最後の敵である。

冥王龍アビスは50mを超える黒龍で、その大きさに伴い存在感が半端なく威圧感を感じる威容であった。

だがその目には理性が宿り今までのボスモンスター違い、問答無用の殺意は抱いていないようであった。


「ふむ…怯えぬか…ならば、その方に頼みがあるのだが…我をここから解放してくれぬか?」


「えっと…どういうこと?」


「ふむ…ちと昔話をしようか…。若い頃の我は挑んでくるものを全て返り討ちにしながら過ごしていたのだが…勇者や魔王、国の騎士団に冒険者など様々な者が挑んできていてな、それを全て返り討ちにしていたのだがな。

いつまで経っても挑んでくる者が途絶えなくてな…ゆっくり休めなくて疲れてしまってな…人種のいない大陸の山の麓にちょうど良い洞穴を見つけてな…ゆっくりできそうだったので、そこで眠りについたのだ」


(ふむふむ…勇者や魔王まで退けてたって…やべぇやつかも…?)


「それでどうしてダンジョンボスなんかしてるんだ?」


「それはだな…眠りについたのは良いのだが…平和だったものでな…500年ほど寝ていたらいつの間にかダンジョンに囚われてボスにされてしまったのだ…」


「えぇ…寝てたらダンジョンボスになってたとか…気づかないもんなの…?てかダンジョンマスターではないの?」

(てか500年も寝るってスケール違うな…)


「我はダンジョンマスターではないぞ?我の魔力が洞穴で蓄積してしまい、魔力溜まりが発生しダンジョンコアが発生してしまったのだろう。我の魔力を利用してコアが成長したみたいだが、マスターは居ない状態であるな」


「ふむ…それで解放ってどうすれば良いのかな…?」


「我がお主に頼みたいことは…」

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