第5話

5話


さてあれこれと自重を忘れたおっさんだが、とんでもないことになっていた。


「サクラ〜すっごいことになったぞ!!」


『どうしたんですかマスター?』


「とりあえずこれを見てくれ!」


サクラに鑑定したステータス画面を見せるおっさん。


ステータス

HP 測定不能

MP 測定不能

STR D

VIT D

AGI D

INT D

MND D

LUK SSS


スキル

取得数が膨大な為表示不可


魔法

原初魔法


これである…自重を忘れたおっさんは思いつく限りにスキルや魔法を創造し習得していた。スキルは表示限界を超えた為に何のスキルがあるか分からず、魔法はイメージさえできればどんな事象も起こせる原初魔法へと至っていた。使いこなせるのだろうか?


『マスター…とりあえずスキルと魔法のことは置いておくとして…HPとMP以外のステータスは増やせなかったんですか?』


「いや〜それがさ〜なんか成長度ってのが上がったらしいけど…実際のステータスは変わらなかったんだよねぇ?」


『ん〜モンスターをレベルを上げないといけないんじゃないですかね?』


「あ〜やっぱりそう思う?」


『試してみないことには分からないですが…』


「まぁそうだね…ステータスが増加すれば、少しは余裕が持てると思ったんだけどなぁ…」


『安全を確保することは大事ですが、油断すればあっけなく死んじゃいますよ?』


「まぁ死にたくないから油断するつもりはないんだけど…」


『それでそのスキルと魔法は何をどうしたらそうなるんですか?』


「いや〜思いつく限りのスキルや魔法のオーブを創造したら、、色々とできちゃってさぁ…自分でも何を作ったか覚えていないんだよね…あはは…」


『はぁ…どうするんですかマスター?』


「いや…全部覚えていないわけじゃないからなんとかなると思いたい…」


『じゃあこれからモンスター退治ですか〜?』


「そうだなぁ〜魔石を手に入れないと売店スキルも使えないしなぁ…」

「とりあえずどんなモンスターが居るのか覗いてみようと思う…」


『油断しないようにしてくださいね?』


「了解。ちょっと覗いてくるからここで待っててな」


そう言い残し洞窟の小部屋からそろりそろりと離れてモンスターを探しに行くのであった。


(そういえばほんのり壁が光ってるのはありがたいな…真っ暗な場所とかもあるのかな…?まぁ今はどんなモンスターが居るのか探さないと…)


薄暗い通路を音も立てないように慎重に歩いて行くおっさんの前に左右に別れた通路が見えた。


(ん〜どっちの通路に行こうかなぁ…)


どちらの通路に行こうか迷っているおっさんの耳に左の通路から足音が聞こえてくるのだった。


(おっ…何かが来るな…気配を消して隠れるか…)


スキル気配遮断を使用し隠れたおっさんはモンスターを確認するのだった。


(うはぁ…あれはゴブリンってやつかな…でも緑色じゃなくて灰色っぽいんだけど…まぁ鑑定っと…)


アビスゴブリン


HP 1000

MP 0

STR B

VIT C

AGI D

INT E

MND E

LUK E


(おふ…脳筋仕様だけどSTR がBって…ん〜MNDが低いし後ろから魔法でなんとかなるかなぁ…?なるといいなぁ…)


おっさんはアビスゴブリンが右の通路に歩いていくのを確認し、魔法の準備をするのだった。


(さて洞窟だし火系統は危ないだろうから…風系統かな…)


「よし…ウィンドスラッシュ乱れ打ち!」


おっさんがアビスゴブリンへ手のひらを向けて魔法名を詠唱すると、風の刃が乱れ飛びアビスゴブリンへと殺到した。

ゴブリンが魔法に気づき振り返ろうとするが、運良くゴブリンの首へと風の刃が一閃、ゴブリンは声を上げる間もなく倒されて黒い靄になり魔石を落とすのだった…。


「おぉ〜首が急所なのかな?瞬殺できたのはラッキーだったなぁ…」

「魔石を拾って一旦戻るか…」


おっさんは魔石をアイテムボックスにしまい、サクラの待つ安全地帯へと戻るのだった。


「サクラ〜なんかアビスゴブリンってやつを倒して来たよ」


『怪我はしてないですか?』


「大丈夫だよ…背後から魔法で奇襲したから」


『怪我がなくて良かったです〜』


「魔石も手に入ったし売店スキル使ってみるね…スキル売店!」


おっさんがスキル名を唱えると目の前にパネルが表示されるのだった。


「おぉ〜?なんか色々分類分けされているのか…まずはこの換金ってのをするか…」


おっさんがパネルの換金と表示されている部分をタッチすると箱が現れ、箱に魔石を投入してくださいと表示されていた。


「ふむ…この箱に魔石を入れるのか…ポイっと」

「おぉ〜アビスゴブリンの魔石は1個で10000ポイントなのか…多いのか少ないのか分からんな…」


『まぁポイントが手に入ったんだから良かったですね〜』


「そうだね。じゃあお腹空いたし食品を見てみよう」

「そういえば今の俺って魂だけなんだよね?お腹空くんだ?」


『そうですね、魂だけとはいえ体を構成しているからエネルギーは必要だからね〜』


「そういうもんか…まぁいいや…さてさて何があるのやら」


おっさんがワクワクしながら食品と書かれた部分をタッチすると、食べたことがあるものやら、見たことがあるものがズラリと表示されていた。


「むむ…食材やら料理やらごちゃごちゃしてるなぁ…」

「あぁカテゴリで分けれるのか…んじゃすぐに食べれそうな料理を選んでっと」

「おぉこのラーメン食べてみたかったんだよねぇ…1000ポイントか…ポチッと」


おっさんがラーメンを選択すると足元におかもちが現れた。


「おぉ…これの中にあるのかな?どれどれ…箸付きとはありがたいね…サクラも食べる?」


『いえまずはマスターが食べていいですよ〜』


サクラはいきなり現れたラーメンを見て遠慮していた。


「まぁいいや…それじゃぁいただきますっと…ズルズル…んん?」

「何だろ…なんか曖昧でぼやけた感じなんだけど…食べれはするけど美味しくない…」


『大丈夫ですか〜』


「いやまぁ大丈夫ではあるんだけど…」

「ん〜飲み物が欲しいなぁ…」


おっさんは追加で前世で好きだったペットボトルのお茶を購入した。


「ごくごく…ぷはぁ〜やっぱ綾◯は美味しいな」

「あれ?こっちは普通に知ってる味で美味しいな…」

(ん〜もしかしてさっきのラーメンって味を知らないからぼやけた味だったのかなぁ?」


おっさんの予想通り売店スキルは記憶にあるのが買えるが、味を知らなければ曖昧になってしまうのだった。ある意味お預け状態なのである残念。

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