第3話
朝起きると、既に母親は出勤したあと。
テーブルの上にはサラダとスクランブルエッグ、焼いたベーコン。コーンスープの…いわゆる市販品のお湯を入れるヤツ。
「今日は洋食にしたのか、母さん」
昨日の朝ごはんを和食にして、盛大に分量を間違えた卵焼き 甘すぎverのおかげだ。
昨日の卵焼きは凄かった。
久々に大失敗したこともあり、昨日の夕飯は潔く俺に譲って、尚且つ悪いと思ったのか冷蔵庫にプリンが仕舞われていた。
「間違えたの恥ずかしかったんだろうな」
朝ごはんを食べながらニュースにすると、昨日あった大きな事故が取り上げられていた。
電車のパンタグラフが強風で壊れ、送電設備も故障して停電したかー。
でも、昨日はそんなに天気が荒れていたわけでもなかったはずだが…
まあいいや、俺は電車通学じゃないし。
歩いて精々15分。関係ないしな。
と、そろそろ出ないとまずい。
慌てて皿を片付け、歯を磨き身なりを整え家を出た。
「いってきます」
カタン
扉をしめた瞬間に、家の中で音がした…ような気がした。
あれ?窓も閉めたはずだけど。
1度扉を開け、中を覗くが何も…無い?
まあいいや。
鍵を閉め、慌てるように学校に向かう。
✱ ✱ ✱
校門を抜けるとちょうど同じように零士がきた。
「おはよう」
「よーっす!」
朝イチで見る顔が零士かよ、と思いもしたがこればっかりは仕方ない。
「なあ、お前数学の宿題やったか?」
「ああ、終わってるよ。なんで?」
「今日当たりそうなんだよ、答え確認さして?おねがーい!」
このパターンは…やってないな。
俺はなんだかんだ目をつけられたくないので、最低限ちゃんとやる。
目立ちたくもないのでやりすぎたりはしないけどな。
「はあ、またか?まあいいけどさ、俺も確認したかったし」
やれやれ、と思ったものの、答え合わせ…宿題を写すぐらいどうでもいい。どうせ後で苦労するだけだからな。
「3年にもなると、こう課題ばっかりで嫌になるよな。部活も夏の試合で終わりだしなー」
俺らバスケ部は、夏の大会で終わりだがそもそも特別強くもないので夏の大会と言っても夏休み前には終わってるだろう。
「まあ、仕方ねーよ。それより早く行くぞ、グダってないで」
俺はあーだこーだ言う零士をおいて3階にある教室へと向かう。
ガラッ
「あ、すまん」
教室の扉を開けた瞬間、九尾がちょうど開けようとしていたのか目の前にいた。
「ええ、大丈夫よ」
九尾は全く驚いていなかったが、後ろにいた零士は大声を上げて驚いている。
「なんでお前の方が驚いてんだよ」
「いや、すまん」
席について早々に零士がノートとシャーペンを持ってやってきた。
そそくさとノートに数字の羅列と数式を書き写し始めた。
「零士驚きすぎだろ」
つい、さっきの顔が面白くてからかってしまう。
「いやだってさ、昨日の今日だからついな」
「昨日?あーあの話か。忘れてた」
そういえば帰る途中に九尾の話をしたんだった。
俺は目の前にいた九尾に驚いたけど、九尾は分かってたみたいな反応だったな。考えてみると。
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