第12話

第23章 透明吸血鬼狩り

透明吸血鬼は怒り狂ってアパートを飛び出したらしく、アパートの前で遊んでいた子供2人が見えないものに突き飛ばされたそうだ。松本博士と乃木署長は、興奮しているロナルド氏にウイスキーを与え、落ち着かせた後、ことの顛末を語らせた。ロナルド氏は語り終わると、「あの男はけだものだ!もはや昔の学友ではない!怪物だ。」と繰り返し叫び、松本博士も「まさかドラキュが透明吸血鬼とは…」と、言葉を詰まらせていた。事情を知らない乃木署長は、ドラキュとはだれかと繰り返し言っていたので、松本博士が見かねて説明した。「彼の名はジャック・ハミルトン・ドラキュ。アメリカのビバリーヒルズの日系人の裕福な家庭で生まれるが、幼いころに不運な自動車事故で両親を亡くし、孤児となった。その後は両親の執事であるハミルトン氏夫妻に育てられ、次第に抜群の頭脳を見せるようになり、17歳のころからマサチューセッツ工科大学で特別研究員になる。その後は物理学を専攻し、19歳のころ、特別研究員から試験を免除されて正式な学生になり、光の密度について研究した。好きな食べ物はドーナツ。理由は孤児になって孤独だったころ、ハミルトン夫妻がよく焼いて作ってくれたから。ざっと彼のプロフィールはこんな感じだ。後、IQは200。」「200!」乃木が叫んだ。ロナルド氏が続けた。「それぐらい頭がいいからこそ、光の密度から人を透明にできたんだろう。間違っている使い方だが。」松本博士が言った。「しかし、彼が恐怖政治を企んでいるということは間違いないのか?」ロナルド氏は不満げに言った。「間違いない!」「そうか、では署長、すぐに巡査を動員し、ほかの都市からも応援を要請し、透明吸血鬼を函館から出さないようにしてくれ。一旦函館から出てしまえば、自由に世界を飛び回り我々を狙ってくるぞ!後は奴の似顔絵と顔写真を使って指名手配しよう。いやはや!緊急事態だ!全世界にこのことを知らせよう!我々が協力してやつを捕まえなければ、ロナルドから聞いた話だが、奴はウイルスの副作用でだんだん狂暴になるそうではないか!」するとロナルド氏が付け足した。「あいつは半分は昔の学友だが、半分は得体のしれない悪鬼だ!私が簡単にやつを裏切ることができたのも、もうあいつは学友ではないからだ!あいつはもう目的のためには手段は選ばないと言っている!今日は1日中奴の話を聞かされたが、すでに6人も殺している!捕まえて、牢屋に入れないことにはないが起こるのか考えただけでも恐ろしい!」「6人ですって!それは確実に死刑ですな!」乃木が叫んだ。ロナルド氏は言った。「あいつは絶対に捕まえなければならん。あいつは、悪魔だからな!」そのあとも夜が明けるまでいろいろと作戦会議をした後、結局危ないので松本博士と加藤博士がロナルド氏の家に泊まり込むことになったのだが、翌朝、ロナルド氏がポストを見た際、ロナルド氏は思わず叫びそうになった。そこには、死刑宣告と書かれた紙が入っているではないか!

第24章 死刑宣告

ロナルド・ダーン殿                         6月14日

君は驚くほどずる賢く、油断ならない人物だ。だが、どんな報いが待っているか、君には想像がつくか?貴様は私を裏切り、あの天才気取りと私を捕まえる計画を夜明けまで練っていた。隠れても無駄だ。こっちは世界中が隠れ場所なのだ。私は透明になった体でつい先ほどまでずっと貴様の家の中にいた。貴様がこの手紙を読んでいるとき、きっと私はとある場所でゆっくり眠り、ゆっくり食事をしていることだろう。そして、貴様たちを黙らせ、恐怖政治を行うプランを立てているだろう。復讐は始まったばかりなのだ。貴様たちは、1人残らず、私の復讐の毒牙にかかって、もがき苦しむことだろう。私はいまや日本中を恐怖で支配した。次には全世界を支配するつもりだ、しかし、まずは私の最初の領土日本で業務を行う。手始めに出す命令は、ささやかなものだ。私の力を見せつけるため、見せしめの処刑を、裏切り者のロナルドという男に行うことにする。おそらく、護衛を雇い、鍵をかけ、ひょっとするとナイフで武装しているかもしれない。だが、私の復讐はこれで終わることはない、いずれ、ロナルドと彼をかくまったものにも死刑を執行する!ロナルド・ダーンに死刑を執行する。処刑は今日から正式に3日後に行われる。人民よ!死を恐れるならば、ロナルド・ダーンを助けるな!これは私、ノスフェラトゥ伯爵の警告だ!

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