鎧武者ハンティング③
節太郎は刀を使った戦いの才能に恵まれていたが、非常に気弱な性格で常に逃げ腰。合戦中に負傷し、後に隠匿の森と呼ばれる森林に隠れた。その傷が悪化して死亡したが自分の死に気づいておらず、まだ合戦が続いていると思い込んで森に潜み続けている。
今は毎晩の日課となったパトロール中。自分を討ち取りに来た敵兵がいないか探し、見つけたら斬り殺すつもりなのだ。
基本的に逃げ腰な節太郎だが、生き延びるためならどんな相手とも斬り結ぶ攻撃性を兼ね備えている。その生涯で殺害した敵兵は600人以上。本来なら英雄として後世まで名前が語り継がれていただろう。しかし節太郎は恩賞を受け取る前に逃亡し、隠れてしまったため誰にも評価される機会がなく、その活躍や名前はどの文献にも残されていない。
節太郎の握る太刀は、恐怖で震える体に合わせて小刻みに振動している。
節太郎「それがしは絶対に生き延びるのだ……で、出会った者は問答無用で斬る……絶対に合戦には戻らんぞ……あ、あんな死地はもう
木々をかき分けながら歩く節太郎の20mほど前方に、ブラックウォーターガンを持ったベンツが現れた。
ベンツ「ほ、本当にいた……
節太郎「あの者が持っているのは……火縄銃か?て、敵兵ー!」
節太郎は太刀をブンブンと振り回しながらベンツのほうへ駆ける。
節太郎「斬る!斬る!斬る!
ベンツ「ベンツを買った直後に息子が私立中学に行きたいと言い出し、妻もその気になって勝手に話を進めている……さぁ、息子の塾代になれ!そしてウチの家計を支えろこのアナログ野郎!」
ベンツはブラックウォーターガンを乱射するが、放たれた水は全て節太郎の太刀で弾かれてしまう。
節太郎「斬る!KILL!斬る!KILL!」
ベンツ「う、うわぁぁぁぁぁぁぁ!」
近寄ってきた節太郎の一太刀で、ベンツの首が
−−−−−−−−−−
左手に注射器を刺し、中のクスリを投与する
朱里亜「30万なんて目先の金はどうでもいい!MASASHIを殺してアカウントを乗っ取り、なりすまして運営したほうが長期的に見て儲かる!登録者3万人のチャンネル!副業としてピッタリじゃん!」
走る朱里亜の視界、左隅が一瞬光った。斜め前方、15mほど離れた草むらから、節太郎が姿を現す。
朱里亜「あらら、先に幽霊とエンカウントしちゃったか。まぁいい。アンタを殺して30万もらってからMASASHIも殺せばよぉ!」
朱里亜はブラックウォーターガンを節太郎の頭に向かって放つ。兜にぶつかった水は節太郎を負傷させるどころか兜に傷をつけることもなく、弾かれてただの水滴に変わった。
朱里亜「なんで!?効かないじゃない!あのインチキ心霊動画野郎!この私を騙しやがったな!」
節太郎「そ、それがしの兜は火縄銃では貫けぬ!そなたも斬る!斬る!斬る!KILL!」
太刀をブンブン振り回しながら駆け足で朱里亜との距離を詰める節太郎。刃が朱里亜の体を右肩から左脇腹へ、そして左肩から右脇腹へクロスするように通過し、切り裂いた。
朱里亜が肉片となってボトボトと崩れ落ちた直後、節太郎の顔面スレスレを水が右から左へ横切る。節太郎の右側、40mほど離れた場所からMASASHIが節太郎を狙っていた。MASASHIは右手にブラックウォーターガンを、左手にスマートフォンを取り付けて長く伸ばした自撮り棒を握っている。生配信をしながら節太郎を除霊しようとしているのだ。
MASASHI「ああーくそ!外れた!視聴者のみなさん、次はどこを狙えばいいっすか?アドバイスお願いしまーす!」
節太郎「ひ、火縄銃と太刀の両手使い……こんな
MASASHI「『もっと近づけ』?まぁそっちのほうがスリルあるっすよね〜!じゃあ5m近づいてみま〜す!」
MASASHIが前に1歩踏み出す。
節太郎「ヒィ!あ、あの豪傑もそれがしを討ち取る気でござるな!く、来るな!来るな!来るな!来るな!来るなら斬る!斬る!斬る!KILLーーーー!」
太刀を振り回し、MASASHIに向かって猛ダッシュする節太郎。
MASASHI「あっちから来た!なんか絶叫してて草生える!えーっと『まずは足を狙って機動力を奪え』?OK!理にかなってますねぇ!」
MASASHIは節太郎の足を狙ってブラックウォーターガンを放つ。しかしバタバタと動く節太郎の足にかすりもしない。
MASASHI「あっヤベェかも!もっとアドバイスください!『腹を狙え』?『肩を狙え』?『頭を狙い』?あーもうどこ狙えばいいのかちゃんと意見を合わせて」
節太郎の太刀が、ブラックウォーターガンと自撮り棒もろともMASASHIの胴体を真っ二つに裂いた。
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