ゴースト・ティラノサウルス VS 爆弾魔シゲミ①

市目鯖しめさば高校の2年生は、修学旅行で某県を訪れていた。この日は丸1日自由行動。


PM 1:10

心霊同好会のカズヒロ・サエ・シゲミ・トシキは、市街地から離れたある山を散策していた。



サエ「やっぱブレザーは登山に向いてないね」


カズヒロ「仕方ねぇだろー、自由行動だけど制服着用がルールなんだからよー」


トシキ「どんな形であれ、ボクはまたみんなで心霊スポット巡りができてうれしいよ」


カズヒロ「お前、本当にポコポコ教の洗脳解けたのかー?また勧誘すんなよー?」


トシキ「大丈夫。シゲミちゃんの家で1週間保護されて、お祖母様ばあさまにみっちりリハビリしてもらったから。ポコポコ教には未練も執着もないよ」


シゲミ「よく耐えたよね、トシキくん。私の祖父もポコポコの信者で、祖母が目を覚まさせるためにリハビリをしたんだけど、それが原因で死んだんじゃないかって家族でウワサしてるくらいなのに」


トシキ「やっぱ死者出るよねアレ……竹刀でお尻を毎日600回叩かれるのはまだ大丈夫だったけど、大雨で氾濫はんらんした神田川を全裸で下流から上流まで泳がされたときは生きた心地がしなかったよ……」


サエ「シゲミのおばあちゃんって怖いんだね」


カズヒロ「でも、シゲミのばぁちゃんに感謝だなー。で、この山で合ってるんだよなー?登山客が失踪しまくってるっていう心霊山しんれいやま


トシキ「ネットの情報が正しければね。生存者の何人かは『恐竜の幽霊に仲間が喰われた』って言ってるらしい」


サエ「嘘くさっ。ていうか恐竜って幽霊になるの?」


トシキ「ボクがポコポコ教にいたとき、背後霊がゴリラな人ならいたよ」


カズヒロ「っておい!ポコポコ教が出てるぞー!その話はNG」


トシキ「あっ、ゴメン。ほら、最近ニュースでもよく名前を聞くからついポコポコ様のことが頭にチラついて」


サエ「ポコポコ『様』ぁ?」


トシキ「あっ、いや……もう黙る」


シゲミ「早くポコポコを消し去らないとだね。修学旅行は参加必須なのがもどかしい……私の同業者が上手く仕留めてくれると良いんだけど」



縦に並んで歩く4人の右横、立ち並ぶ木々が奥の方からメキメキと折れる音が響く。シゲミたちの間近に生えている木を押し倒し、巨大なティラノサウルスが姿を現した。



🦖「ゴルルルッ(こんにちは、コバエども。は恐竜の幽霊)」



カズヒロ・トシキ「出たーーーーーっ!!」


サエ「マジ……?」



シゲミは左肩にかけたスクールバッグに手を入れ、手榴弾を取り出す。シゲミがピンを抜くよりも速く、ティラノサウルスは体を半回転させ、4人の体を尻尾で薙ぎ払った。大きく吹き飛ばされ、地面に倒れる4人。



🦖「ゴルルラァッ(手榴弾を出した人間、爆弾魔・シゲミだな。そっちから来てくれるとは、余はツイている)



大きな足音を立てながら4人に接近するティラノサウルス。シゲミは真っ先に立ち上がりティラノサウルスの前に立ち塞がる。しかし恐竜の巨体を人間が止められるはずがない。ティラノサウルスの頭突きを真正面から受けたシゲミは、カズヒロたちの頭上を飛び越え、木に背中を強く打った。



🦖「グルルッ(ノミバエが。他愛たあいもない)」



ティラノサウルスは尻もちをつくカズヒロたちを大股でまたぎ、シゲミへと近づく。体にかかった衝撃が思った以上に重く、身動きが取れないシゲミ。スクールバッグにはまだ手榴弾やC-4が大量に入っている。すぐに取り出して応戦しなければ確実に殺される。頭では分かっているのに、体が言うことを聞かない。



🦖「ゴアァァァァァッ!(我が友・ポコポコ様、アナタの敵は我が敵。今、此奴こやつを食いちぎり、その血をアナタに捧げます!)」

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