殺人格②

キャンプ内で合流したパティ大尉、モス軍曹、ナゲット上等兵。調べた結果、ベキューとその部下12名全員がすでに死亡していることが判明した。


ナゲット上等兵「仲間割れでもしたのでしょうか?」


モス軍曹「だとしたら、戦闘の痕跡が全くないのが不自然だ。死体の側に落ちていた銃も、ほとんど使われていない」


パティ大尉「何者かが我々より先に到着し、コイツらを殺ったのか……」


ナゲット上等兵「アメリカ以外でもテロを行っていた連中ですから、誰に恨まれていても不思議じゃありませんよ」


モス軍曹「何にせよ、これをやってのけたヤツは凄腕です。全員を死角から襲い、反撃する間も与えずに刃物で首を切り裂いている。切られた方は、痛みを感じるより前にあの世行きだったでしょう」


パティ大尉「そうだな……ナゲット、すぐに本部へ状況を報告し、指示を仰げ」


パティ大尉は左肩につけた無線機のスイッチを入れる。


パティ大尉「コーク、すぐに合流しろ。……コーク?聞こえるか?コーク?」


森林の中から何かが飛んできて、3人の足元でワンバウンドした。切断されたコーク二等兵の首だった。


パティ大尉「敵襲ーーーーっ!!!」


3人はそれぞれ銃のトリガーを引き、コーク二等兵の首が飛んできた方向へと乱射する。数百発もの弾が、次々に木をなぎ倒した。


1分間におよぶ銃弾の雨。どれだけ巨大な動物でも、生きてはいられないだろう。しかし、敵の死体を見るまで油断はできない。次の襲撃に備え、弾倉を交換する3人。直後、ナゲット上等兵が背後から何者かに首を掻き切られた。悲鳴を上げることすらなく、その場に倒れる。


彼の体が地面に崩れ落ちた音で、パティ大尉とモス軍曹は、敵が背後にいることに気づいた。2人が振り返ると、見上げるほどの長身の大男が立っていた。黒いロングコートを着た、金髪でオールバックのヨーロッパ系男性。右手で、真っ赤に染まったサバイバルナイフを逆手に握っている。


パティ大尉とモス軍曹は、銃を乱射した。大男はバック宙をしながら2人から距離を置き、近くの平家の屋根によじ登ると、大きく跳躍。落下しながらパティ大尉めがけてナイフを突き立てた。


左に横回転しながらナイフを交わしたパティ大尉。そのまま別の平家の影に隠れる。着地した大男に向かって弾丸を放つモス軍曹。しかし大男は、その体格からは想像もつかないほどのスピードで八の字に走り回り、機関銃の掃射をかわす。そして弾切れしたタイミングでモス軍曹に接近し、左脇腹にナイフを突き刺した。


モス軍曹「うがぁっ!!!く、腐れ外道がぁぁぁっ!」


モス軍曹は手に持った機関銃の銃床で大男の顔面を殴る。常人なら一発で失神するほど強力な一撃だったが、大男は怯むことなく何度も脇腹を刺し続け、最後に首を横一文字に切り裂いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る