第106話 ドワルゴン


 翌朝は五人で行動して行く。

 とりあえず門に行き賞金首はいなかったようだが報奨金が金貨100枚もらえた。ギルドによると1人金貨5枚で50枚になった。


 奴隷商に行き、欠損奴隷を見せてもらうと4人の欠損奴隷がいた。もう死臭のしているような奴らだ。

「いくらになる?」

「は?か、買うんだったら銀貨一枚でいいよ」

「ならこれで」

 馬車の荷台に乗せると、見つからないようにリジェネレーションを使う。


「うあぁ」

 全員借金奴隷のはずなのに何故こんなことになっているんだ?

「はぁ、はぁ、か、神様?」

「…違う、お前らはどうやって死にかけてたんだ?」

 聞くと4人とも同じ貴族にやられたそうだ。4人とも冒険者で腕に自信はあったが逆らえないのをいいことに斬られ踏みつけられてきたと言う。

「帝都の貴族です」

「…そうか、今から向かうのは帝都だ、恨みはそれまでとっておけ」

「「「「はい」」」」

 防具と武器を買ってやり、馬車は八人を乗せて帝都に向かう。


 道中出てくる魔物は奴隷の元冒険者が倒そうとするが4人に教えながら倒すように指示する。

「…んじゃ旅を続けるぞ」

「「「「はい」」」」

 ドワルゴン帝国の帝都はもうちょっと先のようだな。

 

 野営は慣れたもんで皆テキパキと動き、俺は眠りにつく。起きると少し怪我をしていたリズとラムに回復魔法をかけてやり、魔物を収納して朝飯を食べるとすぐに出発だ。

「け、ケント様。どうして帝都なんかに?あそこは腐ってますよ?」

「…どう言うことだ?」

「帝都の貴族はやりたい放題なんです」

「私らも帝都の冒険者ギルドに所属していたが騙されて借金奴隷になって貴族に買われました」

「まともな貴族はいません」

「…なら潰しがいがあるな!」

「「「「え?」」」」

「…俺は帝都に喧嘩を売りに行くとこだ!」

「「「「えぇーー!!」」」」

 と驚くリズ達だが、

「私はついていきます!」

「お、俺もです!」

「どうせ拾ってもらった命!」

「恩に報います」

「…お前らはどうする?」

「「「「いきます!」」」」

「…よし!まずは帝都の王だな!」

「「「「はい」」」」


 まだ早馬は来てないようで帝都にはすぐに入れた。

 王城までの道のりは馬車で向かう。

「止まれ!お前らはなんだ?」

「こう言うものだ」

 ギルドカードを見せるとちょっと待てと言われて待っていると、

「何のようだ?」

 と筋骨隆々の男が出てくる。

「さあな!」

「うぐああぁぁぁ!!」

 両腕を落とし馬車は門を潜る。

 兵士が大勢やってくるがそれを冒険者達と俺とで払いのけて行く。

「ケント様!行って下さい!」

「おう!俺がくるまで死ぬことは許さないからな!」

「「「「はい!」」」」

 王の間まで突っ走っていくと、宰相のような男が王の前に立つ。

「な、なにやつだ?ここは王の間だぞ?」

「俺はセイクリッドの王だ、喧嘩ふっかけてきたのはそっちだぞ?」

「な!なぜこん」

 宰相の首が落ちると悲鳴を上げる王妃。

「ま、待て!まだ、戦争にすらなってないではないか!」

「…俺は気が長い方じゃないんでな?」

「わ、分かった!降伏する!降伏します!」

「…ふぅ、じゃあ今度は腐った貴族の粛清をして行くからな!戦争ふっかけてきたらこうなると思え!断絶!」

 城にデカい亀裂を入れると王と王妃は気絶した。


 元来た道を戻って馬車に飛び乗ると、

「ケント様!もう終わりですか!」

「…あぁ、兵士よ!王は降伏したがまだやるのか?」

 と宰相の首を投げる。

「ひ、ひい!」

 ざわつく王城から俺たちは馬車を走らせ城下町の貴族街に入ると貴族の館に突っ込んでいく。

 こいつも奴隷をもってやがる。

 徹底的に館までぶち壊して金も全て巻き上げると奴隷は馬車に乗せて貴族に他の貴族の館を片っ端から案内させる。

 最初は軍団長の屋敷に連れて行かれ、

「あははは!お前はここで終わりだよ!」

 と言っていた貴族も今では従順に貴族の館を喋っている。

 金貨と奴隷を集めるだけ集め、腐った貴族は首を刎ねる。

 全部の貴族がそれなりに奴隷を持っており、酷いところだともう死んでいる奴隷をひとまとめにして穴に放り投げていたようだ。


「…これで全部か?」

「は、はい!わたしは」

「…まぁいいか」

 と逃してやるが、冒険者が矢を射る。

「ケント様!あいつが私をやった奴です」

「…なら好きにしろ」

 報いを受けさせなければな。

 気がつけば奴隷だけで馬車が6台になっていた。まぁ、馬車は貴族のところから持ってきた奴なので変な紋章やら入っているがな。

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