第105話 また旅
「…そうだな、だがどちらにせよ進軍してくるとなると魔王国を通ることになるから一言言っておかねばな」
「そうですな!魔王国とは友好関係にありますからな」
「…出来ればそのまま通してもらうようにしよう」
「な、何故ですか!友好関係でしたら一緒に戦ってもらうことも」
「…うーん、出来ればそれはしたくないんだ。自分の国のことだからな」
「う…そ、そうですか!ワシはそれでも構わないのですが」
「…すまんな、我儘を言ってしまって」
「いや。友好関係にあろうがなかろうが人に頼らずとも王であれば何事もなくドワルゴン帝国を駆逐できましょうぞ!」
「よし、なら女王に言ってくる」
「な、早馬で」
「俺の方が早い」
と俺は魔王国の王城前にテレポートしていた。
「本当に自分の立場がわかっておいでか?」
キン爺の言葉が聞こえたような気がした。
「すまぬが女王にお眼通り願おう」
「は、はい!」
もう顔を覚えられているからな。
「どうしたのじゃ?」
女王の前に立ち、
「ドワルゴン帝国と戦争になる。だから」
「我も力を貸そう」
「いや、通してくれるだけでいい」
「なぬ?何故じゃ?」
「余計な犠牲を増やすことはない」
「…分かった」
と女王はセンスをたたむ。
「ハハッ!分かってくれて嬉しいよ」
「して、そっちからは進軍しないのか?」
「まぁ、来るものはしょうがないが、俺が行って暴れるのも…それでもいいか」
「…フフフッ!それは面白いものが見れそうじゃの?」
「わざわざ待つ必要はないな!今から行ってくる」
俺はセイクリッドにテレポートする。
「ほんにせっかちな奴じゃ」
「あ、戻ってきましたか!」
キン爺がいうのが先だったが、
「今からドワルゴン帝国に行ってくる!」
「は、はあ?!」
「それが一番手っ取り早いからな」
「王が自ら行ってどうするおつもりですか!」
「いや、戦争起こす前にあっちであばれてくるのもいいかなって?」
「どこの国の王がそんなことするんですか!!王より国が動くのが先なんでよ!」
「俺は犠牲を最小限にしたいんだ」
「くぅぅ!アシュレイも何か言え!」
「はぁ、無理だぜキン爺?俺がこいつに敵うと思ってるのか?」
「ぬうつつ!王妃を呼んでこい!」
キン爺が怒鳴ると、
「もう来てるわよ!キン爺の言うことも一理あるから私は止めたいけど?」
「ルビー、俺の強さは知ってるだろ?なら俺が行ったほうが今は手っ取り早いと思うんだ」
「リシェルはどう思う?」
とルビーが聞くと、
「私は…やっちゃえばいいかと」
「そうよね?ケント!やっちゃってきなさい!今のセイクリッドははっきり言って弱いからさっさと行ってきなさい!」
「な!…ふぅぅ」
キン爺は落ち着こうとしているみたいだな。
(こりゃさっさと行ったもん勝ちだな)
「それじゃあ言ってくる」
「待ちなさ…」
俺はドワルゴン帝国の聖教国との分岐点、リシェルが行きたがっていたので聖教国に行ったがその前の分かれ道に着いた。
「さて…こっちだな」
と歩いて行くと盗賊に襲われている馬車に出くわす。
(はぁ、俺は盗賊に好かれているみたいだな)
「…お前ら俺の目の前で好き勝手させねぇよ」
「ああん?誰だテメェ?」
「いいからやっちまえ!」
手を出してきた盗賊にウインドカッターで足を切って無力化する。
悲鳴を上げる盗賊を無視して他の盗賊共も無力化していき、縄で縛り上げる。
馬車の持ち主はもう命が絶たれた後だった。
収納に入れて持ち物を探ると違法奴隷契約書が出てきた。
「…はぁ、またかよ」
荷馬車の後ろの荷物を収納して行くと檻が見えて、エルフやドワーフが入っていた。
「さて、お前たち帰る当てはあるか?」
皆、汚れてボロボロだ。
「あ、ありません。村が焼かれて」
「わ、私たちは親が殺され…」
鉄格子を収納しながら聞いている。
「…分かった、だが違法奴隷だから解呪するぞ」
と1人づつ名前を呼び解呪して行く。
「御者ができるものはいるか?」
何名か手が上がり、1人に任せて後は盗賊を見張っててもらう。
アジトはすぐに分かった。
草が倒れている方向に目をやると草でカモフラージュしてあるが建物が見えた。
“バン”
と蹴破り盗賊がビックリしている間に無力化して行く。
4人しかいなかったのでそのまま外に放り投げ、物色すると金貨が入ったマジックバッグを手に入れる。
(本当に盗賊退治は儲かるな)
奥に行くと牢は空だった。
(よし!今回は誰もいないな)
小屋を壊して4人の盗賊を縛ると連れて馬車に戻る。全部で10名の盗賊と4名の開放した元奴隷達。悪いが二人には御者を頼んで、俺は見張として荷台に残り2人と乗る。盗賊を10人乗せて次の街まで馬車で走ってもらうと思いのほかすぐ着いた。
「盗賊だ」
とギルドカードを見せる。
「ひ、人斬…わ、分かった!それではこちらで預かるので明日にでも顔を出してくれ」
宿に馬車を止め、女共に服を買いに行かせる。
「…どうした?」
「つ、強くなりたいです」
「…なぜだ?」
「もう、逃げるのは嫌なんです!」
と、4人が服を買いに行かないので一緒に行って、服を買わせて防具と武器を買ってやる。
「とりあえずペリアとルキアは弓が使えるならそれでいいだろ、リズとラムはハンマーだが大丈夫か?」
ペリアとルキアがエルフ、リズとラムはドワーフだ。
「はい!ハンマーは使い慣れてますから」
「…よし、なら今日は疲れてるだろうから、飯を食ったら寝るんだな」
「「「「はい」」」」
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