第103話 集まる人と警ら隊


 エンが帰ってきたのはそれから5日ほど経った時だった。

「…どうだった?」

「も、もう売れに売れましたよ!すごい反響で売り切れました!」

「…そうか、それは良かった」

「あまり嬉しそうではないですね?」

「いや、当たり前だと思ってたからかな?売れるのに買えないなんて、ならなくて良かったよと思ってな」

「あはは、そうですね。やっぱりみんなに手に取って遊んでもらいたいですからね」

「だろ?だから値段設定は重要なんだよ」

 とここで早馬が来た。

「ドワルゴン帝国から来たと言うものが来たのですが」

「あぁ、通してくれ…いや、俺が行く」

「じゃあ、エンは売るものあるんだろ?キン爺、見てやってくれ」

「あいわかった!」

 俺はテレポートでセイクリッドの国境門までいくと。

「おおっ!来たぞ!」

「親方!女将さんもようこそ!」

「しかし本当にあるとはな」

「信じてなかったんですか?」

「いや、信じたから来たんだ!でもいざ目の前にするとな…」

「あはは、じゃあ通してくれる?」

「はい!」

 門兵に行って通してもらう。

「じゃあ、あっちに見えるのが俺の城だからあそこまであともうちょっと頑張ってください!」

「おぉー、白亜の城か、わかった!」

「じゃあひと足先に行って待ってますね」

「おう!さぁ、みんなもう一踏ん張りだ!」

「「「「おおー」」」」

 と言って出発するドワルゴンから来た親方達!



 テレポートで戻ると、エンとダラーが商売をしていた。

 やはりまだ行商人が来ると珍しいものがあるので人が集まっている。

(どれどれ)

 見てみるとなるほどまたいろんなものを集めてきたもんだな。

「あ、王様にはこれね」

 と渡されるマジックバッグの山。

「あ、あぁ、ありがとう」

「いえいえ!あればあるほどいいじゃないですか!」

「…そうだな」

 と喋っているとキン爺が現れてマジックバッグの山を自分のマジックバッグに入れて横に立つ。

「…皆、金はあるのか?」

「十分金は回っているはずですよ?ガンツ殿とセイラン殿、後はオン爺にも金は支払ってますから」

「そうか、そこまで手が回らなかった。すまんな」

「いえ、これくらいのことは私達の好きにさせて貰えればありがたいことです」

「…全て任せる。俺はそこまで気が回らなかったからな!金はあるとこから取る!だから皆に回してくれ」

「了解しました」

 よし!これで金のことはいいだろう!

(それにしても皆買い物するな…好きなものを買って楽しんでくれるといいが)


「よし!マジックバッグの中身を取り出そうか!」

「よし来た!スミスとメイスンを呼びましょう!」

「んじゃ宝物庫に行っているぞ」

「あはは、誰かに行かせますから一緒に行きますよ」

「…ん、そうだな!行こう」

 

 宝物庫まで行くと一個づつ解呪していく。

 金貨に宝石など色々と出てくる。

「…やっぱりマジックバッグはいいな」

「そのようで、でもあまりにも多いと出所が気になりますね」

「大体が商売人のものだな。奴隷商も含めて大金を入れておいたのだろうな」

 奴隷契約書なんかもたくさん出てくるので一応取っておく。

「マジックバッグもだいぶ手に余ってきたから渡しても構わないぞ?」

「わかりました、ではオン爺に一つと、ガンツに二つほど渡しておきます。

「…ん、まぁそれでいいか」


 そして10日もかからず親方達が到着すると早速動き出す。

「まだまだ出来上がってねぇじゃねぇか!城下町の壁は俺らも入って手伝おう」

「あぁ。そうしてくれると助かるな」

「へへ、またお前と一緒に仕事が出来るんだ!そりゃ燃えてくるさ」


 親方にマジックバッグを渡してから作業してもらう。

 

 大衆浴場もガンツ達が作ったらしく人気になっているので清潔面にも気を配ってみんな仕事に取り組んでいる。


 オン爺は豆類や根菜、葉物などの野菜を中心に植えているそうだ。小麦などは秋に植えるのでまだ先になるようだな。

(まぁそれまで今までの備蓄もあるし買えば済むからな)

「…できれば自給自足ができればいいが流石にそうは行かないようだ)

 子供達は無邪気に外を走り回っている。

 

「だから!これからのセイクリッドは発展していく上で法の整備を」

「ならん!今のままでいいじゃないか!王が決定したことじゃぞ」

「…分かってはいるけど、今のところはまだ法を進める気はないな」

「そんな!それじゃあ悪い奴が入ってきたらやばいじゃないですか?」

「んー、今はまだ限られた人しか通してないしなぁ」

「それはそうですが」

「まぁ、考えていこうか!今のうちに皆にも賛成してもらえるように!」

「良かった!それでは私から一つ」

 と言ってアシュレイが言ってきたのは警ら隊、まぁ警察の導入だな。

 兵が取り締まるのはあるがそれを一般市民がやると言うことだ。

「いいんじゃないかな?それは必要なことだろう」

「誰が指揮するんじゃ?」

「それは今から決めていこう」

 誰かいい奴はいないか検討した結果、

「ダウンだな」

「なら文句ない」

「よしダウンが警ら隊の隊長だな」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る