第102話 コッペパン


 テレポートの存在を思い出した俺はドワルゴン帝国の親方の所まで飛んでいくと、親方の工場が潰れていた?

「…は?」

 俺は宿に行くと腕を切られた親方たちが朝から酒を飲んでいた。

「…おい!」

「ん?お、おう!悪いな!」

 と顔は笑っているが涙が溢れてきていた。

「…どうしたんだ?」

「…安く売ろうとしたらこのザマだ、帝国じゃ俺はもうダメなのさ」

「…リジェネレーション」

「アウグッ!」

 手の細胞がどんどん巻き戻されて元に戻って行く。

「…あ、あぁ、手がある」

「親方達にはこの国は小さすぎるな。俺の国に来い」

「俺の国?どこにあるんだ?」

「もともとは死の大地だったところだ、来るか?」

「…行くぞ!野郎ども!」

「「「「おおーー」」」」

「私も連れてきな!」

「女将…いいのか?」

「あんたの国だろ?行くしかないだろ!」

「おしっ!お前ら三人で馬車を作れ!丈夫な奴だ!女将は荷物をまとめてくれ!他のやつは道具を探すぞ!」

「「「「「おおーー!」」」」」

「…そう来なきゃな!」

「お前は国で待ってろよ?もちろん王様なんだろうな?」

「…あぁ。俺が王だ!」

「よっしゃ!楽しくなってきやがった!」

“バシン”と拳を叩くと全員が動き出す。

 ドワルゴン帝国か…王に会っていなかったな。

 テレポートでセイクリッドに戻る。


 キン爺にアシュレイ、メイスンもいる。ルビーとリシェルを呼んでドワルゴン帝国に関して聞く。

「そんな!親方達が!」

「…治して今こっちに向かってくる」

「そ、そう…許せないわね」

「まぁ、行けて良かったと思います。だってみなさんこちらに来るんですよね?」

「…あぁ、こっちに来るがそれが問題じゃない」

「分かってるわよ!帝国が奪ったものでしょ?」

「そうだ、今俺たちが作っている物の出所がわかれば必ずぶつかるな」

「そうだな。まだ、早い気がするがな」

「まだ…そうだな、半年はバレないとは思うからそれまでにはこの国をある程度作っておかねばな」

「まぁ、ドワルゴン帝国が進軍するとしたら人国から魔王国を通ってだからな」

「…それはこっちも同じだ、まぁ、負ける気はないけどな」

「だな、それより人国はどうなったんだ?」

「あぁ、あのハゲか」

「捕まったみたいですよ、早馬で連絡が来ましたから」

 そうか、あいつが捕まったのならそれでいいだろう。

「…じゃあ動きがあるまでは待機だな」

「そうだね」

「じゃあ最近のことですが、アヤの調子が悪いのですよ」

「あぁ、マナドレインだな、分かった」

 アヤにマナドレインしたらたまには街を見て回るか。

「それじゃ解散で」


 アヤの場所に行く。

“コンコン”

「はい」

「アヤか?調子悪いみたいじゃないか」

「は、はひ!ちょっとお待ちを!」


「はい!どうぞ」

「…大丈夫か?」

「はい!すいません言うのが遅くなって」

「いや、俺もついな」

「お願いします」

「…あぁ、マナドレイン」

「アァァ」

「よし、このくらいかな?」

「は、はい、ありがとうございます」

「おう、じゃあ街でも見て回るかな」

「え、あ、あの一緒に行ってもいいですか?」

「ん?別にいいぞ?」

「やた!」


「あ、ケントー!」

「…マリンとウリンだな、ほんとにアクロバットが好きだな」

 大玉に乗りながら剣をジャグリングしてるウリンとイスを重ねてフラフープを回しているマリン。

「…怪我するなよ?」

「「はぁーい」」

「ってちょい待ち!」

 っと飛んでくるマリン。

「アヤ!1人だけずるい!私も!」

と言って三人で回ることになった。

 腹が減ったと言うことでクオンのところに飯を食いに行く。

「お!来たね!ちょうどすいたところだ!」

「日替わり三つで!」

「あいよ!」

 手際よく作るクオンはやはりすごいな。

「日替わり三つ!」

「…いただきます」

「「いただきます」」

 チキン南蛮定食だった。うますぎて涙が出る。

「…美味いぞ!」

「だろ!自信作だ!」

 腹一杯食べて三人分で銀貨一枚半かよ!

「もっと取ってもいいだろ?」

「安くて美味いのがいいんじゃん!それにこの国のやつは働き者だ、壁を作ってる奴ら、畑を耕してる奴らがわんさか食いにくる」

「…まぁそうだがな」

「しかもまだ店が少ないから使うとこなくてな」

「分かった善処する」

「おっし!」

 メインストリートはまだ本当に店がないからな。

 エンたちが帰ってきたらまた違うのかもな。

 

 メインストリートを行くとパンの焼ける匂いが漂ってきた。

 そう言えばパン屋がいるって言ってたな。

 中に入るとパンが二種類しかない。

「あ、王様!いらっしゃいませ」

「…まだパンは二種類なのか?」

「えっ?もともとパン屋にいましたがこの二種しか知りませんが?」

「そうか、まぁそうだよな」

 とパンを買って食べてみると堅パンとコッペパンだった。

 よし!

「…このコッペパンに、色々挟んで改良してみろ」

「え?挟むんですか?」

「そうだ。まずはクオンはわかるか?」

「は、はい、クオン様の食堂ですよね」

「そこに行って聞いてみるといい、いいアイデアがでてくるぞ?」

「わ、わかりました!」

 と早速店を閉めてコッペパンを持って相談に行った。


 はぁ、楽しみだな。

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