第92話 人事
「春になったらアシュレイを呼ぼう」
「いいわね!その頃には街もできてきてるし」
「そうですね!騎士団長が不在なのもいけませんからね」
皆が飲んで食べている。俺たちは椅子に座り皆が運んでくるものを食べ、楽しく飲んでいる。
「…俺は俺のままでいたい、王になってもそれは変わらない」
「いいと思うわよ?すぐに変われるなんて思ってないもの!」
「ですよ!変わらないほうがいいです!」
「ハハッ!それじゃあみんなが幸せになる方法を探すとするよ」
「「はい」」
「クオン、セイラン、イサム、カオリ」
「おう!」
「はい」
「ん?」
「なんでしょう?」
「4人ともやりたいことをやってくれよ?応援するから」
「「「「はい」」」」
「俺は料理かな?店持つよ!」
「私は服屋だね!今なら出来るし!」
「僕はまだ決めてない!」
「私はゆっくりしたいわね」
「ガンツに頼んで4人の家も建ててもらってくれ」
「「「「はい」」」」
「…それだけだ!」
4人とも笑顔で俺の前から去ると、
パールやミイ、スィにメリッサ、リルルなんかが来ると、
「誰が第三王妃ですか?」
「…きてすぐそれはないだろ?」
「そうでした、私達はどうすれば?」
「そうだな、ミイ、スィは冒険者をするだろ?」
「はい、できれば」
と武器に手を当てるミイとスィ。
「アンバー、トパーズ、パールなんかは王城で働けば?」
「いいんですか?」
「…他の奴隷たちもそうするつもりだしな」
「「「はい!」」」
「レアルとケイトは彫刻なんかを頑張ってくれ」
「「はい」」
「メリッサ、リルルはまだ小さいんだから自分が好きなことを探しなさい」
「「はい」」
「基本王城から出ないからダウンとかに早馬頼んだりするかも」
「任せてください!」
「…あとは分からなかったら聞いてくれ」
「私達も王城で働いても?」
「サイ、アヤはそうだね、アヤはたまに俺がマナドレインしないといけないだろ?」
「はい!そうです!」
となぜか嬉しそうなアヤ。
「ガンツ達はこのまま街づくりだな!」
「ヘイホー!」
「ワシを忘れておらんか?」
「オン爺か、男が少ないんだよな」
「じゃな!ワシだけじゃどうにもならん」
「…よし!今度は男を集めよう!」
「もういっそ村ごとこっちにきてもらうとかは?」
「それもありだが素性が知れないぞ?」
「奴隷の街でも作るつもり?」
「まぁ、それもありかな?」
(あの時テスカトリポカも助けてくれたしな)
奴隷がいなくなればいいが奴隷がいるならこの国にくればいい。
「ケントがいいならいいけどさ」
「王なら税も取らなきゃならないですよ?」
「うーん、そうなんだよな。まぁ、できあがったばかりだからな」
「宰相が必要ですね」
リシェルのいうことは当然なんだが、
「そうだな、でもこればっかりは巡り合いかな?」
「アシュレイにすれば?」
「まぁ、それでもいいか…よし、明日から魔王国に行こうか!」
「ええー!さっき城から出ないって言ってたのに?」
「…だって俺らしくないかな?近くだし」
「はぁ、これは先が思いやられる」
「ですね、でもそんなケント様がすきですから」
「そうね!まぁ、まだ城ができただけだし行こうか!」
人はそう簡単に変われはしない。
と言うことで次の日は俺、ルビー、リシェル、ダウン、ボン婆、オン爺の6人で魔王国に向かう。
最新の馬車があるから寒さは若干で済んでいる。
馬車2台で走り抜ける。
野営をしながら10日目にようやくセイクリッドの敷地を跨いだ。ここに門も建てないとな。
獣道を通って3日で魔王国に着くと、宿を貸切にして奴隷商のとこに行く。
「いらっしゃいませ」
「今日はそうね、農業できそうな奴隷はいる?農業はこっちで教えるから」
「はい、分かりました」
男ばかりずらっと並ぶとむさ苦しいな。
「手を見せてみろ?」
オン爺が手を触っていき。3人に絞った。
「…どうして?」
「他のはガタイばかりでアレじゃ使い物にならん、手は嘘をつけんからな」
へぇ、そんなんでわかるんだな。
「分かった」
「あの!」
奴隷商が話に割り込んでくる。
「…ん?」
「欠損奴隷を買いませんか?」
「ほらきた」
「…連れてこい」
「はい!ありがとうございます」
と連れてきた欠損奴隷はまた酷かった。
「リジェネレーション」
「ウグッ!ウガァァァァ」
「これの売主は?」
「それは言えません」
「…わかった、魔王国の貴族か?」
「…」
「…分かった」
冷や汗をかいてることで高い地位にいるやつだと分かったしな。
「アァァァァ」
「ヒール」
肉塊になっていたのがようやく元の女の子に戻った。
契約をして、
「ルビー、頼んだぞ」
「はいよ」
魔王城に向かっていく。
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